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(No48) 東大寺戒壇院 春日大社

 
  奈良国立博物館を訪れる機会があったので、近所を回ることとした。

 

 


1.東大寺戒壇院(戒壇堂)

 南大門をくぐり、大仏殿を正面に見つつ、左へ(つまり西へ)進んでいくと戒壇院がある。今日はとりあえず、ここの四天王を観ようと思っていた。

 戒壇院のパンフによると、この戒壇院は天平勝宝6年(754)に来朝し、聖武天皇を初めとする400人もの百官に授戒した鑑真のため、孝謙天皇の宣旨に依り造営したとのことである。

 
 左写真は、門。

 その後、三度焼失し、現在の戒壇堂は享保17年(1732)に再建されたものだそうだ。
 
 

 戒壇堂を正面より。

 
 

 拝観料は大仏殿と同じ500円也。靴を脱いで、檀の近くに上がらせてもらえる。

 戒壇中央には多宝塔。その周り、四方を守る形で前面左が増長天、左後ろが広目天、右後ろは多聞天、前面右が持国天。その順番で見てまわり、もう一度じっくりと戒壇の周りをまわった。

 口を開けてる増長天の表情は派手。そして、筆を持った広目天の表情はなかなかシブい。持国天は、造形的には「もひとつ」って感じがするのだが、ただ、剣の先に添えている左手の指先の形が、何やらマネキンやらロウ人形を思わせる艶めかしさを感じさせ、これが奈良時代?それとも後補?と思わせた。

 


2.指図堂

 ついでに正倉院でもまわろうか、と思いブラブラ歩いてると、「指図堂」という建物があった。
 「靴をぬいでおあがり下さい」とあったので、あがってみたのだが・・・・。

 
 

 正面には僧侶を描いた軸が掛けられている。右側の控えの間みたいな所では扇風機がまわっている。その陰には人がいるのか、それとも、どこかに出かけていて今留守なのか。
 いずれにせよ、何だか落ち着かず、早々に出てしまった。
 
 

 なお、解説によれば、円光大師(法然上人)二十五霊場第十一番だそうだ。
 「指図堂」(さしずどう)という名前なのだが、ここには重源上人が復興した東大寺大仏殿の計画図面が収められていたとのこと。つまり「指図堂」とは「設計図面収納庫」といった意味なのである。

 私が観た正面の画像は、「墨染の衣に金剛草履を履いた法然上人」であったようだ。もし、また機会があればじっくり観てみたい。

 また、建築様式としては、左右に花頭窓を持つ禅宗様のものだそうだ。

 


3.正倉院

 指図堂から更に北へ歩く。左手に鹿が水を飲んでる大仏池を観ながら少し歩くと、正倉院の入り口。当然門は閉ざされている。入れないことは最初から分かっていたのだが、もう少し「校倉」が外から眺められるのかな、と思っていた。
 平日は、午後3時くらいまで外観だけの見学ができるようだ。

 


 

4.講堂跡地

 今回、大昔に買った『奈良・大和路』(ブルーガイド・ブックス)という解説書を持っていった。奥付を見ると何と昭和55年。
 で、その本に「大仏殿のうしろは空き地がひらけ、まばらな松林になっている。〜このあたりが学僧が研究にはげんだ講堂と僧坊のあったあとで、いわば古代の最高学府の遺跡である。〜ここにはふしぎに廃墟のもつ無残さがない。〜こんなに静かで気分のいいところは奈良でもそうザラにはない」とあった。

 正倉院入り口から右(つまり東)へ少し行けば、その講堂跡地。

 まあ、「廃墟の無残さ」といっても、朽ちた壁だの折れた柱だの、そうした建築物を感じさせるものは何もなくて、すべて草におおわれているので「廃墟」という感じは確かにしない。

 

 ということで、鹿の向こうに見ているのは大仏殿の後ろ姿である。


 

5.大湯屋

 講堂跡地を抜け、ぶらぶら歩き、何となく右に曲がってみた。するとそこにあったのは大湯屋。昔の僧侶達の共同大浴場である。
 そう言われれば、中央の小屋根は湯気抜きなんだろうか、なんて思えてくる。
 中には、大釜(つまりバスタブ)が据えられているそうだが、閉ざされていて外からは見えない。

 

 その先の石段を上がると、鐘楼、行基堂などがある広場。そこから進んで経庫や三月堂のあるあたりに出る。
 そこから右へ歩く。校倉、手向山神社を抜け、だらだら坂を上がっていくと、左手に若草山が見えた。

 さすがにこの猛暑で、山には人影はない。しかし、そのうち、久し振りに若草山のてっぺんまで上がってみたいと思う。さて、山を通り過ぎ、右手の石段をおりていく。


 

6.春日大社(本社)

 「欄干に触らないで下さい」という注意書きがべたべた貼られた古い小橋を渡る。水谷神社やら、一つだけ願いをきいてくれる神社だのを抜け、ようやく本社本殿へ。

 
 

 回廊が美しい。伏見稲荷の鳥居のトンネルを連想した。

 
 

 特別参拝料金を払わないと中には入れないそうなので、中門の外からだけ。

 
 

 ということで、本社本殿から出て、若宮に向かう。本社を出る南門を振り返って撮ってみた。
 
 

 

 


 

7.春日大社 若宮

 この大木は若宮大楠。樹齢1700年なんて言われている。神功皇后お手植えだそうだ。

 
 

 これが若宮の本殿。しかし、うまく撮れなかった。

 「真の智恵を授ける」そうで、受験生なのか女の子と母親二人連れに非常に厳粛に参拝していたので、横で写真撮ってるのが悪いような気がした。 

 本殿の後ろには神楽殿があった。 

 

 

 すみっこの火焔太鼓(正式名称を知りません)を。 

 


 

8.夫婦大黒社・二の鳥居

 ここは若宮のすぐ隣。

 
 

 
 ここは「夫婦」大黒社というだけあって、「えんむすび」が本業。

 で、ここの絵馬をご覧いただきたい。

 ピンクのハート形の絵馬なのである。 


 何か、この先にも商売繁盛の「えべっさん」とか、いろいろな神社があるようだが、キリがないので省略した。
 女性の腰から下の病気を治すには○○社、腰から上の病気には△△社といった具合。

 ありとあらゆる商品を取り揃えております。当店で皆様のご要望、すべてが叶いますって商魂を感じちゃってどうも・・・・・。

 両側に石灯籠が並ぶ参道を降りていくと、二の鳥居。

 

 あとでガイドブックで知ったのだが、二の鳥居の側の檜皮葺きの建物は車舎(くるまやどり)と言って、天皇の行幸や、勅使、藤原氏などの参拝の折に使う牛車(ぎっしゃ)の倉庫らしい。今も春日祭りに使う牛車が入れられているらしいのだ。もっとちゃんと観れば良かった。


8.飛火野

 二の鳥居、車舎のすぐ先が神苑。万葉植物園と呼ばれることもあるようだ。入場料は600円。あ、そう言えば先の二の鳥居のすぐ側に宝物殿がある。屏風とか装束の特別展示をやっているようだが、もう閉館時間間近だったので、宝物殿も神苑もパス。

 神苑の参道隔てて反対側には鹿苑とよばれる場所もある。

 この辺一体は飛火野とか春日野と呼ばれるあたり。
 大きな樹もある。

 広い草っ原に鹿が気持ちよさそうに遊んでいる。

 

 こんな風景を見るとついついゴルフコースみたいだな、と思ってしまうのが私の俗なところ。

 

 しかし、上の写真のような光景が、大きな車道に面したところで繰り広げられているのだ。
 まあ、ちょっとよそにはない状況ではある。


 

 

 どうもお疲れ様でした。

 
  

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