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(No47) 大阪市立美術館 プラド美術館展 鑑賞記 その2
本日、嫁さんと一緒にプラド美術館展を観に行ってきました・・・の続き。
2.第二章 16〜17世紀のイタリア絵画 〜肖像、神話から宗教へ〜
36 ティツィアーノ・ヴェチェッリオ《皇帝カール5世と猟犬》
1533年 194×111cm 画像は、リンク切れになるまでアートナビや大阪市立美術館HPにて。
38 《アモールと音楽にくつろぐヴィーナス(ヴィーナスとオルガン奏者)》
1555年頃 149×217.7cm
ティツィアーノ作のこれは、本展覧会の白眉ではないだろうか。私はこの絵の前でしばし動けなくなり、その後も、会場を出る前に再度戻ってしまった。
ヴィーナスというから美神だ。しかし「神」という感じはおよそしない。
オルガンを弾きながらも、背後の女性を振り返ってついつい見つめてしまう奏者は、人間くささが、俗っぽいといってよいほどに感じられる。うんうん、その気持ちわかるで、と言いたい。
ヴィーナスの顔は艶やかに整っている。そこは、ある意味神格化されているのかもしれないが、首から下は、おそらくモデルとなった女性の肉体を、きわめて正確に写しているのではないだろうか。
胸はそれほど大きくはないが、わき腹や下腹、右腕のひじ前後のたるみ具合、そして、ひざ小僧がやや赤らみ、周りがぼこぼこと凹みが見受けられるとこなど、おそろしいほどにリアルだと思う。
画像は、リンク切れになるまでアートナビや東京都美術館HPで。 同じく、リンク切れになるまでは大阪市立美術館HPにて。
これはチラシ裏面にも掲げられている。
39 《サロメ》
1555年頃 87×80cm
これもティツィアーノ作。皿にヨハネの生首を載せて嫣然と微笑む。
44 レーニ、グイド《クレオパトラ》
1640年頃 110×94cm
これはクレオパトラ最後のシーン。服の前をはだけ、右乳房を毒蛇にかませた瞬間。
47 ジョルダーノ、ルカ《サムソンとライオン》
1695〜1696年頃 95×142cm
確か「サムソンとデリラ」という映画があったと思う。サムソンとデリラは、ライバルじゃなくて、恋人どうしだったようだ。図録の解説では、ぺリシテ人が、恋人のデリラを買収して怪力の秘密を聞き出した・・・・・とあった。ライバルだと思い込んでいたのは、昔の怪獣映画「サンダ対ガイラ」と混同してしまったのか。
それはそれとして、この絵では怪力サムソンがライオンの口をつかみ、上下に引き裂こうとしている。というか、もう既に口裂けライオンに、かなりなっちゃってる。
3.フランドル・フランス・オランダ絵画 〜バロックの躍動と豊饒〜 49 ティール、ユストゥス《フェリペ3世の教育の寓意》
1590年頃 158×105cm
変わった題の絵だが、内容も変わっている。中央に立っているのが即位前の若いフェリペ3世らしい。太子の後ろに立つ爺さんが、目隠しした天使の頭を鷲づかみにして、ぐいと捻じ曲げている。
いたいけない子供に暴力を振るうとはとんでもない爺さんだ、と思っていたら、図録の解説では太子の向かって左の女性は「正義」のシンボルで、この爺さんは「時の翁」をシンボライズしているようだ。(そういえば、よく見ると帽子のように頭上に砂時計を乗せている)
で、「目隠しをされたクピド」とは「悪徳」の象徴であり、翁は太子の背中を守り、悪徳を遠くに追いやっていると解釈すべきらしい。 51 ルーベンス、ペーテル・パウル《ヒッポダメイア(デイダメイア)の略奪》
1637年頃 182×290cm
これも図録の解説によると、テッサリアの英雄ペイリトオスと、アルゴスの王の娘ヒッポダメイア(デイダメイアと呼ばれることもある)の婚礼の祝宴で、酔っ払ったケンタウロスのエウリュトスが花嫁を略奪しようとした場面。まったく、酒癖のわるい馬というか、人というか。
同じく解説によると、ペイリトオスの友人テセウスが救出に立ち上がったらしいのだが、連れ去られそうになってのけぞって後方に助けを求めている花嫁に、中央で泣きそうな顔をしながら手を伸ばしている人物がテセウスなのか、その人物の周りで武器を手に、加勢に行こうとしている二人のうちどっちがテセウスなのか分からない。
それにしても、加勢の二人だが、剣を右手に持って腰だめにして飛びかかろうとしている男といい、槍を両手で持って頭上で振りかざし、今まさに突き刺さんとしている(花嫁に当たりそうなんだが)男といい、やたら物騒というか、酒の上の悪戯をたしなめようなんてレベルではなく、ぶっ殺してでも取り戻すぞ!って感じ。 画像は、リンク切れになるまでアートナビや大阪市立美術館HPにて。
52 《フォルトゥーナ(運命)》
1636〜1638年頃 179×95cm
これもルーベンスの作品。ボーリングの球のようなものを女性(女神)が踏み押さえている。これは「地球」の支配を象徴しているのか、「不安定さ」を象徴しているのか。
また、女性の姿は38のヴィーナスと同様、わき腹たぷたぷ、膝のまわりにはコブコブだらけの親しみやすい体形であった。
画像は、リンク切れになるまで東京都美術館HPで。 画像について、リンク切れになるまでは大阪市立美術館HPにて。
これはチラシ裏面にも掲げられているのでご参照願いたい。
57 ヨルダーンス、ヤーコプ《メレアグロスとアタランテ》
1620〜1650年頃 151×241cm
画面右では大きな猪の頭を掲げている一団、そして画面左には何やらその一団に不満げな人々が描かれ、また画面中央やや右では直立した若い男性と、座っているおばさんが手をつないでいるシーンが描かれている。
いま「若い男性と、座っているおばさん」と書いたが図録には「(カリュドンの王子)メレアグロスと、あいだに立っておずおずと彼の手をとり、懇願の視線で彼をなだめようとしている(乙女)アタランテ」とある。
59 スメトル、マティアス《聖トマスの懐疑》
1630〜1640年頃 125×99cm
これも図録の解説から引用すると「十二使徒のひとりであった聖トマスが、深い信仰と信念に欠けていたためにキリストの復活に疑念を抱き、それを確かめるためにキリストの脇腹の傷に指を差し入れているところ」とある。
まさに、この解説文の通り右脇腹の傷に二本指を差し込んでいる、見ていると「ぎええぇ〜」とうめきたくなるような絵画。
4.18世紀の宮廷絵画 〜雅なるロココ〜 67 メングス、アントン・ラファエル《大公女マリア・テレサ・デ・アウストリア》
1771年 144×105cm とくに左手など指の感じがとてもリアルである。
画像は、リンク切れになるまでアートナビで。
69 メレンデス、ルイス《ボデゴン:風景のなかの西瓜と林檎》
1771年 62×84cm
一緒に観に行った嫁さんは「西瓜、縞がなくて今の西瓜とだいぶ感じが違うねえ。林檎もそうやけど」と言っていた。確かにそう。
また、西瓜から滴り落ちる果汁の珠が描かれているところなど、ちょっと劇画的な感じもする。 画像について、リンク切れになるまでは大阪市立美術館HPにて。
これはチラシ裏面にも掲げられているので、ご参照願いたい。
68 《ボデゴン:プラム、イチジク、パン、小樽、水差しなど》
1760〜1770年頃 35×48cm
これは水差しの質感のリアルさがすごい。図録で標準サイズの画像の次に、見開き2P一杯に拡大されている。すると、標準サイズの画像ではリアルに見えたパンやプラムやイチジクが、拡大画像では「ああ、描かれているのだな」と当たり前の感想を感じてしまうのだが、驚くべきことに水差しの艶やかな陶器の表面の質感は、より迫真的になっているのだ。
70 《ボデゴン:風景のなかの柘榴、林檎、アセロラ、葡萄》
1771年 62×84cm
これは柘榴が主役だろうか。69と70は、果実のバックに、雲の渦巻く空が描かれている。やや調和を欠くような印象を受けるので、私の一番の好みは黒いバックの68。
5.ゴヤ 〜近代絵画への序章〜 75 ゴヤ、フランシスコ・デ《果実を採る子供たち》
1777〜1778年頃 119×122cm
一人が四つん這いになり、彼の上に乗ってもう一人の餓鬼大将風の子供が果樹の枝をぐい!と引き寄せている。別の男の子は下で帽子を逆さに持ち、落ちてくる果物を受け止めようと待ち構えており、もう一人の女の子も興味津々で見上げている。 画像は、リンク切れになるまで東京都美術館HPで。 画像について、リンク切れになるまでは大阪市立美術館HPにて。
78 《魔女の飛翔》
1797〜1798年頃 43.5×30.5cm
空中でのけぞる魔女とそれを支える男たち。地上では毛布のようなものを頭から被っている男。何だか不思議な構図である。 画像は、リンク切れになるまでアートナビや東京都美術館HPで。 これはチラシ裏面にも掲げられているので、ご参照願いたい。
81 《アブランテス公爵夫人》
1816年 92×70cm
画像は、リンク切れになるまでアートナビで。
どうもお疲れ様でした。
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