移動メニューにジャンプ

アジア映画れびゅう(6) 「天地争覇」 「天地風雲」
 

(ご注意)かなりネタばれです。まだ観てなくてストーリーを知りたくない人は、お気をつけください。
 
また、記憶違いなども多いでしょうが、ご容赦ください。


「天地争覇」

(ストーリー)
 列強の重圧に押し潰されそうになっている清朝末期、西太后は獅王戦という一種の武術大会を思いついた。高いやぐらの上の金牌を獅子舞で奪い合うのだ。
 町の顔役、チウ・チンバイは、是が非でも、この獅王戦を制そうとしている。ライバルになりそうなウォン・フェイフォンの実家を威圧するため殴りこみに来た。先頭に立って暴れ回るのは、凄まじいばかりの足技を駆使する鬼脚。

 獅王戦の前哨戦が行われた。ウォンの弟子フーがこっそり飛び入り参加し、鬼脚といさかいになる。そのいざこざの中で、鬼脚は、自慢の足に大怪我を負ってしまった。
 チウの一派太平組の獅子は、刀で切りつけるなど卑怯な手を使って、前哨戦をものにした。祝勝会が三笑楼(チウ一派の根城)で開かれる。松葉杖をついて駆けつけた鬼脚であったが、足技が使えない鬼脚に価値はない。彼を待っていたのは、「祝いの金が欲しいのか」「今まで威張りやがって」という仲間の嘲りの声だった。
 鬼脚は、階段から突き落とされ、杖はへし折られ、はいつくばって、その場から逃れていった。 
 
 雨の中で倒れている鬼脚を家に連れ帰り、治療を施したのはウォンだった。「きさまの恩など受けん!」と意地を張っていた鬼脚だったが、ウォンの真情についに頑なこころを開く。

 鬼脚の足が治ったと知り、再び手下にしようと連れ戻しに来たチウ。拒まれたが、逆上すると思いきや、「お近づきになりたいので、明晩、父上ともども三笑楼にお招きしたい」と口上を述べ、にこやかに去っていった。
 もちろん、これは罠であるが、背中を見せるわけにはいかない。単身敵地に乗り込んだウォンは、油で滑る床に苦労しながらも虎口を脱した。

 いよいよ獅王戦当日。足を怪我したフーに代わり、鬼脚がウォンの相棒としてやぐらの上のゴールを目指す。ウォンの獅子に迫る、太平組の獅子は、刀や槍はもちろん、火炎放射や弓矢などの飛び道具まで使う。

 一方、清朝の覇権を狙うロシアには、日本と講和し、清を立て直そうとしているやり手の李鴻章が目障りであった。獅王戦で勝者が金牌を手にした時に爆竹が鳴る。その音に紛れて、李大臣を銃撃しようともくろんでいた。
 イーさんに好意を寄せているように見えたロシアの通訳トマンスキーも、ウォンらがロシアの暗殺計画を知って阻止しようとしていることに気付き、一転してイーさんの命を狙う。

 トマンスキーの拳銃がイーさんに突きつけられた。ロシアの狙撃手のライフルは、李大臣を狙っている。ウォンと鬼脚に迫るチウ一派の白刃。
 そして、ついに運命の爆竹が・・・・・。

(ひとこと)
 ストーリー的にははちゃめちゃだし、アクションもやたら派手な中国獅子舞の活躍ばかりが目立つのだが、私はこの作品、けっこう好きである。

 敵役の鬼脚七(熊欣欣)、元気な間のアクションは「血管切れるんちゃうか?」と心配になるぐらい、やたらめったらパワフルである。
 ところが、自慢の脚を怪我して、親分からも放り出される。傷心の「くまきんきん」に優しく手を差し伸べる李連杰。
 しかし、鬼脚は、ウォンの父の「意地を張らずに、まず足を治せ」という言葉も、イーさんの差しかける傘も振り切って、雨の中、はいずりながら家を出て行く。
 「雨は毒だ」声をかけるウォンに殴りかかる鬼脚。殴りながら、鬼脚は、自分を嘲り笑い、唾を吐きかけ、足蹴にしたかつての仲間達の顔を思い浮かべていた。
 二発、三発。ウォンは抵抗せず、だまって鬼脚の拳を受け入れる。そして、諭した。「闘いたいなら、まず足を治せ」
 これに続くのが、降り注ぐ雨の中で響く「うぉん・ふぇいふぉぉぉ〜んん!!」の野太い絶叫。がっちりと抱(いだ)き合う二人。泣きじゃくる鬼脚の背中を、ウォンがよしよしとたたく。これぞ、たかむら園長(「竹叢園」主宰者)の情報によれば、「わんちゃいファンが5万倍増えた」伝説の名シーンである。(香港の映画雑誌に、そう書かれていたそうだ)
 ま、ここさえ見れば、後はおまけみたいなものか(←言いすぎ、言いすぎ)

 この後、イーさんが録ったカメラで上映会がある。ウォンの演武のフィルムなどをみんなで夢中で見ているところに、鬼脚が顔を出す。
 まだ、足を引きずってはいるが、映画を見て、「フーだろ」。すると、フーが鬼脚に豆を投げる。それを受けとめ、口にする鬼脚。そして、お互いに二ヤッと笑う二人。鬼脚がウォンの一家としてなじみつつあるところをうまく表現しているなあと思った。

 ウォンとイーさんのラブラブシーンもたっぷりである。何せ、ウォンが実家に戻ってきたのは、父親にイーさんとの結婚を報告するためなのだ。
 父親に話しかけるウォン。近くのガラス越しに、ウォンを応援するイーさん。いよいよ結婚の話か?というところでは、唇を突き出し、キッスの形をするイーさんがかわいい。もっとも、照れ屋のウォンは結局切り出せず、イーさんはガラスの向こうで地団太を踏むのだが。

 新しく導入した蒸気機関で噴き出した湯気のかげで、ウォンにキスをするイーさん。真っ赤になるウォン。
 イーさんの英会話教室。イーさんは、「私に何か言いたい時は、必ず I LOVE YOU とつけて」と教える。 
 ウォンは「あいさつみたいなものか?」と理解し「あいらふにゅう」と覚える。「おかしいな、外国の言葉なのに「腐乳」(中国の発酵性調味料)なんて」などと言いながら、無邪気に繰り返す。
「イーさん、あいらふにゅう」「イーさん?」
「あ、いや。ショーチェ、あいらふにゅう」「私もよ」
 うっとりとした眼でウォンを見つめるイーさん。
 このほか、イーさんを小脇に抱え、ロープをつかんで舞い降りるシーン、イーさんが姿を消したので心配し、見つけた瞬間に「行ってしまったかと思った」と言って、抱きしめるシーンなど、リンチェイファンの女性には、なかなかおいしい映画だと思う。 
(資料)
1993年香港作品
監督:ツィ・ハーク(徐克)
主演:ウォン・フェイフォン(黄飛鴻)→リー・リンチェイ(李連杰)
イーさん(十三姨)→ロザムンド・クァン(關之琳)、フー→モク・シウチョン(莫少聰)、鬼脚七→ション・シンシン(熊欣欣)、ウォンの父→ラウ・シュン(劉洵)
原題:黄飛鴻之三 獅王争覇 ONCE UPON A TIME IN CHINA III
★★☆


「天地風雲  ワンス・アポナ・タイム・イン・チャイナ・アンド・アメリカ」

(ストーリー&ひとこと)

天地風雲  黄飛鴻が、弟子のソーが開いた診療所を助けるため、十三姨と鬼脚七を連れてアメリカに渡る。
 ところが、途中で頭を打って記憶喪失になって・・・というのだが、ただ無駄なシーンのようにしか思えない。ウォンにインデアンの革服を着せ、お下げ髪にさせたかったのか。

 師匠の記憶を戻そうと、鬼脚はがんばるのだが・・・
 敵役がぴりっとしないと主役も光れない。ガンマンなんだか、武術家なんだかよくわからないのだ。

(資料)
監督:サモ・ハン・キンポウ(洪金寶)
主演:ウォン・フェイフォン(黄飛鴻)→リー・リンチェイ(李連杰)
イーさん(十三姨)→ロザムンド・クァン(關之琳)、チャト(鬼脚七)→ション・シンシン(熊欣欣)
原題:黄飛鴻之西域雄獅 ONCE UPON A TIME IN CHINA & 
AMERICA
1997年香港作品
★★


←前のページへ 次のページへ→
「アジア映画」メニューに戻る
トップページに戻る

inserted by FC2 system