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北京旅遊記(11)湖広会館(京劇)編−2


 4組ほどで撮影は終わり、次の演目へ。
天女散花  次は「天女散花」で、羽衣のような長い袖を華麗に操るのが見せ場。ただ、女優さんはやや年配かな?

 これも終わったら、3組ほどが記念写真を撮った。
女優さんのアップ

  いよいよメインの孫悟空登場である。「借芭蕉扇」の一幕。

 孫悟空が火焔山を通るため、鉄扇公主に芭蕉扇を借りに来る。しかし、鉄扇公主は、悟空を紅孩児のかたきと恨んでいるので、貸そうとしない・・・という孫悟空と鉄扇公主のやり取りが楽しい一幕だ。

(注)『西遊記』(訳:太田辰夫・鳥居久靖。平凡社)では、第59回のあたり。
 鉄扇公主は、別名羅刹女。牛魔王の妻であり、紅孩児の母。
 紅孩児は、三蔵法師を食おうとしたところを観世音菩薩が取り押さえ、善財童子として連れ帰った(前掲書第42回)。

 猿らしく、悟空が手をぼりぼり掻いたり、鼻や口をぴくぴくうごめかしたりすると、会場大うけ。
 途中で、如意棒を舞台映えするジュラルミンか何かの銀色にまぶしく輝く棒に持ち替えた。
 ヒュンヒュンヒュン、すさまじい勢いで棒を回す。さすがに「風」そのものまでは感じないが、風を切る音は伝わる。残像が残り、まるで丸い鏡のようだ。
 棒を回しながら、自らの体も回転させる。それも、すぐ「そこ」でやっているので、もし万一手がすべったら・・・とか考えてしまう。

 鉄扇公主が実にかわいい。

 ヘッドフォンの解説で「てつおうぎひめ」と言っているのがやや耳障りだが、「こうしゅ」は「攻守」だの「絞首」に間違われかねないので一般的な解説としてはこの方がいいのかもしれない。
おすまし鉄扇公主

 槍を放り投げ、足で受けるとか、棒を投げて、ぱ〜んと棒で打ち返すとか、そういったアクロバットやジャグラーみたいなアクションを打出手(ダーチューショウ)という。

 鉄扇公主の投げた剣を悟空が自分の剣の「つば」で受け止め、そのままクルクルと器用に回して、また公主にひょい!と返す。3度目のとき、公主が柄じゃなくて、刃の方をつかんでしまって、あわてて持ち替えたのは、「ご愛嬌」というものだろう。

 悟空が如意棒でヒョイ、ヒョイと突く。それを公主が両の手に持った剣でパン、パンと受ける。ひょいひょい、ぱんぱん、ひょいひょい、ぱんぱん。
 だんだんスピードが乗ってきて、悟空が突きながら身体を回転させる。公主も受けながら身体を回転させる。なかなか見事な双刀槍対打(シュアンダォチアンドェイダー)である。

悟空、手をボリボリ  写真右端は公主の家来。道化役の
おばあさん。

 

 

 さて、芭蕉扇の魔力で吹き飛ばされてしまった悟空。菩薩さまに、どんな風にもびくともしない秘薬をもらう。
(注) 前掲書によると、小須弥山まで飛ばされた悟空は、霊吉菩薩に定風丹をもらう。

 3度扇いでも大丈夫だったら、芭蕉扇を貸してくれという約束を公主と取り付け、再挑戦。
 扇いでも、悟空は平気な顔。おかしいな、と首をひねり、あせる公主。
 2度、3度。どうしても悟空は飛んでいかない。くやしくて、混乱して、めちゃくちゃに扇ぎまくる公主。実に、実にかわいい。

 子どもにとって、ドラの音とかがやかましいし、どうかな?
 騒いで劇場の迷惑にならないかな?と少し心配していたが、外国人向けにぐっとくだいた内容のおかげで、「おもしろかった」「孫悟空、よかった」と喜んでいた。
悟空、でへへへ

 劇場を出たら、もう9時前だった。劇場のすぐ横に人だかりがしている。李さんに聞くと「大人ディスコが始まる」のだそうだ。

 若者が集まる室内のディスコクラブではなく、駐車場みたいな広場におじさん、おばさんが集まって野外ディスコを楽しむらしい。
 音楽もそんなに激しいものではないそうだ。(「太極拳くらい?」と聞くと、「いくら何でも、それほどゆっくりじゃない。まあ、ラジオ体操くらい」とのことであった)

 今流行ってるのが、「大人ディスコ」と「社交ダンス」だそうで、実際、その近くで、野外社交ダンスもやっていて、道路脇のうす暗い広場でたくさんの男女が社交ダンスを踊っていた。北京の中年は元気だ、と思った。

  車はホテルに向かう。犬を連れたおばちゃんが車の前を通る。わんちゃん、轢かれるぞ。北京の街で車運転するのは、ほんと大変だな、と思った。
 たけしは、今日も帰ったら泳ごうな、って言っている。北京の中年に負けず、うちの末っ子も元気だ。

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