移動メニューにジャンプ

(No140) 落語共演会 鑑賞記 その2       

 平成21年9月12日(土)の落語会の鑑賞メモの続き。



月亭八方 「稽古屋」

 9月は敬老月間やそうですが、本日の会場には若い方もたくさんお越しです。

 今、また新型インフルエンザが流行ってるそうですが、春は大変でしたな。

 その頃に比べると、ちょっと落ち着いているような。

 私、今年の5月21日、22日に北海道で仕事があったんですが、嫁はんに最初は生キャラメルを土産に買うてきてくれと言われてたんですが、電話がかかってきて、生キャラメルいらんからマスク買うてきてってゆうんですな。

 私、北海道におったもんやから、瞬間、メロンかいな?と思ってしもた。

 そん時、高いがなとか、夕張ではあかんのか?とかゆうてたら解決したんですが、夫婦も長くなると要件以外しゃべりとないんですな。

 ほんで、ええ加減に「ふんふん」てゆうてしもた。ほな、嫁はんが「あるだけ買うてきて」てゆうんです。何ぼほど稼いでる思とんねん?(ちょっと上目づかいで計算するような顔で)・・・まあ、稼いでますけど。

 仕事の帰り、空港でね。あ、そう言えば嫁はんがメロン買うてきてゆうてたな、と思い出して空港の売店で見たんですけど、ぎょうさんあるんです。

 あんなんあるだけ買うたら、こっちが夕張
(夕張市のように財政破綻)になってまう。

 で、まあ1個だけ買うて帰って、「ほい」、「何?」、「何ってメロンやがな」、「アホちゃうか?私はマスク買うてきてってゆうたんや」

 ああ、間違うたと分かったんですが、「あほか」言われて腹立ってね、「お前も、マスクやったらマスクて、言わんかい!」ゆうたら「ゆうたがな!」・・・・・・・・・・。

 
 「稽古屋」という噺は、色ごとに忙しい喜六(ただし、女にもてて忙しいのではなく、結婚したいが相手がいないので、街できれいな女の人を見かけるたびに後をつけていくストーカー行為に忙しい)が甚兵衛さんに相談し、「芸事の一つも身につけたら・・・」とアドバイスされるところから始まる。

 ただ、細かい内容は省略する。オーソドックスというより、かなり「斬新」な内容なので。

今回の八方師匠の高座で気づいた点

(1) 昔はおなごにもてようと思たら「一見栄(いちみえ。おしゃれ)、二男(におとこ。男前)、三金(さんかね)、四芸(しげい)・・・」だったが、今は「一金〜十金」やから金のないお前は一生嫁はんは持てんと、甚兵衛はんが非情な通告をする点

(2) 「芸はできまっせ」という喜六に、何ができるか聞くが「炬燵の上からとんぼ返り」という答えに「そんなん、ただのアバレ(暴れ)やがな」と切り捨てる点

(3) 宇治の名物ほたる踊りの説明で、「最後、ろうそくの火を屁で消すんやけど、わい、その日、腹具合が悪うて」と言った段階で甚兵衛はんが止めたのは良かった。(喜六にそれ以上言わせてしまう噺家が多い)

(4) 膝つき(稽古屋の「入会金」?)が、「普通なら5円だが、わしの紹介とゆうたら1円ですむ」としていた。これは通常価格3円のところ、わしの紹介なら1円・・・などというケース(例えば以前聴いた染二の「稽古屋」では、「普通なら2円、3円ゆうとこ・・・」となっていた)に比べ甚兵衛はんの力が大きいということ。

(5) これは大きな差異だが、通常は、稽古屋へ行くが既に先輩が稽古をしている。中に入る前に外から稽古を眺めていて窓の格子を壊してしまったり、小さな女の子の焼き芋を食べてしまって泣かせてしまったりするとこが一つの見せ場なのだが、そこはすぱっ!と切り捨てられていた。つまり、「ちょうど他の人の稽古は終わったとこ」ということで、いきなり喜六のレッスンが始まるのである。思うに、これは時間の関係で簡略化したのだろう。

(6) 稽古内容も、喜六が50銭で踊り、30銭で歌、あと20銭で三味線などと切り売りをリクエストする演出が多いが、今回はお師匠さんが「踊り、しましょか?」などと指定していく。

(7) 素養、経験があるか?という意味で「下地はあるか?」と尋ねる場面で、染二は醤油(したじ)と間違え「家にキッコーマンが・・・」という演出だったが、今回は「子供の時分から、ずっとフンドシです」「・・・・・・それは下着ですやろ?そんなことゆうて、おもしろいですか?」と冷静にたしなめる演出だった。

 これに続き、「いえ、あぁたとかご家族で踊りとかをやってはったことは?」、「ああ、それやったら、うちのオバン、舞いながら死んだ」、「(勢いこんで)そうゆうことを言ってもらわんと。で、何を舞ってはった?」、「心臓マヒ(舞い)」、「・・・・・・・・楽しいですか?そんなことおっしゃって」と、ここでも冷たく問い返す。


 あと、この演出は、踊りはやめて、長唄にしようと師匠が指定する。喜六が手を叩いて「長唄!そらよろしい!」と言うので、「長唄でっせぇ?知ったはりますの?」と問い返され「知ってまんがな。長ぁ〜〜〜〜〜〜〜〜い唄でっしゃろ?京都銀行」と答えた喜六に、呆れたように「何か嬉しいことでもあったんですか?」という形で繰り返される。

 このように冷たく「水を差す」演出は、少しなら良いが3回も繰り返してしまうと噺自体が冷めてしまうと思う。

 なお、「京都銀行」というのは関西の地銀で、「長いおつき合い 京都銀行」というコンセプトでシリーズもののCMを放映している。
 すなわち、おでん屋で鍋からちくわを取り出そうとするが、何10cm引き上げてもちくわがつながってるとか、相手のシュートを横っ飛びでブロックしようとしたGKがず〜〜っと飛び続けてもゴールネットが途切れないとか、科学者が黒板に円周率を書き殴り始めるが、その黒板がやたら横長で、小数点以下何十位でも書き続けていく・・・・といった具合。

(8) この「稽古屋」では、演者の踊りの素養は、稽古屋の師匠が弟子に踊りの見本を見せるという場面で発揮される。今回は、八方演じる師匠が「踊りもおめでたいところで黒田節いきましょか?」と言って、下座に「ほな、お願いします」と声をかける。これに答えて下座が「酒は飲め飲め〜」と唄いながら三味線を弾く。師匠は、これに合わせ踊る。扇子を槍に見立てて突いてみたり、同じく扇子を開いて大杯に見立てて酒を飲み干したりと、最後の決めポーズでは盛んな拍手が沸き起こっていた。

(9) 他の者が演じる「稽古屋」でも、喜六が、稽古の順番を待っている間に寝てしまうというような演出はあった。
 しかし、今回の演出では、師匠が喜六のために見本の黒田節を踊って見せている時に、当の喜六が寝てしまう。

 さすがに、ここはやや無理があるので八方は喜六に「わたい、神経集中させてものを見ているとかくっ!と寝てしまいますねん」というセリフを言わせている。阿佐田哲也みたいなナルコレプシーなんだろうか?

 そこで師匠は踊りを「見せる」ことはあきらめて、唄に演目を変える。
 まずは、七福神が出てくる「宝船」という長唄である。

 ところが、唄い終わると、またも喜六は寝ている。で、師匠は「器用やなぁ」と呆れつつ「おかしいやおまへんか。踊りやったらともかく、唄やったら、ただ聞いてるだけでええのに寝てしまうなんて」と喜六をなじる。

 これも「普通なら、見てると眠気がでないけど、ただ聞いてるだけなら余計眠くなるよなぁ」なんて思うが、喜六も「さあ、うっかりお師匠はんの唄ってる口元が動くのんを見ていて、ついついかくっ!と」なんて答えている。

 やはり「見ていると眠くなる」と言わせた無理のしわ寄せが来ていると言えよう。

(10) 同じ唄でも「色っぽいやつを」という喜六のリクエストに、師匠は地唄の「すり鉢」を提案する。

 喜六は、タイトルから「そんな所帯じみた唄・・・」と難色を示すが、師匠は「おなごをすり鉢、男はんをすりこぎの夫婦に見立ててますねん。これだけでも色っぽおますやろ。
 それに、ご飯の支度をしている時は、すり鉢とすりこぎは一緒におれるけど、夜になって晩御飯の支度も終わってしまうと、また二人は別々にしまわれてしまう。
 どこぞに日の暮れない(恋しい二人がずっと一緒におれる)里はないかいなという歌詞ですのんや。こんな色っぽい唄、あらしまへん」と反論する。

 あまり、唄の中身を詳しく解説する噺を聴いたことがなかったので新鮮で良かった。
 ネットで調べたところ、「海山を越えてこの世に往みなれて 比翼違理と契りし仲を 煙を立つる賎の女が 心々に蓬わぬ日も 蓬う日も夜はひとり寝の くれを借しみてまつ山かずら 昼のみ暮らす里もがな」という歌詞らしい。
 メモでは「日の暮れぬ里もがな」だったので、八方は、そう言っていたのかもしれない。

(11) これも大きな特徴だが、「稽古屋」のサゲは、稽古に来た目的が女にもてたいからと知った師匠が「色は指南のほか」(色恋は、指導できるような、理屈の問題じゃない)というサゲと、火事に関するサゲの二つに大別される。

 で、私が以前聴いたうち、染二が「火事」、小米朝が「色」だった。
 しかも、染二は、師匠から歌詞の書いた本を渡され、「なるべく高いとこで稽古せえ」と言われる。
 これは、声を張って、なるべく高い調子で稽古せえという意味だったが、アホが勝手に「高い場所で稽古しろ」と誤解し、屋根の上で練習する。そんな高みで「煙立つ」、「煙立つ」と連発するものだから、近所の者がてっきり火事を見つけたのか?と誤解し、どの辺や?と尋ねる。
 喜六は、それに気付かず稽古を続け「♪海山越えて♪」と続けたので、「そんだけ遠けりゃ大丈夫やろ」と安心するというのがサゲ。

 今回の八方は、唄本を渡し、今度までに歌詞を覚えてこいと師匠が指示するのは一緒なのだが、はっきり「高い所に上がって、風に向かって、それに負けんように声を出したら喉が鍛えられます」と指示している。

 

 刈り込んで、なかなかスッキリした運びの「稽古屋」であった。ちょっと笑いどころまで刈り込んでしまったきらいがあるが。

 八方師匠が中トリで、中入りへ。



月亭八天 「鷺とり」

 先ほどはわたくしの弟子が・・・いやいや師匠の八方の高座でございました。

 わたくしは月亭八天と申します。今日、落語会に行ったら、八天という落語家が出てはってん・・・と覚えてください
 早々に「鷺とり」の本題に入る。

「鳥取りをしよう思て」
「ああ、鳥さし?」
「いえ、鳥さしゆうたら、鳥もちで、1羽ずつ捕まえるやつでっしゃろ?わたいは皆つかまえまんねん」てな会話から、先日、雀がたくさん集まる親戚の家の庭に、伊丹名物のこぼれ梅をまいた・・・というところへ。


 「こぼれ梅」とは「みりん」の絞り粕で、酒どころの伊丹名物であり、素朴なお菓子として現在でも親しまれているそうだ。

 


「雀がね、わたいのまいたこぼれ梅見て、こんなこと、ゆうてまんねん。
『なあなあ、ちゅん八さんに、おちゅんはん。何や、人間がおいしそうなもん、まいていったやおまへんか。ちょっと食べに行ってみまひょか』

『いやいや、昔から、甘い物、食べさす者に油断すな・・・てなことがゆうたぁる。こら、何ぞ罠があるに違いない』
『さよか?せやけど、おいしそうでっせぇ』

 そんなことをゆうてたら、はるか巽の方角が飛んできたんは江戸っ子の吉原雀」

「雀に江戸っ子てなもん、あるんか?」
「そら雀かて、江戸で生まれたら江戸っ子でんがな。大阪で生まれたら浪速っ子の雀。
 ほんで、その江戸っ子の雀が、
『何?罠が怖くて食べられねぇ?だから、田舎もんのぜえ六雀はいやだってんだ。昔からゆうだろぉ?高い所に登らねぇとずくし(熟し柿)は食えねえ。虎穴に入らずんば虎児を得ずってな。ちょいと、おいらが行ってきてやらぁ』

 そうゆうと庭に下りて、こぼれ梅をつまんで枝へ戻る。
『何ともおまへんか?』
『おう!オツなもんだ。てめえらも、やってみな』

 ここまで言われて行かなんだら、浪速っ子の名折れ。
『わたいらも、行こうじゃあ〜りませんか』って、チュンリー浜ゆう雀が行く。
『わたいも、行きまんにやわ』と、ちゅん爺という年寄りの雀が行く。
『ごめんやして、おくれやして、おくれやっしゃ』ゆうて、湯婆
(「千と千尋」のゆばぁば)みたいな頭したゆみ姉(ねえ)ゆう雀が行く。
『わたいらも行ったらどうや』と辻本とゆう雀が行く。
(この辺は、吉本新喜劇の役者のギャグを多用)

 さんざん食うたら、あいつらも酔っ払って、すっかりええ気持になってきよる。
 何せ、みりんの粕でっさかいな。
 そこで、かねて用意の南京豆の殻をまきまんねん。そしたら、ねむとぉなったとこへ、ちょうどええ枕が来た、てなもんで、みんな殻に頭乗せて寝てまいよる。

 そこを、わたいがほうきとちり取りで全部集めてまう段取りで」

「ほんで、うまいこと行ったんかい?」
「こぼれ梅を食べるとこまでは、うまいこと行ったんでっけど、南京豆の殻をばらまいたとたん、その音にびっくりして、皆逃げてしもた。

 結局、こぼれ梅や、南京豆やらで、えらい損で」

 今度は、鷺を狙っているということで、作戦を明かす。


「鷺がね、田んぼで泥鰌か何ぞをコツコツ、コツコツてつついてるとこ、遠くから『さぁ〜ぎぃ〜〜』て呼びまんねん」
「ええ?鷺を呼ぶ?そんなんで分かるんかぁ?」
「鷺に、鷺てゆうてまんねんで。分からん筈おまへんがな。

 ほんで、鷺は、あれえ?人間がわいのこと呼んどるなぁ。何の用やろ?わい、人間に知り合いおらんし・・・あ、分かった。わいのこと捕まえよう思とんやな。
 すぐ逃げてもええんやが、あの声ではずいぶん遠そうやし、もっと近づいてきたら逃げたろ、思て、また、泥鰌をコツコツ、コツコツ。

 その間にわたいは、ちょこちょこって近づいていって、今度は最前よりちいちゃい声で『さぁ〜ぎぃ〜〜』て呼びまんねん。

 ほたら、鷺は、ああ、あの声やったら、まだだいぶん遠いな思て安心してコツコツ、コツコツ。

 今度は、だぁ〜いぶ近づいていって、最前よりぐぅ〜っとちいちゃい声で『さぁ〜ぎぃ〜〜』て呼びまんねん」

「ほんで、どないなんねん?」
「ここだっせぇ。わいは、ほんまは、近づいてまんねんでぇ。
 せやけど、声はどんどん小さなるんやから、鷺は、おかしぃなぁ。わい、つかまえるんやったら、近づいてこなあかんのに、何や、逆にだんだん遠なってるよぉやでぇ、て思いよる。

 で、いよいよ鷺のまぁ後まで行って『さぁ〜ぎぃ〜〜』
「え?」
『さぁ〜ぎぃ〜〜』

「聞こえんなぁ」
「聞こえまへんやろ?で、安心しきっとるとこ、後から首をきゅっ!」
「んな、アホな」

「鷺をつかまえんのは、どこへ行ったらよろしやろ?」
「北野の円頓寺。そう、萩で有名なとこやけど、あこの池には鷺がようけおるらしいで」
「さよか、おおきに」

 ・・・と、アホが、さっそく、その晩に円頓寺に行きよった。
 ちょうど壁の修理か何ぞをやってた職人が梯子を壁に立てっぱなしにしてたもんやさかい、それで塀の上にあがって、もったいない話ですが、墓石を足場に、寺の中にぽいっとおりた。

 鷺というのは、非常に用心深い鳥でして、何ぼ寝てても、必ず1羽は寝ずの番を置いてるそうなんですが、その日の番が、ちょうどわたくし同様、至って責任感の薄い鷺でして、皆と一緒にぐぁ〜、ぐぁ〜と寝ておりました。

「うわぁ、ようけおるなぁ。
(近づいて、そっと手を伸ばすと)・・・・あ、捕れた。

 え〜?ああ、寝とるんや。いびき、かいとるがな。
(また、そっと手を伸ばし)捕れた。何ぼでも取れるがな。何ぞ入れもん持ってきたら良かった。

 しゃあない。
(首をぐぅ〜と引っ張り)帯の間にはさんどいたろ」

 体中鷺だらけになって、ぼちぼち帰ろうと塀の上にのぼったところ、塀に立てかけてあった梯子を夜回りの者が「用心が悪い」と片付けてしもた。
 それを知らんと、おかしいな、梯子はどこかいなと探してる間に、東の空が白いできた。

 鳥というのは、非常に朝の早いもんでして、
(目をさましたが、帯で首がはさまれてるので)げぼっ!何やこれ?あっ、人間に捕まってんねがな。(左右を見渡し、自分の右側の鷺に声をかける)

 おい!起きろ、鷺次郎!」
(やはり、首がはさまれているので)げぼっ!あっ、鷺右衛門、おはようさん」
「おはようやないがな。わいら皆、人間に捕まってしもたんや」

「どないしょう?」
「一斉に羽ばたいてやな、この人間飛ばしてしもたろ。
 お前はそっちから起こしていけ。わい、こっちから起こしていく。
 静かに起こせよ。人間に気付かれんようにな」
「よっしゃ、わかった。おい!起きぃ!」
げぼっ!おい、起きぃ!」
げぼっ!」・・・・・・・。

「皆、起きたか?ほな、一、二の三で羽ばたくぞ。ええか?それ!一、二の、三!
バタバタバタバタバタバタバタバタ・・・・・・男は天空高ぅ〜に舞い上がった。

「うわぁ〜〜 どないなってんねん、助けてくれぇ〜」

 飛ばされていくうちに目の前に鉄棒がありましたので、必死になって、それにつかまりました。

「ああ、びっくりしたぁ。危うく国外に亡命するとこやった。
(帯にはさんでいた鷺の首を次々に抜いて)飛んでけぇ、お前も飛んでけぇ。

 鷺のやつ、取らす時は、何ぼでも取らしときやがって、後でこんなことするとは・・・・ほんまにサギ
(詐欺、鷺)におうたようぉや

(前の方で、おばちゃんが一人拍手をしたので)
 ここで拍手は要りません。オチやないんで

 しかし、どこまで飛ばされたんやろ?
 
(と、下を見て)あ、石の鳥居や。
 大阪で、石の鳥居ゆうと・・・・天王寺さんや、天王寺さんや。わいの家のほん近所や。
 何や、送ってもろたようなもんや。鷺に感謝せなあかんな。

 しかし、天王寺さんにしたら、肝心の五重の塔が見えんなぁ。

 あこが、石の鳥居やろ?あこが、亀の池。本堂で・・・・・金堂で・・・・ああああ、ここかぁ?

 あほが、五重の塔のてっぺんの九輪につかまっとったんで。
 下では、何ぞ五重の塔のてっぺんにとまっとる。
 鳥にしたら大きい。宇宙人の襲来か・・・で、えらい人が集まってきた。
 これを当て込んで、たこ焼き屋は出る、リンゴ飴の屋台は出る。

 これはほっとかれへん、人を救うは出家の仕事。何でも寺には大勢が修行の時寝る大きな布団があるそうで。それを出してきて、四隅を坊さんが持つ。

「うわぁ、何や知らん、ようさん人が集まってきたなぁ。
 今日は縁日か何ぞあるんやろか?・・・・あっ、あら皆、わいを見に来てるんか。

 かっこ悪いなぁ。しかし、どないしたら降りれるんやろ?

 ええ?何ぞ、下で大きな布団の四隅を坊さんが持って、広げてるけど?
 何かゆうてるでぇ?
(下に向かって)あかん!あかん!声は届きませんのや!

 あ、のぼりが上がった。なになに・・・・コレ  ヘトヘス  クフテヤル? コレ・・・・ヘトヘス  クフテヤル?ここ、ほんまに日本かあ?

 あ、コレで切ったらあかんのか。コレヘ トヘ スクフテヤル ・・・・。ああ、『これへ飛べ 救うてやる』か!

 頼んまっせぇ、ちゃんと救うておくなはれやぁ。真ぁ横で、『あ、しもた』なんてのは、かないまへんでぇ。頼んまっせぇ〜!!」

 必死の思いで飛び降りて、その布団のまん真ん中にみごと飛び降りたんですが、あんまり勢いが良すぎたもんやさかい、四隅の坊さんが、真ん中で頭をゴツ!ゴツ!ゴツ!ゴツゥ〜〜!!

 一人助かって・・・・・四人死んでもた。


  どうも、お退屈さまでした。聞き違い、記憶違いはご容赦ください。  
 



 

inserted by FC2 system