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京劇の世界(16)上海京劇院大阪公演「楊門女将」鑑賞記 その1

1 あらすじ

  京劇ニコニコ新聞さんから通知をもらって、切符を取っていただいた。予約の段階で少しトラブルがあったのだが、またまた京劇の神様が降臨したのか、前から2番目、まん真ん中というナイスポジションであった。

 本日はAプログラム「女将集結編」とBプログラム「女将合戦編」の完全に分離した公演となっている。ちなみにAプログラムは、12:00開演。で、Bプロは16:00開演である。

 ついでなので、私は同一日のABセット券を予約していたのだった。

 ちなみに会場は以前も上海京劇院が「白蛇伝」大阪公演をやったNHK大阪ホール。
 私はなぜか、会場が梅田のシアタードラマシティのように思い込んでしまっていて、危うく開演に遅れてしまうところであった。

 さて、左は公演のチラシ。

 おはなしは、チラシ裏面の「あらすじ」を転記すると、
北宋の時代。遼、西夏など周辺国の侵犯に悩む朝廷は、武勇の誉れ高い楊一族に辺境の警備を委ねていた。
 そのため楊家代々の男たちは戦場で多くの命を落とし、当主楊宗保(ようそうほ)は現在西夏との国境にあった。
 開封にある屋敷・天波府は、百歳の余太君(しゃたいくん)を頭に女たちが守っている
」。


 さて、各場面の解説はおいおいするとして、登場人物の紹介を。

穆桂英(ぼくけいえい。楊宗保の妻):史敏(シーミン。国家一級俳優。武旦、青衣)

 私が前回、史敏を観たのは2002年のこと。その頃に比べると気のせいか、実力者の風格がいや増したというか、貫禄がついたというか。

 小林幸子・・・・・という名前が脳裏をかすめた・・・・・というと、また、怒る人がいるだろうなあ。
穆桂英 小林幸子


余太君(楊宗保の祖母。夫楊継業は自害):Aプロ 胡璇(フーシュアン。国家一級俳優。老旦) 
 百歳という設定だが、そらもう元気、元気。息子の嫁にあたる柴郡主よりはるかに顔の張りや色艶が良い。連想したのはオセロの中島。

 Bプロでは、王小磚(ワンシャオジュアン。国家一級俳優。老旦)が演じる。片方しか観てないと何の不満もなかろうが、続けて観ると、Aプロでぷりぷりの百歳にようやく慣れたとこなんで、最初のうちは若干違和感が。
 このA、Bの演じ分けは直前に決まったようで、チラシなどでは胡璇しか載っていない。もっとも、王さんも唱など素晴らしく、両方聴けて良かったと思う。青木さやかって感じがした。

余太君A オセロ中島 余太君B 青木さやか


楊文広(楊宗保の一人息子。花旦):何蕾(ホーレイ。花旦=おきゃんな娘役)
 楊家の当主の一人息子ということで、何かというと地団駄を踏んでみたり、ぷ〜っと頬っぺたをふくらませてみたりと、きかん気のおぼっちゃん。頬っぺたをふくまらせる演技をする時、「いや、そないわざわざふくらませんかって、何もせんでも十分・・・」とツッコミを入れたくなるほど、ふくよかなお顔立ち。子供らしい体形だとも言える。
 イメージ的にはトゥナイトのなるみ。

楊七娘(楊継業の七男の妻なのでこう呼ばれる。本名は杜金娥):張艶秋(ジャンイエンチュウ。武旦)
 楊継業の七男は楊延嗣といい、既に戦死している。
 楊家の者は女性であっても武芸に秀でているのだが、楊七娘はその中でも武闘派の代表。文広に武術の稽古をつけているのが七娘であり、何かというと師弟関係を振りかざす。
 スマートな体形で、少し受け口というかあごが少し出てる感じ。荒川静香という感じでしょうか。コロッケでも可。

楊文広 トゥナイトなるみ 楊七娘 荒川静香


柴郡主(楊継業の六男の妻。楊宗保の母):任恵英(レンホイイン。青衣)
 本名は柴媚春。楊継業の六男は楊延昭で、既に病死。楊延昭と柴郡主の間に生まれたのが当主の楊宗保。つまり、穆桂英にとっては義母で、文広にとっては祖母。
 いかにも「おばあさま」という感じが出ていて、ちょっと余太君との関係にとまどう。(どっちが百歳やねん!って感じ)
 連想したのが、怒られるかもしれないが、ほっしゃん。

寇準(主戦派の大臣):陳少雲(チェンシャオユン。国家一級俳優。老生)
  和睦派の大臣王輝は、厳慶谷(イエンチングー。国家一級俳優。丑)が演じている。この王大臣は最初から道化役、腰抜けを演じているから良いが、主戦派の寇準も別に男らしいわけではない。イメージとしては峰竜太。 

柴郡主 ほっしゃん 寇準 峰竜太


楊八姐(楊継業の娘):劉佳(リウジアー。青衣・花旦) 
 楊継業の娘だから、柴郡主とは義理とはいえ「姉妹」。孫でもおかしくない感じだが。
 これまで上海京劇院日本公演では、いつも可愛い役で活躍している。今回は美味しいところを楊文広に取られているので、少し影が薄い。ただ、第一幕で楊宗保の戦死を知り楊門女将の面々がショックに凍りつくというシーンでは、他の女将たちが単に後ろを向いたり、横を向き袖で顔を隠すといったお決まりの仕草のまま動かないのに比し、劉佳のみ「信じられない」とばかり顔を振るなどいわゆる「小芝居」をしていた。イメージは未知やすえ。

楊九妹(楊継業の娘):奚鳴燕(シーミンイエン。青衣・花旦)
 これから若手女性としては彼女を売っていくのだろうか。たしかに非常に美しいのだが、何か「人形」を思わせる美しさである。視線に生気がないような感じ。千秋を連想した。 

楊八姐 未知やすえ 楊九妹 千秋



 そっくりさん探しで遊んでいるうちに、だいぶ長くなってしまったので、場面解説などは次回に。



 いい席をあててくださった楽戯舎さん、本当にありがとうございました。   

 

 

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