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アジア映画れびゅう(62) 「カンフーハッスル」  

(ご注意)思い切りネタばれです。まだ観てなくてストーリーを知りたくない人は、お気をつけください。
 
また、記憶違いなども多いでしょうが、ご容赦ください。

 




(ストーリー)

 冴えないチンピラのシンは、弟分とともに、最近売り出しのギャング団斧頭会を装って、貧乏アパート豚小屋砦の住民を脅して小遣い稼ぎをしようとしたが、思わぬ逆襲にあった。
 
 たまたま通りかかった「本物」の斧頭会が、豚小屋砦の住民とトラブルに。

 哀れな母子連れが頭からガソリンを浴びせられ、火をつけられようとした時、立ち上がったのは、腰の低い粥麺屋と、寡黙な人足、オカマの洋品屋の三人だった。

 実は粥麺屋は棒術、五郎八卦棍の、人足は足技、十二路譚腿、洋品屋は上腕部に金輪をはめての洪家鐵線拳の名手だった。

 三人の活躍でいったんは斧頭会を撃退した豚小屋砦だが、ヤクザが面子をつぶされて黙っている筈はない。
 古琴波動拳を操る盲目の兄弟が刺客として送り込まれた・・・・・・。

 


(あれこれ)
 
(1) チンピラ、シンの過去

 シンは、昔、訳の分からない浮浪者に売りつけられた「如来神掌」の指南書を信じ込み、強くなったと勘違いして、いじめられていた聾唖の飴売りの少女を助けようとしてボコボコに返り討ちにあった過去がある。

 しかし、何でアジア系映画では、屈辱的シーンとして「小便をかけられる」描写が多いのだろうか。(現実に、よくかけるのだろうか?)

 シンが、脅しても密告されない、アシがつかないと聾唖の売り子から売上げをくすねようとして、彼女が昔助けようとした女の子だったと気づくシーンは感動もんである。
 確かにそんなことがあったら、自分自身が心底いやになっちまうだろう。
 そこが彼の人間としての分岐点だったように思う。

 念願かなって斧頭会に入れてもらうが、裏切って火雲邪神に床にめりこむほど殴られる。普通それで死ぬのだが、「ありえねぇ〜!」ことにリミッターが外れたというか、如来神掌を操るすごい達人になっちゃうのである。


(2) 踊るサム、跳ねるリャン

 斧頭会のボス、サムの手斧を持ってのダンスはしゃれている。たとえは古いが、小林まことの『ホワッツ マイケル』のマイケルが踊る「スリラー」に似ていた。

 火雲邪神の蝦蟇功もCGなんで当たり前だが、ガマそのもの。で、卑怯千万なのも悪役としてのお約束どおりで、釣鐘メガフォンに「まいった」しておいての「ぶっ刺し」も定番。で、そのぶっ刺しの「華」が、最後のシンには通じず、逆に「竹とんぼ」に使われ「天に通じる」イメージに使われるのも、「ありがち」ではあるが、しゃれてるなと感じた。
 ありがちといえば、「蝶の羽化」でシンの「生まれ変わり」をイメージさせる演出もガチで「ありがち」。 

(3) 外見と内実のギャップ

 家主の特権を利用し、気弱な店子にたかる飲んだくれでスケベな親父。頭にカーラーを巻き、亭主を尻に敷く因業な女房。
 彼らの名前が「楊過」と「小龍女」というところで香港などではどっと受けるらしい。『神雕侠侶』におけるヒーロー、ヒロインの名前なんで美男美女の代名詞だから。
 彼らも実は亭主が身体をくねくねさせる太極拳(「円」の極意か?)の名手。女房は獅吼功の使い手。息子を武術大会で喪ってから武道を封印していた。

 豚小屋砦の3職人もギャップが甚だしいが、特に洪家鐵線拳の洋品屋は、普段は赤パンティが透けており、それを指摘されると「いやぁ〜ん」と顔を伏せる。

 まあ、何も考えずに楽しんでいられるが、『少林サッカー』よりはディープでダーク。

  
  
 


(資料)
『カンフーハッスル』   功夫  Kung Fu Hustle  

2004年 アメリカ・中国作品
監督:チャウ・シンチー

 
主演 役名 俳優
シン チャウ・シンチー:周星馳
家主 夫    ユン・ワー:元華
家主 妻 ユン・チウ:元秋
粥麺屋(五郎八卦棍の使い手) ドン・ジーホウ:董志華
人足(十二路譚腿の使い手) シン・ユウ:行宇
洋服屋(洪家鉄線拳の使い手) チウ・チーリン:趙志凌
刺客の兄弟(古琴波動拳の使い手) ジア・カンシー:賈康熙
同上 フォン・ハックオン:馮克安
火雲邪神(崑崙蝦蟇功の使い手) ブルース・リャン:梁小龍
斧頭会組長サム チャン・クォックワン:陳國坤
 〃 副組長 ラム・シュー:林雪
 〃 相談役 ティン・カイマン:田啓文
シンの相棒のデブ ラム・ジーチョン:林子聡
シンの初恋の相手(聾唖の売子) ホアン・シェイイー:黄聖依
鰐組組長 フォン・シゥオガン:馮小剛
半尻床屋 ホー・マンファ:何文偉


★★★☆


 
 お疲れ様でした。

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