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(No38) 大阪市立東洋陶磁美術館 特集展「古染付の魅力」 及び 平常展 鑑賞記 

 2008年7月19日(土)〜9月28日(日)、大阪市立東洋陶磁美術館にて開催された「鼻煙壺1000展」と同時開催の特集展と平常展の鑑賞記です。


特集展「古染付の魅力」

 
古染付とは「明時代末期の天啓年間(1621-27)を中心に江西省景徳鎮の民窯で焼成された青花磁器、いわゆる染付のうち、日本に輸入されたものに対する日本独自の呼称」とのことである。

 「虫喰い」と呼ばれる釉薬の剥落がよくみられるのだが、その素朴さがいいと、逆に味わいとして愛されているところが「日本」らしいと思う。

 館のHPに出品全作品のデータと画像が掲載されているので、ご覧いただきたい。

 特に印象に残ったものだけを転載させていただき、若干の感想を述べる。

名称 時代・窯 画像 備考
青花 菊花形平鉢 明時代・17世紀

景徳鎮窯(古染付)
 「例え」が適切かどうかは別として、大皿盛りのてっさ(ふぐ刺し)みたいだなと感じた。
青花 木葉形皿
明時代・17世紀

景徳鎮窯(古染付)
 特に縁の虫食いが目立つ。
青花 網干文 八角平鉢
明時代・17世紀

景徳鎮窯(古染付)
 「網干」とは、その名のとおり網を干してるとこの絵だが、これは日本からの注文で、慣れない中国の絵師が描いたので、何かパラソルみたいで形が不細工だ・・・と会場の解説文にあった。
青花 魚藻文 洲浜型向付
明時代・17世紀

景徳鎮窯(古染付)
 「州浜」(すはま)とは、「海に突き出た州のある浜辺」(広辞苑)をいう。
 その州浜の形をした食器である。
青花 蓮傘唐子文 茶碗
明時代・17世紀

景徳鎮窯(古染付)
 この唐子は、どうもこの特集展のイメージキャラクターらしく、どの作品の解説文にもこの唐子の文様がのせられていた。
五彩 花蝶文 十二角鉢(「天啓年製」銘)
明時代・天啓年間(1621-27)

景徳鎮窯(天啓赤絵)
 これはもちろん染付ではないが、同時期につくられた天啓赤絵(五彩磁器)である。


 鑑賞していて感じたのだが、何だか顔がほころぶというか、こころがほどけるというか、実にゆったり、のんびり、ほっこりとした気分にさせてくれる展示であった。

 民窯らしい、官窯のような張り詰めた完成度はないが、のびやかな、気持のよい作品が多かった。

 


平常展 安宅コレクション中国・韓国陶磁、李秉昌コレクション韓国陶磁、日本陶磁


 館HPのこのページに出品リストが載っている。

 

日本陶磁

名称 時期・窯・サイズ 備考
色絵 相撲人形(二対) 江戸時代・1680年代頃
有田(柿右衛門様式)
h:30.6 d:31.3
 いきなり入り口に置いてあったのが、これ。
重文 三彩 壺
奈良時代・8世紀
h:17.5
 いわゆる奈良三彩。
鼠志野 草鳥文 額皿
桃山時代・16世紀末-17世紀初
美濃窯(鼠志野)
h:5.5 w:23.6×21.0
  鼠色がシブい。 
織部 切落 四方手鉢
桃山時代・17世紀初
美濃窯(織部)
h:18.5 w:22.2×18.3
 器の形、特に大きな取っ手が面白い。
色絵 牡丹文 八角壺
江戸時代・17世紀
有田
h:42.1 d:32.8
 
色絵 菱畳地瓢箪文 大皿 江戸時代・1640-50年代頃有田(古九谷様式)
h:8.0  d:35.8
 
染付 果実文 皿
江戸時代・1640年代頃
有田・初期伊万里
h:2.7  d:26.4
 
色絵 組紐文 皿
江戸時代・1700-40年代
鍋島藩窯(鍋島様式)
h:6.0  d:20.3
 いかにも「鍋島」!って感じ。
色絵 結文香合
江戸時代・17世紀
野々村仁清
h:2.1  w:6.5×7.8
 おみくじとか箸袋を結んだりすることがあるが、「結文」という洗練されたデザインがいい。


安宅コレクション

自然光展示室

名称 時期・窯・サイズ 備考
国宝 油滴天目茶碗 南宋時代・12-13世紀
建窯
d:12.2
 これを鑑賞してると藤田美術館の耀変天目を観に行きたくなった。 
重文 青磁鳳凰耳花生 南宋時代・12世紀
龍泉窯
h:28.8 d:12.8
 これを鑑賞してると久保惣美術館の国宝 青磁 鳳凰耳花生 銘万声を観に行きたくなった。 
青磁八角瓶 南宋時代・12世紀
官窯
h:21.0 d:13.5
 
重文 飛青磁柑子口花生 元時代・13-14世紀
龍泉窯
 当然、国宝 飛青磁花生が展示されていると思ったのだが、どこかへ出張しているようだ。代わりに個人蔵の類品が展示されていた。
重文 木葉天目茶碗 南宋時代・12世紀
吉州窯
h:5.3 d:14.7
 


その他の安宅コレクション(中国陶磁)

名称 時期・窯・サイズ 備考
加彩 婦女俑 唐時代・8世紀
h:49.0 d:20.3
 展示台が回転していた。おかげで前からは見えにくい耳やうなじ、背中も鑑賞できた。
黒釉刻花 牡丹文 梅瓶 北宋時代・11-12世紀
磁州窯
h:31.6 d:19.8
 
重文 青磁刻花 牡丹唐草文 瓶
北宋時代・11-12世紀
耀州窯
h:16.7
 この瓶、好きです。 
重文 白磁銹花 牡丹唐草文 瓶 北宋時代・11〜12世紀
定窯
h:17.0 d:19.6
 
青磁 水仙盆 北宋時代・11-12世紀
汝窯
h:5.6 d:22.0×15.5
 これも大好き。画像は実物より色が薄い。解説文に「全面にかけられた青磁釉は釉溜まりで特に青みが強い」とある。少し背伸びして、内面をのぞき込んでみたところ、内周部分のとこは、ほんと青かった。 
重文 青花 蓮池魚藻文 壺 元時代・14世紀
景徳鎮窯
h:28.2 d:33.4
 ここの展示台も回転していた。おかげで、魚が全部で5匹いたことがわかった。 
瑠璃地白花 牡丹文 盤(「大明宣徳年製」銘) 
明時代・宣徳(1426-1435)
景徳鎮窯
h:7.0 d:38.7
 
青花 瓜文 碗(「大明成化年製」銘) 明時代・成化(1465-1487)
景徳鎮窯
h:7.0 d:15.4
 いわゆるパレスボウル。
青花 蜀葵文 碗(「大明成化年製」銘) 明時代・成化(1465-1487)
景徳鎮窯
h:7.0 d:14.6
 
重文 法花 花鳥文 壺 明時代・15世紀
h:44.5 d:39.4
 


 


  

 どうもお疲れ様でした。

 
  

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