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アジア映画れびゅう(45) 「片腕カンフー対空飛ぶギロチン」  

(ご注意)思い切りネタばれです。まだ観てなくてストーリーを知りたくない人は、お気をつけください。
 
また、記憶違いなども多いでしょうが、ご容赦ください。


「片腕カンフー対空飛ぶギロチン」

(ストーリー)
 白いヒゲをたくわえた盲目の老僧、実は清朝から反政府勢力の暗殺を命ぜられた大物、「封神」であった。
 彼は、高弟二人が「片腕ドラゴンに殺された」という情報を得、復讐のため山を降りる。

 封神は外国人武闘家を手下にした上、「空飛ぶギロチン」という最強の必殺兵器を持っている。

 果たして、片腕ドラゴンは、封神の魔の手から逃れることができるのか・・・・・

(あれこれ)
 本作の映画評というと、
1. 荒唐無稽だが、チープなパワーがあっておもしろい。

2. こんな卑怯な主人公も珍しい。

 この2点に終始していると思う。私も何か違うことが書けるかなと思ったが、結局同じことになってしまう。

 では、まず1. チープなパワー編を。


1.チープなパワー編

その1 伝書鳩の吸い寄せ
 高弟がやられたという情報は伝書鳩で得るのだが、封神は空飛ぶ鳩を「おいでおいで」で一瞬のうちに吸い寄せてしまう。

その2 やたら壊すし、火をつけるし
 封神は、修行中の小屋から屋根をぶっ壊して飛び出るし(別にそんな必要性はない)、山を降りる際には爆弾で炎上させる。これはまあ、自分に関する情報を隠滅するためという理由もあろうが、その後、武道大会の会場から去る時も爆弾を投げまくる。

その3 空飛ぶギロチン
 投げ縄の付いた帽子。投げつけて頭にかぶせ、ぐい!と縄を引っ張ると内側に仕込まれたノコギリ刃が首ちょんぱ!としてしまう。
 その後のカンフー映画でも、時々鳥籠みたいなやつを頭に投げつけ、首を刈ってしまう武器を見たことがあるが、このギロチンはなかなか収納性やファッション性もいいみたい。
 たたんだ状態で、外側のノコギリ刃によって危険なフリスビーみたいにして使うこともできるようだ。

その4 超人ドラゴン
 道場主として多数の弟子を抱えている片腕ドラゴン。その七三に髪を分けた姿は、武術家というより実業家(それも修羅場をくぐった開業者ではなく、苦労知らずの二代目お坊ちゃん)のようだ。
 「重力」というものを無視して壁を歩く。身が軽いんですねえ。それとも人間が軽いのでしょうか?

その5 天下一武道会
 鷹爪拳の道場主が武道大会を主催する。そこには封神の刺客である外国人武闘家も混じり、ずいぶんインターナショナルな大会となっていた。
 うろ覚えだが、
(1) ○三節棍vs長槍●
(2) ●快刀vs無刀○ 
 快刀というのは、速い刀さばきということだろうか。中国でタクシーに乗った時、あまり飛ばすから思わず「怖い!」と叫んだら「快!(速く!)」と命じられたと勘違いした運転手がますますぶっ飛ばしたという笑い話がある。
 無刀術の使い手は確か日本人。トンファーみたいな武器で戦うのだが、接近戦になったとたん、仕込み杖で至近距離からグサリ!「何が無刀だ・・・」とつぶやいた、見学に来ていた片腕ドラゴン。批判しているのか、と思いきや、「参考にしよう」。この台詞、後々深くうなづけるようになるのがおもしろい。参考にしまくってます。
(3) ●辮髪術vsモンゴル相撲●
 新日プロレスの中西のようにアルゼンチンバックリーカーで肩に担ぎ上げ、ぐいぐい締め上げる。失神する中国人。おっ、モンゴル相撲の勝ちか、そう思ったのだが、モンゴル人も泡をふいて倒れた。中国人は辮髪をモンゴル人の首に巻きつけ、閉め続けていたのであった。両者KO。
(4) ○地堂もも(よく覚えていない)vs鉄布衫●
(5) ○鷹爪拳vs猿拳● 主催者の娘、当然の勝利。
(6) ●ジャワ人vs天縄○ 埋刀陣上の戦い
(7) ●台風剣vsヨガ○
 ヨガが武道かどうかは知らないが、よくカレー屋さんにいるような白い服を着たインド人登場。途中でヨガの秘術で両腕がにょきにょきにょきとまるで「ろくろ首」のように伸びる。で、その木の幹みたいになった腕で、ぼっかんぼっかん殴りまくる。まあ、あんだけリーチと重さがあったら強いかもな。
(8) ●虎鶴拳vsムエタイ○
 このタイ人キックボクサーは、武道大会前にも鷹爪拳のところに道場破りをかけていた。いかにも下品なキャラクター。
(9) ○片腕蛇拳vs蟷螂拳● 封神の乱入で試合はここで中止となる。

その6 間違って殺しても、まあいいか。
 封神が町におりて食堂に入った時、主人をびびらせて食い逃げしようと「俺は片腕ドラゴンだ!」と言った男がいた。その声を聞くなり迷わず二階から「空飛ぶギロチン」を投げ、首ちょんぱ!
 人違いとわかっても、まあいいかと正当化。上の試合でも「片腕」蛇拳の使い手と聞いたとたん、首ちょんぱ!人違いでもまあいっか。

 


2.卑怯な主人公編

その1 タイ人炙り焼き事件

 インド人も日本人も封神のパシリとなった。その二人はけっこう軽く破ったが、ムエタイは侮れないと感じた片腕ドラゴンは、「ムエタイは裸足である」ことに目をつけ、ワナを仕掛ける。
 狭い小屋にタイ人を誘い込んだ片腕ドラゴン。何とその小屋の床は鉄板に替えられていた。
 弟子たちが小屋の下でがんがん火を焚いたので床がどんどん熱くなっていく
 ワナに気がついて窓から逃げようとすると、取り囲んだ弟子たちが槍を突き出し、脱出を許さないあわれタイ人は鉄板焼きのお肉になってしまった。
 辛くも彼を破って外へ出た片腕ドラゴン。弟子が用意したバケツに慌てて飛び込む。彼はいつもより厚底の靴を履いていたのだが、それでも大量の水蒸気があがるほど熱くなっていた。
 「危なかった・・・」ともらした片腕ドラゴンの表情には、計略が的中した安堵感はあっても良心の痛みなど微塵も感じられない。

その2 高齢障害者虐待事件

 いよいよラスボスである封神対策。ポイントは二つ。相手武器「空飛ぶギロチン」の無力化と、「目が見えない」ことに乗ずること。

 1点目は、竹を斬ると刃こぼれするとぼやく林業職人の言葉を聞いて思いついた。封神を竹薮に誘い、ギロチンを竹に食い込ませ、ギロチンを歯抜け状態にしてしまう。

 この時点で封神はほとんど丸腰状態になってしまっているのだが、片腕ドラゴンはさらに封神を、かねて用意していた葬祭用具店に誘う。
 続いて2点目。目が見えない封神は、音を頼りに敵を探る。それを悪用する片腕ドラゴン。鳥を放って羽音で惑わす。息をひそめて天井にぶら下がり小石を投げて場所をごまかす。
 しかも、片腕ドラゴンは、この店を何日も前から買収してたくさんの仕掛けワナを用意していた。 

 片腕ドラゴンの投げる小石の音に惑わされた封神が場所を動くと、仕掛けワナから斧が飛んでくる。いくつもの刃物が身体に突き立つ。半死半生になったところでおもむろに姿を現す片腕ドラゴン。

 これまたかねて用意の棺おけに封神を叩き込んで、片腕ドラゴンのなぶり殺しはようやく終わりを告げたのであった。



(資料)
1975年 香港作品
監督:ジミー・ウォング
主演 片腕ドラゴン ジミー・ウォング
封神 カム・カン


★★★☆



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