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(No142) 奈良国立博物館 第61回 正倉院展 鑑賞記 その4

 平成21年10月31日(土)に、観に行った時のメモの完結編。

 
 

 


第7部 文書

57 東大寺開田地図 越前国足羽郡糞置村地図(とうだいじ えちぜん の くに あすわぐん くそおきむら ちず) 中倉

 東大寺の荘園の地図。碁盤目状に区切られ、区画ごとに面積が記されている。

 山や川など地形もスケッチされている。・・・・・・・・しかし、凄い名前だね。

 奈良博HPは、ここから。

 

59 正倉院古文書正集 第12巻(しょうそういん こもんじょ せいしゅう) 中倉

 神亀三年(726)の山背国愛宕郡出雲郷計帳(やましろのくに おたぎぐん いずもごう けいちょう)。

 徴税のための住民台帳である。戸主の名前や、家族が書かれている。

 今日観て、あれ?と思ったのは、いちいち「右頬に黒子(ほくろ)」とか、左眼に痣などとか書いてある。個人識別機能まで持たせているのだ。

 奈良博HPは、ここから。

 


第8部 聖語蔵の経巻

62 続々修正正倉院古文書 第1秩 第1巻(ぞくぞく しゅうしょう しょうそういん こもんじょ) 中倉

 聖語蔵(しょうごぞう)とは正倉院南隣にあり、約5000巻の経典が納められているそうだ。

 今回も貴重な経巻が展示されているのだが、こうした経典を現在私達が眼にできるのは、大陸から伝わった経典を写経した僧、そして、その写経に誤りがないか校正した僧達の地道な努力あってのこと・・・というのはつい忘れがちである。

 この62は「一切経経師等手実」という。

 これは、写経僧の作業実績の記録簿みたいなもの。

63 続々修正正倉院古文書 第46秩 第6巻(ぞくぞく しゅうしょう しょうそういん こもんじょ) 中倉 

 これはおもしろかった。別名「経師等布施法」などで、写経僧や校正をする僧の給与規定である。

 「布一端」(←「一反」みたいなものか?)が給与の単位らしく、写経だと、紙40枚分書くと一端、校正だと、500枚分を2回校正(初校と再校か)して一端という感じ。

 さらにおもしろいのは、ペナルティも定められているのだ。

 写経だと、1行脱落があった時に作業実績から4枚分除かれるとか、校正だと誤字を1字見逃すと5枚とか。

 現在の労働基準法91条では、就業規則で減給制裁を定める際には1日分の50%、1月分の1割を超えてはならないという定めがあるが・・・・・なんてことを連想した。

 昨年の正倉院展でやはり、写経僧の欠勤届や始末書(続修正倉院古文書 第19巻(ぞくしゅうしょうそういんこもんじょ):経師等不参解(きょうしとうふさんげ))などが展示されていたが、宝物の間で垣間見える人間臭さが何とも言えず興味深い。


  


 お疲れ様でした。

 いつものことですが、図録等できっちり確認などをしておりませんので記録違い、記憶違いはご容赦ください。

 
  

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