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(No148) 上方演芸ホール TV鑑賞記 その1
9月14日(月)放映の上方演芸ホールの鑑賞メモ。
桂歌之助 「書割盗人」
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この噺は、以前、本人で聴いた。
初めて聴いた噺でもあり、実に新鮮で良かった。
それは、「書割」で描いてもらう所帯道具などの描写が的確で、何か、本当に最初の真っ白な「箱」のような部屋が、墨痕鮮やかに、いろいろと書き込まれていってるような印象を持ったためだと思う。 |
今回のマクラで小学校で落語会をやる時、「これはどうゆう人のセリフか想像してくださいねえ」という予行演習のクイズを出し、女性のセリフをやったら「オカマ!」と言われた・・・・というのは、以前も聴いた。
ひょっとして、NHK放送なので当たり障りのないものに限定しているのか、収録当日はもっといろいろマクラがあったが、時間の関係でカットされているのかは知らない。
ただ、歌之助のマクラはなかなかおもしろいものが多かったので、今後も積極的に新しいマクラを聴かせてほしいなと思う。
歌之助は、最近、表情やセリフ回しがややわざとらしくて、どうも馴染めないと何回か書いた。
今回も、やはりそう感じた。もう少しだけ肩の力を抜いたら良いのに、と思う。
好きな噺家さんなので、今後とも応援していきたい。
桂小春團治 「昭和遷都」
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我々大阪の人間は東京の人間にバカ!と言われるとものすごく腹が立つが、東京の人間は、大阪の人間に「アホか!」と言われると人格が否定されたような気になるらしい。
東京のカップルが、女性が少しドジをしても「君はバカだなぁ」、「あたし、バカやっちゃった。ウフ」なんて会話で済むが、大阪では・・・てなマクラ。 |
戦後間もない頃に、東京から地方に遷都することにGHQが決めたので、首都になりたい自治体は応募せよということになり、大阪のある公務員が、いわばプレゼンに行くという創作落語。
GHQは、できるだけアメリカに似ているような町がお好みのようだから、そうゆう面を強調せよと上司から言われて上京してきた。
自治体代表がそれぞれのまちの特徴を説明し、それを片言の通訳が審査員である米軍軍人に通訳するのだが、
「大阪って、どんなまち?」
「食い倒れのまち」
「EAT and DIE」
「食うて、死ぬぅ?食い倒れって、そんな意味ちゃうで」
「大阪はどんな食べ物が有名?」
「うどんすき」(うどんの入ったすき焼き)
「ヒー ライクス ヌードル」
「ええ?うどん好き?」
「他に名物は?」
「きつねうどん」
「フォックスヌードル」
「いや、そんなもん入ってへん。大阪の印象が悪なる」
「あとは?」
「マムシ」(まま(飯)蒸し。ご飯とご飯の間にかば焼きをはさんで保温する鰻丼)
「ポイズンスネーク」
「あかんて!どんどん印象悪なる」
で、上司のアドバイスを思い出し、「大阪はアメリカに似た場所がたくさんあります」とアピール。
「ラスベガス」
「道頓堀。ネオンがきれいです。地名もそうですよ。アメリカと似た地名が」
「ロッキーマウンテン」
「六甲マウンテン」
「デンバー」
「なんば」
「ハリウッド」
「針中野(←大阪でも、かなりローカルな地名)」
「カンザスシティ」
「神崎川・・・・・。こら、ちょっと無理あるか」
このプレゼンには高知や東北からも来ていた。
東北担当は、貧しい寒村が何とかこの遷都でむら起しを・・・と悲痛なアピールをするし、高知は担当の女性が「二代目スケ番刑事(デカ)」風で、すぐに南野陽子ばりに「なめたらあかんぜよ!」と凄む。
ところで、土佐の気風のいいチャキチャキのお転婆娘をハチキンと言う。
このこと自体は司馬遼太郎の『竜馬がゆく』でも出てきていたが、語源はあまり注意していなかった。
この噺で、高知の女性が「うちはハチキンじゃき」。
通訳が「ハチキンとは何ですか?」と聞く。
すると少し照れて「4人の男を手玉に取るがやき。4人の男でハチキン・・・」で、通訳は「エイト ゴールデンボールズ」なんて訳す。
とうとう新しい首都の発表。
緊張して待ってると、大分の宇佐市に決定したとのこと。
伏兵にさらわれ納得できない大阪や高知の担当が理由を聞くと「宇佐が一番アメリカらしい。だって、宇佐をローマ字で書くとUSA」というのがオチ。
以前から、「おっ、これメイド イン USAか?」「いや、大分の宇佐市ですわ」なんてギャグはよく聞くので、特に新味はなし。
でも、通訳(誤訳)のとこは、なかなかおもしろかった。
どうも、お退屈さまでした。聞き違い、記憶違いはご容赦ください。
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