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(No135) 米朝一門会 鑑賞記その3       

   平成21年3月29日(日)にヴィアーレ大阪で開催された落語会のメモ・・・・・・の完結編。



 

(5) 桂小米 「猫の皿」

 前に聴いた時より少しやせた感じ。

 それと声がずいぶんしゃがれていた。以前聴いた時は風邪だと言っていたが。


 
 この頃、骨董とか古美術が流行ってますな。

 「何でも鑑定団」とか見てると、本物は4割くらいですね。
 あれ、ニセもんやぁ!って言われたらスッ!としますなぁ。

 最初は当たり前のものを集めてますが、ちょっとこってくると一ひねりしたもんを集めるようになってきます。

 うちの親父もマッチの箱を集めてまして、家の鴨居の上にズラッ〜っと並べてました。

 コレクションもちょっと集まってくると人に見せとなるもんでして。

「どや?この杖」
「はあ、竹の杖でんなぁ」
「これな、水戸黄門の杖なんや」
「え?TV局の?」
「ちゃうがな。本人のんや」
「ええ〜?何で分かりまんのん、そんなこと」
「何でて、ここに名前が書いたぁる。水戸光圀って。そんなん、名前書くのに、他人の名前書くかぁ?書くねんやったら自分の名前書くやろ?せやから、これは水戸黄門の杖や」
「何ぼしましたん?」
「85万円や。
 どうや、この笛は?」
「この笛は誰のんです?」
「牛若丸や。名前書いたぁるやろ」
「高かったんですか?」
「125万くらいかな。ちょっと触ってもええで」
(手に取って)ええっ〜〜?たて笛でっかぁ〜?」
「小学校に行ってた頃の笛やさかいな」
「何でんねん、この弓矢は?あ、矢ぁにリンゴがつき刺さって・・・・・・まさか?」
「せや、ウィリアム・テルのんや」
「何ぼしましてん?」
「753万・・・とんで130円や。
 ちゃんと名前書いたぁるやろ。テル・ウィリアムて」
「ははあ。外人やから、テルが先でっか。しやけど、カタカナで書いてまっせ

 そのしゃもじは何でんの?」
「そら、笏
(しゃく)や。聖徳太子愛用の笏や」
「笏ゆうたら、もっと長いもんでっせ。こない丸いゆうのは」
「愛用したはったさかい、ちびたんや」
「いくら愛用してたゆうたかて・・・・・・・・裏に『宮島』ゆうハンコ押してまっせ


 田舎に古道具の買い付けに来た骨董屋。何も掘り出し物がなく、ヘトヘトになってあんパンと牛乳でも買おうと雑貨屋に飛び込む。

 と、その店の猫が餌を食べている皿が、絵高麗の梅鉢の皿というとんでもない高級な品。

 男は、店のおじいさんが、足に泥が付いている、抜け替わる季節で毛が服につくと止めるのもきかず、わいは猫好きやと抱き上げ、前に飼っていた猫にうりふたつなので是非譲ってくれともちかける。

 おじいさんは、いま留守にしているがばばどんが可愛がっているので・・・と渋るところを「かつぶし代」と言って1万円札を強引に握らせる。
 そして、事のついでのように、食べ慣れた皿でないと餌を食べないかもしれないので、あの皿ももらっていくと告げる。もちろん最初からそれが狙い。

 ところがおじいさんは、あれは絵高麗の梅鉢の皿といって、もし箱書きが備わっていたら1000万はくだらない。なくても700万や800万という皿じゃ、とにべもなく断る。

 すっかりあてが外れた男、何でそんな皿で猫に餌やってんねん?と訊く。

「いや、あの皿で餌やってると、ちょいちょい猫が1万円で売れますのでな」というのがオチ。

 

 まあ「膝代わり」(トリの一人前)なんで当然かもしれないが、実に小品。あっさりと短めに終了した。

 

 


(6) 桂米團治 「くっしゃみ講釈」

 トリは五代目米團治。
 五代目米團治を襲名させていただきまして、昨年10月4日の京都南座を皮切りに、昨日千秋楽を迎えまして、まだ、余韻が残っております。

 今日も何か襲名興業のような気がいたします。


 というようなところから噺が始まっていく。

(1) 「東京はこぶ平、ダブル襲名、今度は三平やゆうてんのに、うちの一門は葬式ばっかりやないか」と襲名を勧めてくれたのはざこば。

(2) 「米朝になれ」というのがざこばの提案だったが、「ほな、わしは何になんねん?」という師匠の言葉にあえなくボツ。

(3) 襲名の候補には「月亭可朝」もあった。

(4) 「ファンなんですよ〜。・・・・・・お父さんの」、「サインもらえます?・・・・お父さんの」という声ばかり。

(5) 父は落ち着いたようで慌て者。一番驚いたのが、水虫の薬を目薬のように目にさしたこと。

・・・・・というような、もう、これまでいやになるほど聴いたマクラを経て本編へ。


 この本編も特筆するようなこと、珍しい演出などは特になし。

 

 むしろ、前に(小米朝時代)この噺を聴いた時にも感じてメモしたのだが、くしゃみが連発しすぎで、「講釈の中でついつい出てしまったくしゃみ」という感じじゃなくて、講釈部分と、本格的なくしゃみ部分が分離しすぎて、何か爆発的な笑いに結びつかない。

 そのほかの点も前回に「くっしゃみ講釈」を聴いた時の感想と同じ。全然変わってへんなぁ。まあ、襲名したからゆうて、いきなりメキメキと進歩する筈もないか・・・という感じ。

 

 

 


 言葉は悪いが、全体的に低調な落語会だった。やはり、この中では南光か。

 どうも、お退屈さまでした。聞き違い、記憶違いはご容赦ください。  
 



 

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