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(No101) 平成紅梅亭 リクエスト落語会 鑑賞記   その2    

 平成20年3月27日放映の「平成紅梅亭」・・・・・・・の続き。
 


(4) 桂小米朝 「稽古屋」

 
中入り後に登場は小米朝。
 さっきまでミナミ(大阪市内の繁華街。難波)の松竹座で「紫式部物語」という芝居に出ておりまして。大地真央さん主演で。

 漢学者の役でして、芝居の台詞はスッ!と出てくるのですが、こうしてマクラでしゃべるのんがなかなか言葉が出てこんとゆうか、何や不思議な感覚です。

 今年は何でも源氏物語千年紀とか申しまして、『源氏物語』がでけて1000年目やそうです。世界一古い恋愛小説だそうですね。男と女の戯れ言が書いてある。
 稀代のプレイボーイ光源氏が、まあ、歩きながら、今日はあの女を、明日は人の嫁はんをいてもたろうなんて考えながら、いわば、小米朝が歩いてるのんとおんなじような具合で・・・・・・・・私、いったい何をゆうてるのでございましょう。

 1000年前ですから、もちろん電気はございません。ということは、TVも映画もないんです。落語も、まだございません。能、狂言もないんです。・・・・・・・・・何をしてたんでしょうね?

 
 「恋というのは、昔からテキスト、手引書、指南書なんてものはございません」、「恋は思案のほか、理屈で割り切れるもんやないとか申します」と、ラストのオチにつながる布石をチラチラとしゃべって、本編へ。

 もてたい主人公が「宇治の名物ほ〜たる踊り」の秘技を披露した後、紹介された稽古屋へ。

 表の格子窓越しに、中の稽古の様子を眺めている。中では稽古屋の女お師匠さんが、小さな女の子の生徒に厳しい指導を。

「おみっちゃん、何べんゆうたらわかるの?♪ 咲かぁせぇたぁ〜〜『り』♪ この『り』のとこでお手々上げまんの。ちゃう、ちゃう。『り』ぃで上げまんねんがな。もう!『り』ぃ上げんの!」
「うわぁ、ここ稽古屋思たら質屋
(ひっちゃ)かいな。あんな小さい子ぉが何を質に入れたんや?
 お〜い!利ぃ上げな流れるぞぉ!
(利息を入金しないと質入した物が取り戻せなくなるぞぉ)」 

「あんた、腰が高いさかい、もっと腰を折って。・・・いえ、おいど(お尻)突き出すんやないの。
 腰を折って。いや、腰、折んの!」
 ガラガラガラガッシャーン!!
「表の格子
(こぉし)、折ったんどなただす?」

 
   今度は、おはなちゃんという女の子へ指導。

 今日の小米朝の演出は、お師匠さんの指導ということで、先生がいろいろ声をかけながら、見本を示してみせるので、ちょうど小米朝の踊りを見せてもらってるような感じになれる。

「はい、おはなちゃん。そしたら、まず、八の字ついて、お辞儀しましょ。
 あら?袂からお芋が二つも出てきた。そんなもん入ってたら、踊られへんやないか?え?そこの芋菊で買うてきた?まあ。お師匠さんが預かっときます。お稽古終ったら一緒に食べましょ。

 ええと、今日は『手習い講』の『恋のいろは』から。

 はい、手拭いもって。そう、そっちのお客さんにお辞儀する。

 はい、今度はそっち。そぉそぉそぉ。はい、手拭い返した。恋文やで。(と、手拭いを手に掛けて、手紙を読んでいるような手振り)

 はい、見せに行きます。恥ずかしい、恥ずかしいして。
(と、手拭いを顔の上にかざし、ゆっくり顔を左右に振って、恥ずかしいと『イヤイヤ』をしているような格好) 

 もっと、大きぃ回って。そぉもっと大きく(と、手拭いを大きく振り回す)

 あ?ちょっと、ちょっと、ちょっと(と、下座の三味線に声を掛け、演奏を止めて)

 どうしたん?急に火のついたように泣き出して。え?耳貸して?まあ、やらしぃな、この子。すっ!とゆうたらええのに(と、耳を寄せて)

 え?後ろのおっちゃんが?私のお芋を食べてます?」

 お師匠さんが横を見ると、男が「小腹がすいたもんやさかい・・・」と口をモグモグさせており、「何しますねん!」とぎゃっ!とかみつくような真似。
 「後で買うたげますさかい」となだめ、気を取り直して稽古を再開するが、今度はゲラゲラ笑い出したおはなちゃん。また耳打ちをするので聞くと「後ろのおっちゃんが、草鞋を鉄瓶の上に乗せたはります」。

 お師匠さんは今日が初稽古の筈なのだが、ずいぶん気兼ねなしに男に怒ってるというか、ちょっとヒステリックな感じ。

♪梅はぁ〜咲い〜たぁか 桜ぁは〜まだかいな♪という唄を手本を見ながら歌うよう命じられた男が「う〜〜めぇ〜わぁ〜〜さぁ〜いぃ〜〜」とぶつ切れで読み上げるので「目ぇの検査(視力検査)かいな」とつっこむお師匠さんがおもしろかった。

 オチは、もてたいから稽古しに来たという男に対し「恋は指南のほかでおます」というスタンダードなものだった。 





(5) 笑福亭松喬 「はてなの茶碗」

 
トリは松喬。あぶらの乗り切った高座。 
 わたくし、天王寺というところに住んどるんですが、近所に四天王寺さんがございまして、毎月縁日が出ます。

 私、腕時計はせんのですが、懐中時計が好きでして、そこで古道具を眺めたりするのですが、時々、あれ?というようなものが出たりしております。

「え?この懐中時計が15000円?」
「へえ。15000円。この値段では出てまへんでぇ!」
「ここに出てるがな」
「・・・・・・・まぁ、そらそうですけど。普通やったら、まあ10万円はしますわ。・・・・・・動いたら」
「え?動かんの?」

 動かん時計でも、自分で修理して・・・・となったらえらいもんですが、なかなかそうゆうわけにはいきません。


 懐中時計が好き・・・とあるが、そういえば以前ぐんままさんにチケットをいただいて松喬師匠の高座を聴いた時も懐中時計を持っておられたなぁと思い出した。

 四天王寺では、21日がお大師さんの縁日(弘法大師の命日)、22日がお太子さんの縁日(聖徳太子の命日)だそうである。



 まあ、こうゆう品物の値打ちてなものは、なかなか素人にはわからんもんですが、えらいもんで、女性なんかが美術館で、絵ぇの前で七三に構えて眺めてはったら、ああ、芸術がおわかりになるんかいなぁなんて風に見えますわなぁ。

「まあ、この絵は、ゴッホね」
「・・・・いえ、これはモネでございます」
「あら、そう。あ、これがゴッホね」
「・・・・いえ、そちらはミレーでございます」
「・・・・・・・そう。あ、この絵はわかるわ。目が右向いて、鼻が左向いて。これはピカソね」
「・・・・そこは鏡でございます」

 同じ品物でも奈良で買
(こ)うてきたとゆうと値打ちがあるように聞こえますわなぁ。1万円のもんでも、10万円くらいの値打ちがあるように思える。京都とか鎌倉とかもねえ。

 反対に、10万円で買うても、場所によったら値打ちが変わる。

「おぉ、結構なもんですなぁ。10万円?どちらで買いなはった?」
「通天閣の近所で」
「・・・・・・お気の毒に」

 そん中でも、一番値打ちといえば、やはり京都でしょうか。街全体が世界遺産ですからなぁ。
 京都では三代くらいでは笑われるそうですなぁ。十二代、十三代でやっと大きな顔がでける。うちは応仁の乱から・・・・・とかね。

 京都の家なんかは間口が狭
(せも)ぉおて奥が広い。こら、昔、家の間口の幅によって税金がかかったさかい、少しでも税金を安くしようという庶民の智恵やったそうですな。

 饅頭なんかでも、大阪で200円の饅頭ゆうたら、えらいことですが、京都の饅頭やったら500円とかね。
 私ら、500円の饅頭、食うたら口腫れる。

 まあ、饅頭が500円でも当たり前ゆうのは、饅頭がお茶の道具でもあるからなんかなぁと思います。歴史がある。
 その分、一つ一つ丁寧に、手作りでこさえてます・・・・・って、そんだけ手垢にまみれてるゆうことでっか?人の心を食べてる・・・・・・てな言い方もでけるんかわかりまへんけど。

 私は、お茶のことは何もわかりません。裏も、表も・・・・斜めもねぇ。

 
 そして、本編の「はてなの茶碗」へ。

 内容については、南光で詳しくメモしたので省略する。

 「三両で買おう」、「半分の五百両を譲ろう」というところで、比較的あっさり受けるのが特徴かなって感じがした。

 

 



  どうも、お退屈さまでした。聞き違い、記憶違いはご容赦ください。

  
 



 

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