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アジア映画れびゅう(55) 「新・流星胡蝶剣」  

(ご注意)思い切りネタばれです。まだ観てなくてストーリーを知りたくない人は、お気をつけください。
 
また、記憶違いなども多いでしょうが、ご容赦ください。



(ストーリー)


 明朝の時代、東の宦官・ツォと西の宦官・リーとの間で政権争いが起こっていた。

 ツォ派“快活林”の武道家・コウは、ツォ派と対立する聚賢山荘の荘主ソンとリーとが交わした朝廷打倒の密書を奪うことを命じられる。

 コウは幼いころから面倒を見ていた孤児のシンとイプと組んで、ソン打倒と密書奪回を画策するが・・・。


 

 



(あれこれ)
 
【 悪女の深情け 】

 シン、イプ、そして女の子ホーチンは、みなしご同士で助け合って生きてきた。コウは、三人の姉貴分格。

 いつか、コウはシンを愛していた。

 
 しかし、シンはそんなコウの気持ちには全く気がつかず、シウティという若い女性と結ばれた。

 コウは、シウティを「乳牛」と呼んだりしてきつくあたるが、「弟の嫁」に対する親密さ・・・・ではなくて、マジで憎んでいたみたい。


 風呂場でシンを誘惑したりするところは哀しさを感じさせる。
 幼馴染のホーチンを刺客として送り込んでいたことを「血も涙もない」となじるシン。すると、コウはぼろぼろ涙を流し、「人前で涙を見せるのは初めてよ。生まれてから一度も笑うこともなく、頑張ってきた。
 私が女に見える?魅力がないでしょ?
・・・・・・・・・約束するわ。これが最後よ」 

 ラストシーンで、シンに「私の側にいて。武術界は私たちのものよ」と誘うが、シウティが迎えに来て、シンはあっさりシウティの元へ。それを呆然とみているコウの表情が何とも・・・・・・。



【 切ない片思い 】 

 一方、シンの弟分のイプは、姉貴コウにあこがれていた。

 しかしコウの心はシンにあるのはわかっているので、その想いは屈折せざるを得ない。

 酒におぼれる。そして、コウの絵姿にキスしたりする。それがまた、シウティに「顔に墨がついてる」とばれる。

 コウの入浴をのぞいたりもする。完全にストーカー。またまた、コウが「私も女よ」とシンを誘惑するシーンに遭遇したりする。
 傷心のあまり泥酔し、刀で地面に「裏切り者」とか何とか刻むイプ。

 イプもシウティには気軽にしゃべることができる。
「不機嫌だな。俺も同じだ」と酒を酌み交わしたりもする。顔をすすで真っ黒けにしてまで、お腹の子どものための薬を煎じてやったり、差し入れを届けたりもする。
 シウティも口ではけなしながら、アドバイスする。
「その優しさは、自分の好きな女にしたら?」「え?」「コウよ」「俺はもてないからな」「自分を変えなきゃ。素直になるのよ。まず笑顔。やってみて」
 おずおずと微笑んでみるイプ。
「やめた方がいいわ。怖いから」 

 ドニーさん、完全な「いじられ」キャラである。


【 扱いの悪いジョイ・ウォン 】

 いま「ヘキサゴン2」というクイズ番組でスザンヌら「おバカタレント」が人気だが、コウが「乳牛」と蔑むとおりの扱いである。

 新妻のシウティを置いて、シンはコウ、イプと刺客の旅に出る。シンはシウティに長い長い手紙を書き残す。いわく、コウは家政婦じゃないから甘えるな。朝は早起きしろ。イプはからかうな・・・・。

 まあ、最後ハッピーエンド風だったので良かったが。  
 


【 めっちゃ、おいしいとこ取りのジミー・リン 】

 ジミー・リン演じるガー王子は、最初蹴鞠遊びばかりしてるバカ王子って感じだったが、ソンを倒した後の真のラスボス対決の時に「お前の正体はお見通しだ。ずっと見張ってたんだ。やっと本性を現したな」と見得を切る。

 勅命だ!と印籠のようなものを見せるところは、お前は水戸黄門か!とツッコミを入れたくなった。

 ボールを自在に操り、壁などに反射させて、ボレーシュートを繰り返しラスボスに迫るのだが大した威力はなく、そのラスボスが「それだけか?」と揶揄した時には思わず「確かに!」と深く同意してしまった。

 魔球!とか旋風蹴り!とか稲妻蹴り!とか叫んで技を繰り出す。
 電撃頭球!と叫んでボールをヘディング。ラスボスがそれを軽々と受けようとするが、強い衝撃を受けて頭が血だらけに。「ふふ、球をすり替えたのさ。それは鉄の球だ」と王子はうそぶくのだが、じゃあ、それをヘディングしたお前はどうなる?

 ジミー・リンは台湾四小天王と呼ばれるアイドルなので、扱いが丁重だったそうだ。


【 はちゃめちゃなアクションシーン 】

 シンは弓使い。背中に回して弓を引き絞り矢を放ったりする。

 ソンと対決する時、コウは紫の布を武器に闘っていた。シンが助っ人に入り、コウは足をぐっと反らして、その布をちょうど弓の弦のようにぴん!と張る。
 シンはその弦に自分を引っ掛け、自分自身が矢となって、ソンに突っ込む。
 ソンは「通用するものか!」と強がったが、シンに体を貫通され、バラバラに吹き飛んでしまう。

 ラスボスもそう。お屋敷の太い柱をぶっこ抜き、ガー王子に肉薄する。さすがの王子も血を吐き、屋敷の外までぶっ飛ぶ。しかし、再び矢となったシンが突っ込む。
 シンときたら、その柱を頭で砕きながらラスボスに迫り、ついにラスボスの体をも貫通したのであった。

 おまけに、復活した王子が、弱ったラスボスに「とどめ!」とばかりに、頭を思い切りボレーシュート。ついに首なし男になって倒れたのであった。

 ともかく随所で、人間の体が四方八方に吹っ飛ぶ、吹っ飛ぶ。

 

 


(資料)
『新流星胡蝶剣』   BUTTERFLY & SWORD

1993年 香港・台湾作品
監督:マイケル・マック[麥當傑]

 
主演 役名 俳優
シン:孟星魂 トニー・レオン[梁朝偉]
コウ:“快活林”主人高老大 ミシェール・ヨウ[楊紫瓊]
イプ:葉翔 ドニー・イェン[甄子丹]
シウティ:小蝶 ジョイ・ウォン[王祖賢]
ガー王子:小王爺 ジミー・リン[林志穎]
ソン チョイ・ガムコン[徐錦江]


★★★


 お疲れ様でした。

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