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(No61) 四天王の研究 その1(興福寺) 

 四天王というと、東方を護る持国天、西方の広目天、南の増長天、北の多聞天であるが、いろいろと時代や作者によって違いがあるようである。

 

 


 

名称 持国天 広目天 増長天 多聞天
安置場所 奈良 興福寺 南円堂
作者        
区分 国宝 国宝 国宝 国宝
時代 鎌倉時代 鎌倉時代 鎌倉時代 鎌倉時代
材質 桂材 桂材 桂材 桂材
工法 寄木造 彩色 寄木造 彩色 寄木造 彩色 寄木造 彩色
像高 206.6 200.0 197.5 197.2
中央に丸まげ 中央に丸まげ 中央に丸まげ 中央に丸まげ
すが目 左目をやや閉じる 開く。白目と黒目の区別がくっきりしている 開く 開いて上方を見る
歯を食いしばる 軽く結ぶ 開く やや開く
右手 上にあげ、剣の柄を握る 右腰の前に、拳を握る 腰に当てる 斜めに三叉の槍を持つ
左手 腰前で刀先を受ける 三叉の槍を持つ 三叉の槍を持つ 高く上げ、掌に多宝塔を乗せる
小さめのちょうちん袖 やや大きめのちょうちん袖 袖はあまり広がらない ちょうちん袖が、下にやや反る
両胸に人面 肩からのベルトのバックルが両胸につく 二重の輪の模様 二重の枠。中央に迦楼羅
龍面 ワニのようなものが平伏した形 獅子面。その下にベルトのバックル状のもの 獅子面。前垂れの先が反る
右足 軽くひねる 「休め」の形 下におろす 「休め」の姿勢。やや前方に
左足 「休め」の格好。やや前方 まっすぐ下に伸ばす 台にかける まっすぐ下へ
上着の裾 垂れない。腰紐の先が反る 垂れない。腰紐の先が反る 垂れない。腰紐の先が反る 垂れない。腰紐の先が反る
下着の裾 2本の細いベルト
完全なキャハン
ベルトの間は楕円形の切れ込み
2本の細いベルト 2本の細いベルト ふわりとして、膝下に1本のベルト留め
特に特徴のない靴 特に特徴のない靴 中央にバックルのある靴 藁で編みこんだような靴
台座 岩座 岩座 岩座 岩座
光背 なし なし なし なし
体全体 「く」の字 逆「く」の字 「く」の字 逆「く」の字
資料 図録『興福寺国宝展』P192
画像 HP 興福寺 文化財データベース


 

 



 

名称 持国天(東) 広目天(西) 増長天(南) 多聞天(北)
安置場所 奈良 興福寺 北円堂
作者        
区分 国宝 国宝 国宝 国宝
時代 平安時代初期 造立:延暦10年(791)4月
修理:弘安8年(1285)
同左 同左 同左
材質 桧材 桧材 桧材 桧材
工法 木心乾漆造 木心乾漆造 木心乾漆造 木心乾漆造
像高 136.6 139.7 125.0 134.7
       
開く 開く 開く 開く
への字 やや開く 結ぶ 上向きで、やや開く
右手 左手と交差させる(上) 右腰に当てる 上にあげる(槍を持つ?) 出前持ちのような格好で、掌に多宝塔を乗せる
左手 右手と交差させる(下) 高く上げ、槍(?)を持つ 胸の前を通り、右の腰の前に(槍を下方で持つ?) 下に垂らして、左腰の横に沿わす
下へ垂れる 小さめ 小さめのちょうちん袖 振袖のような形
枠のみ 枠のみ 枠のみ 枠のみ
華の形? 華の形? 獣面? 前垂れ
右足 邪鬼の頭を踏む 邪鬼の腰を踏む 顔をそむけ反るために高くなった邪鬼の頭を、膝を曲げて踏む 前方につま先が向く。鬼の腰を踏む
左足 邪鬼の腰を踏む ほほ杖をつく邪鬼の頭を、やや膝を曲げて踏む 邪鬼の腰を踏む つま先は左側に開く。顔を上下さかさまにした鬼の首あたりを踏む
上着の裾       腰紐の先が両脇に垂れる。
下着の裾 「きゃはん」のような形 「きゃはん」のような形 模様のついたズボンにかぶせるようなきゃはん(脚の両側面に楕円形の切れ込み) 模様のついたズボンにかぶせるようなきゃはん(脚の両側面に楕円形の切れ込み)
サンダル(足指が見える) 特に特徴のない靴(サンダルではない) 特に特徴のない靴(サンダルではない) サンダル(足指が見える)
台座 邪鬼 邪鬼 邪鬼 邪鬼
光背 なし なし なし なし
体全体   「く」の字 逆「く」の字 「く」の字
資料 多聞天:『日本仏像史』(美術出版社)P69
画像 HP 興福寺 文化財データベース


 

 

 


 

名称 持国天 広目天 増長天 多聞天
安置場所 奈良 興福寺 仮金堂
作者 康慶 康慶 康慶 康慶
区分 重文 重文 重文 重文
時代 鎌倉時代 文治5年(1189) 鎌倉時代 鎌倉時代 鎌倉時代
材質 桧材 桧材 桧材 桧材
工法 寄木造 彩色・截金 寄木造 彩色・截金 寄木造 彩色・截金 寄木造 彩色・截金
像高 204・0 204.5 202.2 198.0
ヘルメット ヘルメット(両脇はそり返り) 中央に丸まげ ヘルメット
開く 開く 開く 開いて上方を見る
開く 結ぶ への字 やや開く
右手 掌に宝珠を持つ 胸前で羂索を持つ 上げて戟を持つ 肘から曲げて掌に多宝塔を乗せる
左手 剣を持った手を伸ばす 戟を持つ 拳を左腰に当てる。拳は剣を持つ 左腰の前に伸ばし、戟を斜め前方に持つ
小さめの袖 小さめの袖が後方になびく 肘は小さなちょうちん袖。手首のあたりは、小さめの振袖 振袖が下に垂れる
両胸に華文様 両胸に華文様 両胸に華文様 両胸に肩からのベルトのバックルが付く
獣面 獣面? 丸い大き目のバックル 獅子が腰紐を噛む
右足 真っ直ぐ下ろす。邪鬼の腰の上 つま先をやや開く。平伏した邪鬼の首を踏む 膝を曲げ、持ち上げた邪鬼の尻を踏む まっすぐ下ろし、邪鬼の腰を踏む
左足 膝を曲げ、そむけた邪鬼の顔を踏む まっすぐ下に伸ばす。鬼の腰を踏む 地面に付けた鬼の横顔を踏む ややつま先を開き、邪鬼の横顔を踏む
上着の裾 中央が垂れ、左方に流れる 垂れる 垂れ、やや右方へ流れる 垂れ、左方に流れる
下着の裾 上下に2本の細いベルト。
すねは縦に2段リベットの列。
両脇は小判型の文様
上下に2本の細いベルト。
両脇は小判型の文様
上下に2本の細いベルト。
両脇は小判型の文様
ふわりとして、膝下に1本のベルト留め。裾からきゃはんがのぞく
中央にバックルのある靴 特に特徴のない靴 中央にバックルのある靴 中央にバックルのある靴
台座 邪鬼(肘をつき、顔をそむける) 邪鬼(平伏) 邪鬼(尻を上げる) 邪鬼(平伏し、首を曲げ顔を前方に)
光背 火焔光輪(火焔は左方に流れる) 火焔光輪(火焔は右方に流れる) 火焔光輪(火焔は右方に流れる) 火焔光輪(火焔は左方に流れる)
体全体 軽い「く」の字 軽い逆「く」の字 逆「く」の字 軽い逆「く」の字
資料 図録『興福寺国宝展』P62
画像 HP 興福寺 文化財データベース



 

 どうもお疲れ様でした。
 
  

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