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愛犬ハナ日記(9) 「ハナちゃん、入院す」の巻

(1) せんせい(医師)の診断

 病院で、ハナを何度か歩かせ、そして、診察台にあげてじっくり足を触診。その結論は・・・。

 左後ろ足の「お皿」が脱臼して、内側にずれてしまっているとのこと。

 「お皿」が何のためにあるか、というと、股関節からつながっている、後ろ足の上肢の骨、そして、下肢の骨。この2本の骨が膝のところでまっすぐ曲がるためにある。
 膝関節の模型で説明してもらったのですが、お皿の裏には縦長の出っ張りがある。また、上肢の骨、下肢の骨のそれぞれ膝に接する端の部分には溝がある。
 そして、お皿の裏の出っ張りが、骨の溝にはまって、そこを中心に曲がるようになっている。
 お皿は、両方の骨のちょうど中心に位置してないといけないから、上下、そして左右にも靭帯というゴムのようなものがついており、四方向から引っ張られているそうです。
 骨端の溝にはまり、十字靭帯で固定されてるはずのお皿が、その溝から外れ内側にずれてしまっているというのです。靭帯も傷んでいるとのことでした。

 レントゲンを撮ることになりました。奥の診察台に乗せられ、パーマ屋さんの「お釜」みたいなカメラが上の方で引き出されてきました。
 診察台の下にフィルムをセットし、ハナの足を乗せ、上のカメラからエックス線を当てるというわけです。

 「ハナちゃんは、おとなしいのわかってるんやけど、痛いかもしれないから一応はめさせてもらいますねえ」と言われて、口に黒いカバーがかぶせられました。
 医師の一人がハナを後ろからかかえ、もう一人がハナの足を伸ばしてカメラの下に置き、足元にあるスイッチを踏んでレントゲンを撮ります。
 ハナは変なカバーを口に巻かれ私達の方を見ながら「ねえ、私、何をされてるんですか?ねえ、ねえ。そんな遠くで見てないで助けてくださいよ」と物言わぬ目で訴えかけているようでした。

 レントゲン写真を見ながら説明を受けました。やはり脱臼しているのですが、ハナは骨自体が曲がっているようなのです。上肢の骨が片方に曲がっている。すると、全体として真っ直ぐにしようと、下肢の骨が反対側に曲がってしまい、極端に言うと前から見ると、膝を中心に「く」の字型になっている。
 上肢の骨と下肢の骨の間の隙間は、本来均等であるべきなのですが、「く」の字なんで、片方は開きすぎ、もう片方はくっつきすぎて擦れあうような状態になっているそうです。

 ここで、心配になっていたことを聞いてみました。ハナは虐待・放置されていた犬を保護するセンターから、うちが里親になるということで引き取った犬です。だから生まれてから幼児期までの栄養状態や運動面がひどい状態だったと思うのです。
 引き取った当初から、お坐りをする時も「横座り」のような格好をしていたのですが、今回のことと、幼児期の栄養状態等は関係があるでしょうか?と。

 やはり大いに影響は考えられるとのことでした。骨の曲がりも関係があると思うし、膝のところの溝も最初からきちんと刻まれている訳じゃなく、小さい頃から何度も何度も膝を曲げているうちに段々きちんとした溝になっていく。ハナはその溝が浅くて、急激な方向転換などをした拍子に外れてしまったのではないか、とのことでした。

 人間でも、よく「脱臼ぐせ」とか言いますが、ここまで完全に外れてしまったのは初めてとしても、少しずれたりする(そして、また元に戻る)なんてことはこれまでにもあったのではないか、とのことでした。

 今でもかなり痛みがあると思う。このまま、放置しておくと将来歩けないようになるかもしれない。お皿がはずれないよう、骨の溝を少し掘って、溝の両側に板を埋めて「土手」のようなものをつくる。靭帯も調べて完全に断裂しているようならワイヤーでつなぐなどの措置をする。

 手術後、痛みやハレがひくまで最低4、5日は入院が必要。手術費用は、だいたい15万から20万くらいでおさまるでしょう・・・とのことでした。
 費用面は正直言って痛いですが、ハナの方がもっと痛い筈。とりあえず、一番早く手術をしてもらえる日ということで、6月5日(木)11時30分に予約をしました。


(2) そして、手術へ

 その先に手術という運命が待ち受けていることを知らないハナは、別に大層に痛がる訳でもなく、ごく機嫌よく暮らしておりました。

 で、当日。今回は私一人ですし、午前中だけ休んで昼からは仕事に出る予定だったので、自転車を押していくのは難しいな、と思いました。そこでワンドライブというペット送迎の会社に予約しました。

 11時少し前に同社の車が来ました。乗せようとするのですが、さすがに察したのか、なかなか出てこようとしません。まあ、車が迎えに来ると言ったら、家族旅行でペットホテルに連れて行かれる時くらいですから、どうせろくなことじゃないとハナもわかっているのでしょう。
 当日来てくれたワンドライブのIさんという方は、本当に動物好きなようで、とても感じがよかったです。

病室の中のハナ  車内はクーラーがきき、快適でしたが、ハナはとても不安げな目をしていました。

 さて、病院。気分を落ち着かせる鎮静剤を注射し、その後で短時間だけ効く麻酔の注射をする。
 その麻酔が効いている間にチューブを取り付けて、ガス麻酔の準備をする。
 そして、呼吸数とか身体の状態が十分安定してから手術をするとのことでした。

 本当なら、麻酔が完全に効くまでの間くらいついていてやった方がハナも心強かったのでしょうが、1時までに会社に着かねばなりませんでした。

 それで、最初の鎮静剤を注射する時に首を抱えてやっただけで、後はせんせいと看護婦さんにお任せすることにして、後ろ髪ひかれる思いで病院をあとにしました。

じょうごをかぶった私  嫁さんが後で電話したところ、「けっこう大変な手術でしたが、成功したと思います。今日はまだ寝ていますが、明日以降いつでもお見舞いに来てあげてください」とのことでした。

 さっそく、金曜日の夜に娘と嫁さんでお見舞いに。
 そして、土曜日、私と娘で行きました。
 診察室の奥に、別の一室があり、ケージが上下2段で並んでいます。上は小型犬専用のようで、ハナは下の段の一番左端でした。
 やっぱ、傷口をなめないようエリザベスカラーというパラボラアンテナみたいなのを首にはめています。

 古いたとえで恐縮ですが、エリマキトカゲか、ウルトラマンに出てきたジラースという怪獣のようです。

 私達の顔を見ると嬉しいのか、ケージの中で興奮して動きまくります。
 看護婦さんに、ケージから出してもらいました。帰りたくて仕方ないのか、いきなり出口に向かって猛突進。あわてて引き止めたとこを上から撮ったのでエリザベスカラーの側面部の様子がよくおわかりか、と。

 ともかく、喜びまくって跳ね回ったり、私のところに飛びついたり。
 看護婦さんも、内心ちょっと慌てているよう。
 私も、手術したとこやのに、そんな後ろ足だけで体重支えたりして・・・と気が気じゃありません。
 右写真に手術した左後ろ足が映ってますが、消毒薬の加減もあるものの赤黒い色が痛々しい。
真っ赤な左足

 何か、あまり長時間こんなこと続けているとまた靭帯切ったりしそうで、名残惜しいのですがケージに戻してもらい、病室を出ました。扉の向こうでハナがきゅ〜ん!きゅ〜ん!と大きな声で鳴いて私達を呼んでいるのが聞こえます。
 後戻りしたくなる気持ちを必死で振り切り、せんせい方にあいさつをして診察室を出ました。
 退院許可がもらえ次第、迎えに来てやるからな、そう心の中で繰り返しつつ。


 デジカメ、高画質で撮ったので表示が重いでしょうが、すみません。次回は「ハナちゃん、退院す」で書きたいものです。
 

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