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アジア映画れびゅう(49) 「ALWAYS 三丁目の夕日」  

(ご注意)思い切りネタばれです。まだ観てなくてストーリーを知りたくない人は、お気をつけください。
 
また、記憶違いなども多いでしょうが、ご容赦ください。(特にDVDを借りて1回しか観てないのに返しちゃったので、相当あやふやです)


「ALWAYS 三丁目の夕日」

(ストーリー)
 昭和33年の東京。

 下町の「鈴木オート」という自動車修理工場に青森から集団就職で星野六子という少女がやってくる。

 鈴木オートの向かいの駄菓子屋は、小説家を目指す茶川という青年が片手間に営んでいる。

 町内の連中は、最近やって来た一杯飲み屋の若いおかみヒロミが気になってしょうがない。茶川もその一人だった。

 ある日、茶川はヒロミから「最近、知り合いの子を預かったのだが、茶川さんのような教養ある人に面倒をみてもらいたい」と頼み込まれ、酒の勢いで引き受けてしまう・・・・・。


(あれこれ)

 観ていて最初の頃はすごく抵抗感があった。

 特撮技術や巧みなセットをフルに活用し、「昭和33年の東京」というのを克明に再現するのだが、それがこれでもか、これでもかという感じなのだ。

 セーラー服の女学生の集団就職。店先ののぼり。壁に張られた縦長のホーロー看板。市電の線路やトロリーバスの電線。高層ビルのない街並み。氷を入れる冷蔵庫。やっとこみたいな「はさみ」を持って配達に来る氷屋。土管が置かれた広場でフラフープに興じている子供たち。三輪ミゼット。自転車に乗り、ロカビリーに熱狂してコカコーラを飲む新しもん好きの煙草屋のばあさん。しんせい。駄菓子屋のあてもん(くじ)。白黒テレビ。街頭テレビは卒業したが、先行して導入した家に近所中集まってのTV大会。取れてしまう回転式チャンネル。シャープ兄弟vs力道山。電気冷蔵庫の導入。冷蔵庫に頭を突っ込み、冷気を味わう。三種の神器。少年○○王といった名前の月刊誌。医者の往診。その医者が乗っているスクーター。座り机にむかってランニングシャツと鉢巻姿で原稿を書き、反故紙を丸めては後ろに投げ、ダメだ〜と嘆きつつ仰向けに倒れる文学青年。

 しかし、扇風機に向かって「ああああ〜」と声をかけ、震えるのを楽しんでるシーンはまいったなあ。

 演出もクサイ演出ばかりだ。

 星野六子が東京駅に着くと、りゅうとした身なりのヒゲをはやした若い社長が立っている。「社長直々に迎えに来てくれるなんて。六子、あんた、きっと社長秘書になるんだよ」と級友にはやされ、その気になる。大きなカバンを提げヨタヨタとついていくと、駅前には素晴らしい、運転手つきのリムジン。「えっ?あんな高級車に乗れるの?」
 そう思ったら、その車は六子を待たずに出てしまい、陰から現われたのは鈴木オートのせこいミゼット・・・。

 里帰りを勧められ、クリスマスプレゼントに故郷への往復切符をもらう六子。しかし彼女は、浮かぬ顔。ついに彼女は大晦日に鈴木に切符をつき返し、手紙を送っても返事が来ない。親は口減らしができて喜んでいるから私には帰る場所がないんですと告白する。部屋で泣いていた六子にトモエは、「里心がつくといけないから六子には見せないで、と頼まれてたのよ。子供の顔が見たくない親がいると思う?」と、六子の母からの手紙の束を見せる。
 便箋に六子の大粒の涙が落ち、インクがにじむ・・・・・。
 六子はいきなり表に飛び出す。あわてて、六子のカバンをもって追いかけるトモエと一平。表では、則文が、ミゼットで待っていた。一平は六子のカバンを荷台に乗せ、「僕も行く!」と荷台に乗り込む。「ずるい!」とトモエも乗り込み、運転席をたたいて則文に合図し、則文は「ようし!駅まで神風タクシーだ!」とミゼットを発車させる・・・・・。
 

 親戚の間をタライ回しされ、いま、茶川の家に居候している淳之介。淳之介は、何と、少年誌に連載していた茶川のファンだった。淳之介自身も、ノートにSF冒険小説を習作していた。
 自習時間も真面目にノートに向かっていた淳之介が先生に誉められ、おもしろくない一平たちは淳之介のノートを取り上げ「こいつ小説家気取りだぜ!」とあざ笑いながら読み上げる。しかし、淳之介が描き出した未来社会の様子に夢中になってしまい、「ほかにあるなら持って来てくれよ。そうだ。今晩うちにTVが来るからうちに来いよ。そん時持ってきてくれ」と人気者になる・・・・・。

 アイデアが枯渇した茶川。ふと目にした淳之介のノート。その後、郵便屋が少年誌を配達に来るが、茶川はそれを受け取って隠し、淳之介から「今月号は?」と聞かれても「今月は都合により休刊だ」とウソをつく。
 クラスで真相を教えられ、帰ってきた淳之介は少年誌を持ち目を潤ませている。
 茶川は「お前の面倒見てんだから、お前のアイデアなんて全部俺のもんなんだよ!・・・・・・・・わかったよ。原作料出しゃいいんだろ。ほら、100円!・・・・・・・・・・・足りないのか。じゃ、ほら!・・・・もう、図々しいなあ!泣くなよ!」
「・・・違うんです。嬉しいんです。僕の話をおじさんが小説にしてくれて、それが本になって・・・・こんな嬉しいことはないんです」

 茶川とヒロミの「淳之介のお母さん、高円寺の和菓子屋で見かけた人がいるらしい」という話をたまたま耳にした淳之介。一平に話したら、「行ってみよう」ということになった。苦労しながらたどり着いたが、怪しげな愛人の男に追い返され、会うことはできなかった。
 誘拐か、と巡査も呼んで、心配している鈴木家と茶川、ヒロミ。そこにへとへとに疲れて帰ってきた一平と淳之介。博文が一平の頭を張り倒そうとしたその瞬間、それより一瞬早く、茶川が淳之介のほっぺたをビンタして、「心配させんなよ!俺はお前とは縁もゆかりもないんだぞ!」と言って、淳之介を抱きしめる・・・・・。

 ヒロミの店で、珍しくややお酒を過ごした感じの宅間医師。娘が好物だから・・・と土産に焼き鳥を注文する。スクーターを押して帰ってきた宅間医師。玄関を開けると娘が飛びついてくる。茶の間で浴衣に着替えてくつろいでいる宅間医師は、ちゃぶ台に竹包みの焼き鳥をのせ、娘にすすめる。大喜びの娘。良かったわねえと微笑んでいる妻に「お前も食べなさい」とすすめ、「そう?じゃ、いただこうかしら。あら、ほんと、おいしいわねえ」・・・・・・・・暗転して、巡回中の巡査に、草むらに寝ていたところを起こされる宅間医師。
 ヒロミの店では「空襲の時、宅間さんの奥さんと娘さんは直撃を受けて・・・・・」と話している・・・・。

 茶川は淳之介に「何かサンタにプレゼントしてほしいものはないか?」と聞くが、「気にしてもらわなくていいですよ。僕のところにはサンタは来たことありませんから」と遠慮する。
 クリスマスの日、玄関でごとっ!と物音がする。淳之介が見に行くと、玄関にプレゼントの包みが。あわてて表に出て周りを見回すと、雪の中に赤い服を着て、大きな袋を肩にかついだサンタが。
 茶川に促され包みを開けると万年筆が出てくる。「ど、どうして、僕の欲しかったものをサンタさんは知っていたんでしょう?」と目を潤ませ、信じられないという表情で感激する淳之介・・・・・・。

 ヒロミの店に飛び込んできた茶川。宅間医師もカウンターに座っている。
「喜んでた?」
「ああ、興奮してなかなか寝付かなかったよ。あっ、宅間さん、ありがとうございました。大変なことお願いしちゃって」
「いや、私こそ楽しかったよ。うん、ほんとに今夜は楽しい」
 さっきのサンタは宅間だったのだ。

 宅間が帰ったあと、あらたまって茶川はヒロミに指輪のケースを差し出す。しかし、ぱかっ!と蓋をあけても中身はない。「すまない。箱しか買えなかったんだ。でも、将来、必ず買うから」
 ヒロミは微笑んで、将来買ってくれる指輪をはめてくれと茶川を促す。茶川が指輪をはめると、ヒロミはその指を見つめて、「きれい・・・・・・」と喜ぶ・・・・。

 翌日、居酒屋には「貸し店舗」という札が貼られ、ヒロミの姿はなかった。「いるんだろ!」と戸を激しく叩く茶川に、不動産屋は「親父さんの治療費で相当借金があったらしいよ。いまどき、娘の身売りみたいな話があるとはなあ」と告げる・・・・・。

 淳之介は、ある大会社の社長が浮気でこさえた子供だった。社長は秘書に命じて、自分の血のつながった淳之介の行方を捜させていたのだった。
 高級車に乗せられ、社長の家に引き取られていく淳之介。宝物のように握り締めていた万年筆を、社長は「お前はこれから一流品だけを身につけるんだ」と無理矢理奪い上げ、車外の茶川に投げ捨てる。小さくなっていく車の影・・・・。

 「元に戻っただけじゃないか」と強がりの独り言をつぶやく茶川だが、淳之介が描いた、ヒロミと3人でカレーライスを食べている絵を見て、たまらなくなり、街に出て走り出す。
 しかし、足がもつれて転んでしまう。うつぶせに倒れこみ、ようやく顔を上げると、車から逃げ出してきたのか、淳之介がこちらを見て震えていた。
「馬鹿野郎!戻れ!親父さんは金持ちなんだ。何でも買ってもらえるんだぞ!俺はお前とは赤の他人なんだ。お前を養うのは大変なんだよ!」
 何度突き飛ばしても、押し戻しても、黙って首を振りながら、しがみついてくる淳之介・・・・・・。 

 
 やっとのことで帰郷列車に間に合った六子。座席にカバンを置き、ふと窓の外を見ると、線路と並行する土手を鈴木家のミゼットが疾走している。
 思い切り手を振りながら「良いお年を〜!」「良いお年を〜!」と声を掛け合う。

 六子を見送った鈴木家は、車外に降りている。
「きれいだな」
「うん、きっと50年後もきれいだよ」
 カメラがパンすると、屹立する東京タワーをシルエットとして浮かび上がらせて、美しい美しい夕焼けが。

 みんながそれぞれの場所で、その美しい夕焼けを見つめている。

 ヒロミは、「ゴールデン座」(ストリップ劇場か何かだろうか)というネオン看板が掲げられたビルの屋上で、夕日に「将来の指輪」をかざしながら・・・・・。

 並んで家路につこうとしている淳之介と茶川は
「また、お姉ちゃんと一緒にライスカレー食べたいね」
「ああ、すぐ食べられるさ・・・・・・」

 冒頭では東京タワーは基礎部分だけだったが、中盤では途中まで、そして最後の夕焼けシーンでは完成して時間の経過を表現している。じつにありがちな演出だ。
 これ以上ないくらい紋切り型の演出が続く。でも、何で涙がとまらないんだろう。


 


(資料)
2005年 日本作品
監督:山崎貴
主演 役名 俳優
茶川竜之介(文学) 吉岡秀隆
古行淳之介 須賀健太
石崎ヒロミ(居酒屋のおかみ) 小雪
鈴木則文(鈴木オート社長) 堤真一
鈴木トモエ 薬師丸ひろ子
鈴木一平 小清水一揮
星野六子(住み込み社員) 堀北真希
大田キン(煙草屋) もたいまさこ
宅間史郎(医者) 三浦友和


★★★★


 お疲れ様でした。

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