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(No98) 講演「修ニ会とごぼう」聴講記 その2 

 2007年2月17日(土)、奈良国立博物館主催「講話と粥の会」の聴講記・・・・の続き。


 


【 5.前行 】
【 (1) 準備期間 】

12月16日 練行衆役配発表(8:30)
2月12日 新入習礼(10:00)
2月18日 油量り(10:00頃)



【 (2) 試別火 】

(2月15日) 新入、新導師試別火入り
(2月19日) 堂童子試別火入り(9:00)
2月20日 練行衆試別火入り(18:30頃)
2月21日 内陣掃除、御輿洗い(8:30)
社参(13:00)
試みの湯(13:30頃)
2月23日 花ごしらえ(造花作り、燈心揃え 9:30)
次第時の稽古(13:00)
2月24日 上七日壇供搗き(5:00以降)
2月25日 社参(13:00)
暇乞い(13:20)



 前行の前半部分を試別火といい、5人、6人で分宿します。

 2月23日に花ごしらえをします。赤の紙は紅花で染めたものを仙台の人が寄進してくれます。
 造花を400ほどこしらえます。試別火の間は雑談できますので、花ごしらえの間は、作業しながら和気あいあいとおしゃべりします。



【 (3) 惣別火 】

2月26日 惣別火入り(9:30頃)
糊炊き(11:00過ぎ)
貝吹き合わせ、お行水(18:00)
声明稽古等(19:30以降)
2月27日 粟の飯(4:00)
椿の花付け(9:30)
衣の祝儀(18:00頃)
貝吹き合わせ(18:30頃)
声明稽古等(20:00頃)



 2月26日からの惣別火では全員で合宿生活をします。段々規制が多くなってきます。

 椿の花つけは、2月27日にします。須弥壇の四隅に2mくらいの椿の木を立てますが、この枝に造花をつけます。
 惣別火の時は私語禁止なので、この時は無言で作業します。
 


【 6.本行 】
【 (1) 初日 】

 


【 (2) 食堂作法 】

 


【 (3) 六時の行法 】

※ 前日及び上七日

  28(29)
11 造花搬         食堂    
12   食堂 食堂
上堂
食堂
上堂
食堂
上堂
上堂
日中
数取
食堂
上堂
食堂
上堂
13 諸具搬   日中
日没
日中
日没
日中
日没
日没 日中
日没
日中
数取
下堂
14 香薫   下堂 下堂 下堂 下堂 下堂  
15 大懺悔
宿所入
上堂            
16   日没            
17   惣神所           日没
18 大中臣 下堂           小出
19   松明
初夜
松明
初夜
松明
初夜
松明
初夜
松明
実忠忌
松明
初夜
松明
初夜
20     導師 導師 導師 初夜 導師 導師
21   導師
神名帳
神名帳 神名帳 神名帳 導師
神名帳
神名帳 神名帳
22   咒師 咒師
半夜
咒師
半夜
咒師
半夜
過去帳 咒師
半夜
咒師
半夜
23   半夜
法華
後夜
法華
後夜
導師
法華
後夜
導師
法華
後夜
導師
咒師 走り
後夜
走り
後夜
24/0   導師
咒師
咒師
晨朝
咒師
晨朝
咒師
晨朝
半夜
走り
導師
咒師
小入
導師
授戒
上堂
晨朝
下堂
下堂 下堂 下堂 後夜
導師
晨朝
下堂
咒師
晨朝
下堂
一徳火
日中
:開白
        咒師
晨朝
下堂
   
下堂              

※ 上記で、「造花搬」、「諸具搬」、「大中臣」は、それぞれ造花搬入、諸具搬入、大中臣祓の略。

 また、「食堂」、「松明」、「導師」、「咒師」、「法華」、「数取」は、それぞれ食堂作法、松明上堂、導師作法、咒師作法、法華懺法、数取懺悔の略。
 「小出」、「小入」は、小観音出御、小観音後入の略。


 5日の日中に数取懺悔(かずとりさんげ)という行法があります。
 初めて数取懺悔に参加する時、先輩に「3000べん、唱えるんだぞ」と脅されました。実際は、全部で300回も唱えないんです。
 こうゆう風にやります。(念珠を上に振り上げ、下に振り下げながら)「いっぺん、にぃへん、さんべん、ごへん、ろっぺん、ななへん、はっぺん、きゅうへん。・・・・・・・じっぺん、にじっぺん、さんじっぺん、ごじっぺん、ろくじっぺん、ななじっぺん、はちじっぺん、きゅうじっぺん。・・・・・・ひゃっぺん、にひゃっぺん、さんびゃっぺん、ごひゃっぺん・・・・・・・・」

 お気づきでしょうか?「四へん」とか「四十ぺん」、「四百ぺん」など、「四」がつく数は飛ばすのです。先ほどの服忌令のように「死」を忌み嫌うのです。仏教なんだから、「死」を超越してもよさそうなもんなんですけどね・・・・・・・。

 数取懺悔は昼間なんで、お堂の方へ上がってもらえれば見ることができますので、よろしければおいでください。
 だいたい、5日の12時30分頃、7日の1時半頃、それと12日の昼過ぎにも行います。


※ 下七日
  10 11 12 13 14
11 授戒            
12 食堂 食堂
上堂
食堂
上堂
食堂
上堂
食堂
上堂
食堂
上堂
食堂
上堂
13 上堂
日中
日中
日没
日中
日没
日中
日没
日中
数取
下堂
日中
日没
日中
数取
日没
14 日没 下堂 下堂 下堂   下堂 下堂
15              
16 下堂       上堂    
17         日没    
18         下堂   松明
19 松明
初夜
松明
初夜
松明
初夜
松明
初夜
松明
松明
初夜
初夜
導師
20 導師
神名帳
導師
神名帳
導師
神名帳
導師
神名帳
初夜 導師
神名帳
神名帳
21 咒師 咒師 咒師 咒師 導師
神名帳
咒師 咒師
半夜
22 半夜
法華
半夜
法華
半夜
法華
半夜
法華
過去帳 半夜
走り
走り
後夜
23 後夜
導師
咒師
後夜
導師
咒師
後夜
導師
咒師
後夜
導師
咒師
咒師
後夜
導師
咒師
達陀
24/0 晨朝
下堂
晨朝
下堂
晨朝
下堂
晨朝
下堂
半夜
走り
導師
咒師
達陀
晨朝
下堂
        後夜
水取り
晨朝
下堂
結願
破壇
        導師
咒師
  涅槃講
咒神所
        達陀
晨朝

下堂
  惣神所
満願



※ 記述の略称のほか、「達陀」は「だったん」と読む。それぞれ「口」へんを付け、正式には「蚯」と表記する。←「文字鏡フォント」がなくて別字で表示される場合があるので、ご注意ください。

 また、「咒神所」、「結願」、「満願」はそれぞれ咒師神所、結願上堂、満願下堂の略。






【 (4) お水取り 】

 


【 (5) お松明 】

 


【 (6) その他の行法 】

 走りがやかましいのは差懸で走っているからです。走りはほんまにしんどいです。「いいかげん、止めてくれないかな」と思いました。
 衣を着ているのですが、袖をたくし上げ、履物を脱いで走り続けます。

(※ 石野注)
 「『走り』は本尊の周囲を走ってめぐる行法である。伝説によれば、実忠は笠置の龍穴から兜率天に至り、そこで十一面悔過を学んだ。しかし天上の一日は人間界の400年にあたるため、急がねばならず、走ることになったのだという。
 差懸(木沓)を履いて大きな音を立てて走っていた練行衆は、やがて差懸を脱ぎ、足袋になって走り続ける」(「図録」)

 

 


【 (7) 下堂 】

 行を終えて下堂した時に茶粥をいただきます。これは「おかゆ」ではなく「おかいさん」と発音しますね。

 一番安い番茶を10時間ほど煮立てます。
 5人で2合の米を使います。米は昼頃洗って水をきるのですが、通常はザルにあけるのでしょうが、桶にあけるのが良いようです。

 今日はこの後で本当の奈良茶粥を食べていただきます。以前、ある方に茶粥を食べてもらおうと店に入ったら、似ても似つかぬ茶粥を出されて困りました。

 番茶は煮れば煮るほど渋味がとれ、まったりしてきます。
 煮立った番茶に米を入れます。米の「腹が切れる少し前」に火を止めます。10分から20分の間くらいでしょうか。これがごぼうです。

 そして、1合分をおひつに入れ、こたつの中で保温しておきます。途中であげて、こたつに入れたものはげちゃと言います。これは「上げ茶」(揚げ茶?)ということかなと思うのですが。

 食べる時には、「ごぼう」と「げちゃ」を混ぜて食べます。固めが好きな人は、「げちゃ」を多めにします。

 海苔巻きなどを差し入れでいただいたりするのですが、寝る前にそういうものを食べると寝にくいんですね。
 その点、ごぼうを食べると翌朝すっきり起きることができます。
(※ 石野注)
 左写真が、後ほど茶室でいただいた「ごぼう」。

 牛蒡は入っていない。御坊という意味なんだろうか。

 塩味とかは感じないが、番茶の香りがじんわりしみこんでる感じで、ほんと、おいしかったです。

 


【 7.さいごに 】
(※ 石野注)
 質問の時間がなかったので、長老に直接質問させていただいた。以前聞いたお風呂の時の「お行水!お行水!」、「さよう!さよう!」というのはどういうことか聞いてみた。

 これは、お風呂から上がる時に、水と熱い湯が入っている槽が二つあって、火傷しないよう、調整してかけ湯をするんです。
 それで、しゃがみ込んで、かけ湯をする時に「お行水!」と声をかけるので、他の者が「さよう!」と返事をするのです。


 長老は冒頭で「40分しか時間がない」とおっしゃっていたのだが、途中で時計を1時間見誤られたようで、「40分」を過ぎてもいっこうに焦らないし、最後も「まだ時間があるので・・・」とおっしゃった。

 その関係で、次の西山室長の見学にも影響が出た。ま、その辺もおいおいと。

 どうもお疲れ様でした。

 
  

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