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(No129) 第11回朝日東西名人会 鑑賞記その2
平成21年2月1日(日)にシアター・ドラマシティで開催された落語会のメモ・・・・の続き。
(2) 桂銀瓶 「七段目」
落語ブームと言われておりまして、私も先日、近所の小学校で落語をさせていただきました。何せPTA会長が嫁はんでして逆らうことができません。
4年生の前で、先ほどかい枝さんがやらはった「手水回し」をやらせてもらいました。
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一人でいろんな役をやるんです、という解説をしまして、
「あなた、行ってらっしゃい」
「ああ、行ってくるよ」
「うう〜ん。行ってきますのチュ〜ゥ!」
「何言ってるんだ。時間がないのに」
「やだぁ〜ん。チュウゥ〜〜ン」
「もう!仕方ないなぁ」
チュウ〜〜ゥンンン
・・・・・・・・・・・・てなことをやったんです。
恥ずかしかったんです。 |
後で先生から感想文をいただきました。
ほとんどの子ぉが「落語おもしろかったです。今、学校では頭を回すのが流行ってます」とゆうような作文やったんですが、二人だけ「妻と夫の会話がおもしろかったです」・・・・・・。
何でも面白いと真似したくなるもんでして、ダブルオーセブン(007)、今、ボンド役が、ダニエル・・・・・何とかゆう人です。
最新作が「慰めの報酬」?今日の報酬・・・・・・朝日新聞、期待してるで。
私、ピアーズ・ブロスナンゆう人が好きでした。5代目ボンドです。今は6代目。6代目笑福亭松鶴とは、えらい違いですが。
映画観た帰りには頭ん中に♪バンバラバンバン バババン バンバラバンバン バババン♪ゆうジェームズ・ボンドのテーマが流れてるんです。 後でゲームセンターへ行きました。ピストルでゾンビ撃つゲーム。バンバン撃つんですが、いっこも当たらへんのです。 ジェームズ・ボンドゆうより天才バカボンの警官ゆう感じ。
「お名前は?」
「ボンド。ジェームズ・ボンド」ゆう会話がしとうて仕方ない。で、文房具屋さん行って「ボンド!」・・・・。
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で、本編の「七段目」が始まった。
中身的にはよね吉が演る「七段目」と全く同じ。
どのくらい同じかとゆうと、若旦那が、親父に殴りかかろうとしたのを番頭に叱られて、詫びながらも「盛り上がったな」とゆう場面や、梯子段を上がるところで足先でバタ足のような音をあげるとこまでそっくり。
となると、申し訳ないが、この後の噺は、所作といい、台詞回しといい、キレのない「下手なよね吉」を聴いている感じしかしなかった。
銀瓶は、誰からこの噺を習ったのだろうか? |
(3) 三遊亭楽太郎 「ずっこけ」 出囃子が鳴ったが、楽太郎は鼻をつまみながら、トボトボとゆう感じで高座に歩みを進めていった。
遠くから見ると、スピードワゴンの井戸田に似てる感じ。
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正月が終ってしまいましたね。
正月から酒を呑み続けて、ちょうど疲れが出る頃で。
調子が悪いといっても、呑まない医者に行っちゃいけませんよ。呑まない医者は平気で酒やめろって言いますからね。
「γ−GTPとかね、GOT・・・・・。脂肪肝だね。肝ガンにはならないよ。その前に肝硬変で死ぬから。
3ヶ月禁酒しな。そうしたらきれいな臓器に戻るから」てなことを言います。 |
そこ行くと自分が呑む医者だと
「あのぉ・・・・・・・先生、原因は酒でしょうか?」
「ストレス!」
「え?」
「楽太郎さんなんて、いろんな人に会うんだから、適当に呑んでストレス解消しなくちゃあ!」
ま、ストレス解消の酒は最高ですが、
「酒呑むと、喉渇くなぁ」・・・・・・・・て、うちは水代わりにビール冷やしてるんです。350mℓ。グラスなしで飲めるちょうどいい量。
チュ、チュ、チュチュチュチュ・・・・・・・。(と、一息で缶を呑み干す)
「う〜ん。やっぱビールは冷えるな。
そうだ、お燗しよ。昔は湯ぅ沸かして大変だったけど」
昔は、なかなか燗つけんのんも大変でした。 (少し呑んで)
あれ?まだか?銚子が肉厚からかなぁ?
(また、少し呑んで)
あれ?湯ぅ沸いてんだけどなぁ?
(さらに呑んで)
うわ、少し熱いな。ちょっとうめよ・・・・・・・ってお燗してる間に2本くらい呑んじゃう。
その点、今はチンがありますからね。・・・・・・いやぁ「チン」で通じますねぇ。 だいたい1合1分ですね。
女性なら、お燗してる間に、冷蔵庫からタッパ出しておしんこ用意したりしますが、男は不器用ですからね。消えるまで見てます。
「・・・・30秒・・・・・・・15秒・・・・・・・5・・4・・3・・」ってロケットの打ち上げみたい。
「居酒屋の親父が言ってたけど、『チンの酒は上だけが熱い』て言ってたな。割箸でかき混ぜてって・・・と。
(日本酒を呑んで)
う〜ん。やっぱ、日本人だな。
純米酒、吟醸酒・・・・・・・・。やっぱ純米酒だな。
(さらに呑んで)
でも、日本酒は少し口の中がベタベタするなぁ。
何かサッパリしたいなぁ。あ、そうだ。九州で芋焼酎もらったよな。
水、先に入れるんだったなぁ。あ、香りが違う。
昔、芋焼酎初めて呑んだ時は鼻についたもんだけど、洗練されたのかな?流行る筈だ。
・・・・・・・・・でも2杯も呑むと・・・・・・・・・・・芋は芋だな。所詮、江戸っ子の呑むもんじゃねえ。
あ、麦焼酎があった。
・・・・・・こないだ、かい枝に『寝酒を英語でどうゆうんだ』って訊いたらナイトキャップだと言ったな。
え?寝癖がつかないように夜にかぶる帽子か?って訊いたら、夜にウィスキーのキャップで呑むことだって言ってた。 キャップの端で唇切らないようにしないとな。
・・・・・・・・・・(ウィスキーを呑んで)ケヘッ!生(き)で呑むときついなぁ。
水、用意しといたら良かったなぁ。・・・・・そうだ、ビールがあった」
・・・・・・って、これをふた回りもやると家ん中でベロベロになります。
酒には、必ず癖というものがあります。
上戸(じょうご)と言われるものですが、特に多いのが三上戸。
怒り上戸、泣き上戸はいけませんが、笑い上戸ってのは陽気でいいですね。でも聞いてると、バカなことで笑ってますよ。
「ハハハハ 聞いてくれよ ハハハ おかしいんだ。 うちの女房・・・・・女だ」って・・・・・・・・。
にわとり上戸ってのがございます。
(注がれて)
「とととっとっとっとぉ・・・・・・・・・・・もう、けっこう!」
あと、壁塗り上戸。これは下戸(げこ)です。
「え?たんとは、いけない。いや、駄目なんです・・・・いや、いや・・・・・」
(と、手を上下に動かしたり、左右に動かしたり)
壁、二軒分くらい塗ってしまってる。
苦虫上戸ってのもございます。別名、薬上戸。
「え?俺に?どうしても?俺ぁ手酌でやってんだよ。・・・・・・おめえはすすめ上手だからなぁ。
いや、杯じゃ面倒くせえから、あっさり湯呑みでいいよ。 (注がれて)
こんな馬鹿ぁ、ねえな。どうして、こんなになみなみと注ぐんだ?口から迎えに行かなくちゃいけねえじゃねえか。
(首を傾げたり、顔を見たり、苦々しげな表情で)
・・・・・・はぁ・・・・・・・・・・・・うめぇ」
美味いなら、素直にそう言やぁいいと思うんですが。
やなのが、からみ上戸ってやつですね。寝てるのはいいんです。終着駅に着いたらタクシーか泊まるとこ探しゃあいいんですから。
厄介なのがうろついてる酔っ払いです。あらぁ、からむ相手を探してますからね。
そんなとこに新年会なんかの帰りのOLとかが来ると、今までもてなかった腹いせがきます。
「うるせぇよ!ブス!」
「まぁ、失礼ね。この酔っ払い!」
「へん!俺が酔っ払ってるのは明日になりゃ治るけど、おめえは一生だ」・・・・。
思わず仲裁に入るより先に「これは使える」とメモしたり。
馴染みの居酒屋で呑んでると、近所に住んでる、おかみさんの妹が、散歩帰りに犬を連れて入ってきた。
「こら!飲み屋にブタを連れてくるんじゃねえ!」
「まあ、ずいぶん酔っ払ってるのね。これは犬よ!」
「黙ってろぃ!俺は犬に言ってんだ!」 酒ってぇのは、年代を超越しますね。親子ほども年の離れた二人が、酒の銚子を真ん中に話をしてるってことがある。
「あんちゃん、家はどこだい?」
「俺っすかぁ?阿佐ヶ谷っす」
「阿佐ヶ谷ぁ?ほんとかい?俺もそうなんだよ。北口かい、南口かい?」
「北口っす。左のアーケードを入って」
「ええ?ほんとぉ?まるまる同じじゃねえか。八百屋んとこ入って、郵便局あんの知ってる?」
「ええ、知ってますよ。そこの角右に曲がって、三軒目のブロック塀の家っす」
「待てよ。そこは、俺のうちだよ!」
「違いますよ、俺のうちっす!」
(別の客が)
「おい、マスター。あそこの客、喧嘩始めたけど、いいのかい?」
「ええ。親子なんだけど、酔うと分かんなくなるんですよ」
縄のれんとか呼ばれる居酒屋は、まあ、どこでも似たようなもんでして。
「お客さん。看板なんです。この頃、警察がやかましいんで、お願いします」
「何ぃ?警察が怖くて、酒が呑めるか。
うん。小僧大明神、頼むよ。もう一本持ってきてくれ」
「ええ?ねっきり、はっきり、これっきりですよ。
お酌します」
「何ぉ〜?熊がジャンケンしたみたいな手、しやがって。おめえ、みんな親指じゃねえか。
どんどん呑ませて、早く帰らせようとしてるんだろ。そうは行くか。
ささ、こっちに銚子を貸せ。
へへん。計略、図に当たったね。俺ぁ、チビチビ、なめるように呑むからな。
何、してんだ?え?片してますぅ?なぜ、そんなことをする?
時間がございません・・・・だとぉ?だから、おめえは工夫が足りないってんだ。俺が出ていってから、倍、動け。なら、半分の時間で済むんだよ。 (酒を呑み)
うん、美味い。おい、小僧。おめえんとこの親父は酒が好きだろう?
何?蔵元で吟味してますぅ?分かるよ。
あたピンの酒は困るからな。なに?あたピンって何だってぇ?頭にピン!と響く酒のこったよ。
おおい!ちょっと聞け!
こないだ脇で、初めての店に入ったんだよ。そうしたら、酒呑んで、腰へガクッ!と来たんだ。
で、小僧に『おい、こらぁ何て酒だい』って訊いたら、答えが驚いたね。『はい、犬の盛りです』って。
日本盛(にほんさかり)ってのは聞いたことがあるけど、犬の盛り(いぬのさかり)とはね。道理で腰に来た・・・・。 バタバタすんな!
小言?小言じゃねえよ。でも、言わなきゃ生涯気がつかねえだろうから、言っとくが、はな(最初)の一本にはお通し(いわゆる「突き出し」。お仕着せの酒の肴)が付くってのが、決め式だ。それが何だ!俺のとこには突き出しが出てねえじゃねえか!
え?出てます?
あ、これかぁ?俺ぁ、隣にいた客のか、と思ってた。
なら、出す時に『お通しでございます』とか何とか言やぁいいじゃねえか。
何?言いましたぁ?
じゃあ、俺も言おう。『聞こえませんでしたぁ〜』
じゃさぁ、隣を片す時に『これはお宅のですよ』とか言やぁいいじゃねえか。
何?言いましたぁ?じゃあ、俺も、もういっぺん言おう。『聞こえませんでしたぁ〜』 お通しは・・・・・ヌタかぁ。うん!酢味噌も、ネギの湯通しの加減もちょうどいいや。
腹にたまらないのがいいな。この頃は余計に金を取ろうってつもりか何か知らねえが、イカのヌタとか、マグロのヌタとか出すけど、ここみたいなネギだけのヌタが一番いいんだよ。
・・・・・・聞けよ!こないだ、脇で別の店に入ったんだ。その店、いつもはまあまあの味のもんを出すんだが、その日連れていった奴が、皆、首傾げてる。
で、やじに訊いたんだ。何?やじって何だぁ?おめえ、そんなとこだけ聞いてやがんなぁ。
やじってのは、親父を縮めてやじってゆうんだよぉ!
で、やじに『いつもと味が違うなぁ』って言ったら、『はい。板前が変わりまして』なんて言うんだ。
だから、俺ぁ『板前は、ここに居給え(板前)』・・・・・・・・・・・・・。
何、黙ってんだ!こうゆう時は『お上手ですね』とか『座布団、一枚!』とか言えよ!
『呑ん兵衛に 雑煮勧める 馬鹿がいる』ってゆうけど、このヌタはシャキッ!としてるようで、クタッ!としてるとこがいいねぇ。 この生ネギが何とも・・・・・・・(鼻がムズムズして) エ〜・・・・・・・・・・グエッション!(食べていたヌタが腕に飛ぶ。半分ほど食べるが、邪魔臭くなって、顔中に塗りたくる)
何?顔中ヌタだらけですぅ?こう、上唇をなめて・・・・・下唇をなめて・・・・・・・。
こうゆうオツな呑み方をする御仁には、なかなかお目にかかれねえだろう?
何?頬っぺたにも付いてる?分からねえ奴だな。付いてるんじゃねえ。取ってあるんだ。
こうやって寄せてくらぁ。(頬っぺたに手を当て、口へ滑らせていく)
雪かきの肴だ。
おでこにも取ってあるんだぞ。呑んでるうちに伝わってくる。鼻まで来たらなめるんだ。
降りてこねえと、こうして・・・・顔を動かしてだなぁ・・・・。
顔動かしても駄目な時は、手でこうするんだ。
(猫が顔を洗うような所作)
猫がよくこんなことやってるよなぁ?
おい!黒文字、爪楊枝くれ」
「前にありますよ」
「ねえから言ってんだ。
何?もうちょい左の方ですぅ?
あ、これか。おめえに教えといてやる。前ってえのは肩幅までだ。
二度手間になるだろ?前向いて、それから横を向くと。遠回りになるじゃねえか。
(爪楊枝で歯をせせり)
へへへ。何度でも食えるんだ。年取ってくると、歯がすけてきて、いろんな物がはさまる。南京豆とか、せんべえとかな。
へへ。歯クソの掃除で酒が呑める・・・・・っと。(使った楊枝を、元の場所に戻そうとしたところを小僧に見つかる)」
「使ったのを戻さないで下さい!」
「こうやって混ぜときゃ分かりゃしないよ。ささくれたのが出れば、当たりだ」
「あの〜。本当に最近警察がやかましいんで。そろそろ看板に・・・・」
「うるせえな、張っ倒すぞ!
歌、うたえ」
「・・・・・・・・分かりました。♪ゆうやぁ〜け こやけぇ〜で ひが くぅれぇてぇ〜〜♪」
「どうして、そうゆう歌、うたうかなぁ。カラスと一緒に帰る歌だろ?帰らないんだよ。
都々逸とか歌えないのか?子供じゃ無理か?
都々逸ぁ、恋の橋渡し・・・・なんてな。
♪止めちゃいやだよ 酔わせておくれ まさぁかぁ〜〜 しらぁふぅじゃあ〜 言いぃにくぅいぃ〜〜♪ってなぁ!
・・・・・黙ってねえで、よ〜!よ〜!とか言えよ!
酒は米の水 水戸は丸に水 意見する人 向こう見ず・・・ってなぁ」
「(平板な調子で)よ〜 よ〜」
「・・・・・民謡行こぉ 民謡。上州に派手なのがあるだろ?ヒツジ・・・・・じゃねえ、ヤギ(八木)節・・・」
(別の客が)
「ごめんよ」
「すみません。看板なんです」
「客じゃねえんだ。こいつを連れに来た」
「あっ、お連れさんですか?」
「おい!熊っ!」
「ん?俺のこと熊って呼び捨てにできるのは、町内広しと言えども、兄ぃくらいだぞ・・・・・。
あっ、兄いか。座りなよ。・・・・どうぞ、お連れの方も座って下さい」
「俺ぁ、一人だよ」
「(片目をつぶって、あらためて見つめて)あ、ほんとだ」
「明日、朝一番で仕事なんだよ。おめえの家に知らせに行ったら、風呂に行ったっきり戻ってねえってゆうじゃねえか」
「そうなんだ。俺も湯屋に行くつもりで、見てくれよ。ほら、耳に湯銭、入れたままだろ?
今、バタバタ走ってる小僧、あいつが『いろこで 一升〜』とか言いやがるんで、ついフラフラと入っちまったら止まらねえ。
でも風呂行くつもりだったから、湯銭しかねえんだ。
初めての店で義理欠くのも何だし、こうやってつないでるってぇと、誰か知り合いが来るだろうと思ってたんだが、今日に限って雑魚一匹かかりゃしねえ。
魔日(まび)ってゆうのかねぇ。仕方ねえから、そろそろ逃げようかって思ってたところに兄いが来た」
「仕方ねえ。じゃあ俺が立て替えておこう。
ほら、小僧さん、悪かったな。いや、釣銭はいらねえ。奥に言わなくていいよ。おめえの鼻紙代さ」
「ありがとうございました。また、お越しください」
「けっ!今まで早く帰れ、帰れってゆってたくせに。二度と来るか、こんな店!」
(憎まれ口をきいて、席を立とうとするが、酔いが回って、ずっこける)
「おいおい、ずっこけるなよ。俺につかまれ」
「♪ゆうやぁ〜け こやけぇ〜で♪」
「何、歌ってんだ」
「兄い、せっかくだからもう少し呑もうよ」
「こんな時間、どこも開いてないよ」
「そこに赤いあかりがついてるよ」
「あら、交番だ」
「そうか・・・。あ、その先にぼ〜っと赤いのがある。あら、居酒屋の赤提灯じゃねえかな?」
「あれはポストだよ!」
「・・・・・なんで、ポストは、あんなに赤いのかねえ!」
「耳元ででかい声出すんじゃねえ。
おう、どこに行くんだ?」
「出物、腫れ物、ところかまわずだよ」
(塀に向かって立小便をしようとするが、酔って前に倒れそうになる)
「おいおい。突っ伏しちゃあ危ねえ。前の塀にちゃんとつかまりな」
(塀に両手をついて)
「う〜ん。つかまったけど、つかまったについちゃあ、困ったことができた」
「何だ?」
「両手がふさがって、着物の前がめくれねえ。兄い、頼むよ」
「・・・・ったく、何をやらされるか分からねえなあ」
「俺ぁこう見えても、いいうちで生まれたんだよ。お坊ちゃまなんて呼ばれてな。ばあやが世話してくれて。
親父がしくじって、家をつぶしちまったけど。お清ってのが、よくしてくれたなぁ。
『ばあや、ちっこ』ってゆうと、『お縁側でしましょう。し〜こっこっこ〜〜 わんわん こい〜』。
兄い、あれやってくんないかなぁ?」
「やだよ」
「やんないと、ここで夜明かしだよ?」
「・・・・しょうがねえなぁ。しっ!しっ!しっ!」
「切っちゃだめだよぉ。切るたんびに逆流する」
「うるせえなぁ。こうか?し〜こっこ〜」
(突然、熊は嗚咽を始める)
「うぐ、うぐぐぐ、うぐ、うぐぐぐ」
「何言ってるか、分からねえ」
「兄いにここまでしてもらってるのに、俺ぁ何の恩返しもできねえ」
「どうしたんだ。急に」
「俺はもう長くねえようだ」
「え?」
「へそから小便がもるんだ」
「何だと?そら、大変じゃねえか!(様子を見て)
おめえ、まだフンドシを外してねえじゃねえか!」
「ああ、それでか。道理で股ぐらがポカポカすると思った。
何か、息子を温泉に入れたみたいで。この温泉はクサつ(臭つ。草津)温泉」
おもしろかったが、オチといい、歯クソで酒が呑めるってくだりにしても下品だ。
楽太郎は笑天ではブラック軍団とか名乗ってるが、いかにも腹黒そうな印象がある。(偏見かもしれないが) 結局、個々の性格が最終的な噺家としての完成度につながるんだろうか?
どうも、お退屈さまでした。聞き違い、記憶違いはご容赦ください。
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