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北京旅遊記(10)足底〜瑠璃廠編


 続くメニューは「足底マッサージ」である。
 1時間半くらいかかるらしい。私と嫁さん、そして長女の3人が受けることになった。そんな長い間、たけしとまさよしは待っているんですか?大丈夫ですか?と聞いたが、大丈夫ですとのこと。ほんとかな?

 近代的なビルの2階に通される。ピンクのチャイナドレス風ユニフォームに身を包んだ従業員さんに出迎えられ、部屋に案内される。

 部屋には、ゆったりしたソファが7脚並べられている。長男、次男も同じ部屋にいられるとわかり、ひと安心。

 最初は、20分ほどの足湯。靴を脱がされ、靴下も脱がされ、クルクルと丸めて靴の中に。ソファの前に丸い湯桶が置かれ、そこに足をつける。
 桶の底には丸い石が並べられており、コロコロと気持ちいい。
 しばらくすると、別の従業員がやってきて、桶に湯を足す。桶のふちで「休め!」していた足をつける。
 こちらを見上げて「OK?」と聞くので、(少し熱かったけど)「OK!」と答える。これが3回ほど繰り返される。
 湯温は少しずつ上げられ、最後はかなり熱かったが、下から「OK?」と言われると、つい「OK!」と返してしまう。これだけでだいぶ、足の血行がよくなった感じがする。
あ〜極楽  湯桶が片づけられ、オットマン(足を乗せる小さなソファ)が置かれる。

 私の担当は、「電波少年」などに出ている松本明子似の女性であった。
 「きもちいい、スーフー。いたい、トゥ」と中国語のレッスンがあり、足の裏のツボが押される。
 「ジンゾウ」といいながら、あるツボを押す。「カンゾウ」といいながら、また別のツボと、リアクションを確認しながら続けられる。
 「トゥ」と言うと、やや力がゆるめられる。

 陰陽の調和を図るという思想から男性客には女性マッサージ師が、女性客には男性がつく。

 向かい側では、両端のソファでマッサージを受けている嫁さんと長女、間の2つのソファではたけしとまさよしがすわっている。

 「よそのおとこに足をさわられている嫁さん」をみるのは複雑な気持ちであるし、こちらも見られているのだから、あまりデレデレした顔はできないな、と思う。妙に気恥ずかしい。

 しかし、私にあたった女性は大変だろうな、と思う。
 足にいく前に背中や肩のマッサージもあったのだが、その時、小声で同僚と話しているのを聞いて(中国語なので、内容はわからないが)「もう、たいへん。指も通らないわよ、この背中」とか言ってるんじゃないかと感じる。

 何か軽々とやってる男性二人にくらべ、時折り、額の汗などぬぐいつつマッサージにいそしむ彼女に「これで、同じ給料だと合わねえなあ」と思った。

 指圧的なマッサージのほか、「たたき」みたいなのも随所にはさまれる。
 ここのオリジナルなのか、どこでもそうなのかは知らないが、たたきの所になると、3人が互いにアイ・コンタクトを取って、タイミングを合わせ、たたき始める
 リズミカルに派手な音をたてて、3人同じ調子でたたく。鬼太鼓座(おんでこざ)、3人並んでの乱れ打ちって感じだ。

  「音楽みたいだね」と英語で言ったのだが、英語は知らないのか、こちらの発音が悪かったのか、きょとんとしていた。日本語で言った方がよかったかもしれない。

 たけしが退屈してきて、嫁さんの所にふざけかかる。変な顔をしたりするので、嫁さんの担当の男性、肩をふるわせ笑いをこらえていた。

 長男も私の横のソファに来た。うっかりオットマンに乗せてあったタオルなどを落してしまう。
 「あっ!えらいことしたな、お前。それはまだ使ってなかったやつやから、今度別のお客さんが来た時に使うやつやったのに。どないすんねん!」とおどかすと、長男はあわあわしてしまって、あわててたたみ直す。しかし、うまくたためない。
 「あかん。お父さん、もういっぺんたたむわ」
 「あれ、お父さん。何かおかしい。たたんでるのに、だんだん大きくなる。なんでやろ」
 私の担当の女性も肩をふるわせて笑いをこらえ、必死にマッサージを続けている。「実は怒りで肩をふるわせていた」のでなければよいのだが。

 1時間半も、あっという間であった。極楽、極楽。
 一度脱いだ靴下、もういっぺん履くのやだなあ、と思っていると、ナイロンストッキングみたいな薄い靴下を「サービス」と言いながら履かせてくれる。
 古いのは、ビニル袋に入れて渡してくれた。

  今日の夕食は、京劇の湖広会館で食べることになっている。それまでのわずかの時間だが、瑠璃廠(リゥリーチャン)に行くことになった。たけしは、「行かない」と言ったので、嫁さんと車の中で待つ。

 「るりちゃんは人の名前じゃありません。地名です。瑠璃廠で売っている骨董品、90%以上ニセモノです。
 ですから、瑠璃廠で骨董品買う人は、ちゃんと見分けられる専門家か、損してもかまわないお金持ちかどちらかです。瑠璃廠は昔の町並みが残っているので、それを見に来る人が多いです」

 李さんには、「私は中国の歴史に興味があるので本屋に行きたい」
「瑠璃廠なら、大学の先生から中国書店と古籍書店がよいと教えてもらったので、そこがいい」と告げていた。
(実際は、飯香幻さんに教えてもらった千田大介先生のサイト「電脳瓦崗寨」の「北京購書指南」を読ませていただいただけなのだが)
汲古閣

 そこで、まず瑠璃廠中央部の中国書店へ。
 右上写真は、その横の汲古閣のもの。

 李さんに「歴史は、どの辺が」と聞かれたので、「ええと、明清のへんが・・・」と適当に答えると、店員に聞いて、該当するコーナーに連れていってくれた。
 げげ、当然ながら全部中国語。字ばっかりで、こいつは手が出ない。

 「李さん、値段は、どこを見ればわかりますか」
 「値段は裏表紙に・・・・・ないですねえ。あ、そうそう、最後のページを見たら・・・あれ?」
 奥付けのページに何元と記載された本もあったが、書かれてない本も多かった。 困っている様子だったので、「入り口近くに写真集とかがあったようなので、ちょっと見てきます」といって離れた。

 店に、頼りになりそうな(どこかの博物館の研究員のような)中年女性の店員がいた。
 本の値段がわからないので、「多少銭?(ドゥオシャオチェン)」と聞いてみた。
 その発音で日本人とわかったのだろう。「にじゅうごげん」と答えたあと、裏表紙の数字が並んだ所を指差してくれた。商品管理コードと思っていたが、ここで値段がわかるらしい。

 連環画を買おうと長女に持たせたら、彼女は、「まあ、待ちなさい」といった感じでゆっくりと娘の肩をたたき、書棚の下から新しいのを出してくれた。

 『中国明清磁器目録』という本があった。1ページに4つほども磁器のカラー写真がのっており、サイズはもちろん、参考市場価格というのも載っていて、1冊200ページ以上。
 しかし、上・下となっているが書棚には、「上」しかなかった。
 指で「下」と書いてみせると、うなづいて、別の書棚の下の引き出しから下巻をだしてきてくれる。まったく、頼りになるおばちゃんだ。

 ちなみにそこで購入した本は次のとおり。
『中国明清磁器目録』(編著:李宗楊。南方出版社)上・下セットで98元。
『京劇人物』(画文:趙夢林。朝華出版社)68元。
『京劇臉譜』(画文:趙夢林。朝華出版社)58元。
『故宮蔵粉彩磁器』(編著:蔡毅。紫禁城出版社)10元。
『晩清宮廷磁器』(編著:劉偉。紫禁城出版社)10元。

連環画「屈原」、「左慈戯曹操」、「二桃殺三士」天津人民美術出版社7.50元。
同「方臘巧計退敵兵」、「燕青盗令」、「方臘得寶」、「太湖風雲記」、「逼上梁山」天津人民美術出版社11元。

絵葉書「中国戯曲」人民中国出版社25元。
同「琺瑯彩」紫禁城出版社10元。
同「末代皇朝旧影」中国撮影出版社30元。
同「皇城根下北京人」無極12元。

 こだわるようだが、初日の湯呑みに比べるとめちゃ安いと思う。

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