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(No54) 奈良 薬師寺 その1 

 奈良の薬師寺で国宝の吉祥天画像が特別公開されるというので、行ってみました。 

 


1.白鳳伽藍

 近鉄奈良線の「西大寺」という駅で乗り換え、「西の京」駅で降りると薬師寺はごく近くにある。

 ざっと言って、北半分が玄奘三蔵院伽藍(げんじょうさんぞういんがらん)
。そして南半分が白鳳伽藍(はくほうがらん)。なお、伽藍の平面図はここで。

  左写真は、拝観券。

 與樂門を入って受付(拝観料800円也)をくぐり、いきなり吉祥天画像公開の受付があったので入る。別料金500円ではあるが、『玄奘三蔵と敦煌経』というタイトルの小冊子が付いているので、良心的といってよいか。

 建物をぐるっと廻ったが、中国の楡林窟、東千仏洞(いずれも敦煌の近く)の壁画の稚拙な(←失礼!)模写が並んでいるが吉祥天女の影もかたちもない。
 半ばキレかけたが、言葉はていねいに案内の女性にお尋ねしたところ、もう一つ建物があって、そこに展示されているそうだ。ああ、よかった。

 吉祥天女画像は、額装された絵で、それほど大きくはないのだが、平安時代のものとは思えないほど状態がよく、眉目もくっきりしており、衣服の文様も非常に精巧で美しい、本当に素晴らしい絵であった。

 吉祥天女画像と、同じく大宝蔵殿で展示されていた慈恩大師画像については、薬師寺HPのここで。

 
 さて、薬師寺というと、何といっても東塔が有名である。

 白鳳伽藍といわれるところに入り、東回廊越しに東塔を観たのが左写真。

 下写真は、東院堂(とういんどう。国宝・鎌倉時代)。
 

 この東院堂におさめられているのが聖観音菩薩像(国宝・白鳳時代)。
 ガイドブックに「日本屈指のお美しいお姿の観音さま」とあるが、現代的なセンスも感じさせるエレガントな印象の菩薩像である。

 そして、その周りには四天王像。玉眼なので鎌倉時代かな?と思って後で買ったガイドブックを見たら、当たっていた。ちょっと嬉しかった。

 東院堂の解説は薬師寺HPのここで。また、東院堂の仏像の画像については、薬師寺HPのここで。

 下の写真は南側の回廊越しに観た東塔と西塔。
 

 南側の回廊の真ん中に中門がある。中門の両脇にあるのが下の写真の像。中門から北に向かって金堂や塔を観た場合、向かって右に右下写真の像、同じく左に左下の像がある。

 中門の画像については、薬師寺HPのここで。なお、中門の二天王像についてここ(ページの下の方)に解説や写真があるが、左右の関係は、私のHPが正しいのでご注意いただきたい。  

 下写真は、東塔(国宝・白鳳時代)。
 屋根だけ観ると六重の塔のようだが、小さい屋根は裳階(もこし)といわれるもので、階層としては三重である。

 この大小の屋根がかもし出すリズムが「凍れる音楽」と呼ばれるゆえんである。

 塔の上層部は「相輪」(そうりん)と呼ばれる。相輪の下部に連なっているのが九輪と呼ばれる「わっか」。
 九輪の上にあるのが、左写真にある、四方向に広がる水煙(すいえん)。

 この水煙は、火災よけの祈りがこめられているそうだ。全部で24体の飛天が透かし彫りで表現されているとのことである。
(ガイドブックの写真によると、飛天は舞ったり、横笛を吹いたりしている)

 東塔の解説は、薬師寺HPのここで。

 なお、東塔内の仏像について、ここで紹介されているが公開はされていない。

 下写真は、西塔
 昭和56年に復興されたものである。
 解説は薬師寺HPのここで。

 西塔内の仏像については、ここで紹介されているが、これまた公開されていない。

 東西の塔を越えると、下写真のように金堂がある。金堂は昭和51年に復興されたとのことである。
 金堂の解説については薬師寺HPのここで。

 金堂内の仏像は、薬師三尊像(国宝・白鳳時代)。薬師如来を中心に、向かって右に日光菩薩、左に月光菩薩(がっこうぼさつ)。
 画像については、HPのここで。
 

 上記HPでも紹介されているが、薬師如来の台座では、一番上の框(かまち)と呼ばれる部分にはギリシャの葡萄唐草文様、その下にはペルシャの蓮華文様。各面の中央にはインドの力神や蕃人像が浮き彫りされている。
 また、下の框には中国の四方を守る四神(東の青龍、南の朱雀、西の白虎、北の玄武)が浮き彫りされている。

 金堂では、薬師如来の背後の壁の一部が開けてあり、裏側をのぞくことができるようになっている。シルクロードによる東西文化交流を象徴する台座の文様をじっくり観ることができるのだ。
 光背の一部が「ハート」形にくり抜かれてるのも観ることができる。

 金堂を向かって右、つまり東塔の側から観たのが下の写真。
 

 逆に金堂を西側から観たのが下の写真。金堂の右に小さく写っているのが東塔。一番右にちらりと写っているのが、西塔の屋根の先っちょ。
 

 下写真は、大講堂。平成15年に復興されたとのことである。横幅は約41m。金堂よりも講堂が大きいのが、教学を重んじる南都仏教における古代伽藍の通則とのことである。

 大講堂の解説は、HPのここで。

 大講堂内の仏像は、弥勒三尊像(重文・白鳳〜天平時代)。向かって右が法苑林菩薩(ほうおんりんぼさつ)、左が大妙相菩薩(だいみょうそうぼさつ)というそうだが、なじみのない名前だ。画像はここで。
 

 その他、大講堂には、仏足石(国宝・天平時代)なども展示されている。

 下写真は、休ケ岡八幡宮。薬師寺の拝観券で観ることができるとの案内があったのだが、薬師「寺」となぜ関係があるのかわからなかった。
 神仏習合で、ここは薬師寺を鎮守するお宮さんらしい。

 八幡宮の解説はここ八幡三神像(国宝)の画像はここ。なお、この三神像は以前奈良国立博物館に行った時展示されていた。
 


 下写真は、不動堂。特に文化財はおさめられていないようで、現在は「厄除け祈祷受付所」に使われているようだ。
 





 少し長くなったので、北側の玄奘三蔵院伽藍については後ほど。

 どうもお疲れ様でした。
 
  

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