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(No147) 扇町寄席 TV鑑賞記 その2       

 9月6日(日)放映の小つると13日(日)の米團治の鑑賞メモ(続き)。



桂米團治 「天狗裁き」

 
 番組冒頭で米團治のエピソードを語るところがあったのだが、南光が天然ボケぶりを紹介した。

 米團治はコーラが好きで、いつも持ち歩いている。

 こないだ遅刻して楽屋に駆け込んでくるなり、
「ああ、やっと着いた」
 とばかり持っていたコーラの缶をぷしゅっ!

 当然あふれて南光にかかった。

 怒ると、缶を手に持ったまま「すみません」と頭を下げたものだから、また缶からコーラがぼとぼとぼと・・・・・。


 携帯電話の話も(以前も聞いたことがあるが)おもしろかった。

 米團治襲名の時、桂春團治師匠の所に挨拶に行った後、次に文珍の所に挨拶に行くことになっていたので、車で高速に乗った。

 と、米團治の携帯がない。
 で、自分(米團治)の携帯に電話してみると女性が出た。
 春團治師匠の家の近くで拾ったという。

 今、高速なので取りに行けない。申し訳ないが春團治師匠の家に預けてくれないか、後で取りに行くからと頼んだ。

 一方、米團治の到着が遅いので、文珍は米團治の携帯に電話をかけた。

 家に届けられた携帯が鳴ったので、春團治師匠が取って
「はい、春團治です」
「何いちびってる(ふざけてる)ねん!あほ!」

 と、文珍が大師匠を叱ってしまったという話。

 
 八光は、素人の方から
落語の入門として聴くなら、どんな噺がいいですか?」と聞かれたら、
桂米朝師匠の『天狗裁き』」と答えるそうだ。

 確かになかなか洒落たオチだが、繰り返しが多く、興味を持って聞かせきるのは難しい。


 米朝師匠が、昔「七度狐」は、その名の通り人間を騙すのを7回繰り返していたがダレるので今のような演出になったとある本で書いている。

 以前、春若で「夢の喧嘩」を聴いた。
 これは天狗が出てくる前にオチとなる。
 で、「天狗裁き」という題名が付けられないのだろうが、これも繰り返しのダレを嫌ったのだろう。

 今回の口演でも、米團治が「わしは人間ではない。だから、お前の夢なんぞ聞きとぉはない」と重々しい口調で繰り返すが、先の奉行の例があるから、先が見えてしまう。

 また、「夢の喧嘩」のメモでも、女房が、寝ている男を揺り起し「どうしたん?えらいうなされて」と言った段階で、「ああ、あの奉行に拷問されてたとこまでが夢やったんか」と分かり、場内は笑いに包まれていた。

 しかし、春若は女房に、ダメ押しの「いったい、どんな夢見たん?」というセリフを言わせていたが、本当、あの笑いの中では聞き取りにくいし、蛇足感が否めなかった。

 今回、米團治も、しっかり「どんな夢見たん?」まで言わせていた。

 「説明」と「繰り返し」というのは、本当に難しいテーマである。

 私個人としては、説明し過ぎない、繰り返し過ぎない「すっきり」演出が好みであるのだが。




  どうも、お退屈さまでした。聞き違い、記憶違いはご容赦ください。  
 



 

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