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アジア映画れびゅう(3) 「レッドチェリー」、「大地無限」
 

(ご注意)かなりネタばれです。まだ観てなくてストーリーを知りたくない人は、お気をつけください。
 
また、記憶違いなども多いでしょうが、ご容赦ください。


「レッドチェリー」

 1940年、旧ソ連のイワノフ国際学院に中国人のルオとチュチュが入学した。
 しかし、平和な学園生活は1941年のドイツ軍侵攻で終わった。

 ドイツ兵が無理矢理生徒たちをバスケットボールに誘う。授業のため生徒を呼び寄せたヴェラ先生にその兵士は・・・

 チュチュと淡い淡い恋仲だったカールは、監視していた兵士の機関銃を奪い、チュチュらを馬に乗せて逃がす。徒歩で森の中を逃げるカールは・・・

 結局チュチュらは捕まり、絞首刑台の下で整列させられた。「子どもを殺したゴート人や匈奴は滅んだぞ」そう絶叫した老人は・・・

 列の中から引き出され、「誰か身代わりになる奴を指名しろ」と言われた少女は・・・

 ルオは、従軍しようとしたが幼すぎてかなわず、ストリートチルドレンや、郵便配達の仕事などで自活していく。
 盲目の老婆に戦地の息子からの手紙を創作し、朗読してやるシーンは哀しい。先日みた「山の郵便配達」という映画でも同様のシーンがあったが。
 また、ルオは、唯一の身寄りである母が死んだことも理解できないでいた幼い少女と出会い、彼女の「お父さん」になる。二人の生活は、「火垂るの墓」「禁じられた遊び」を連想させた。
 ドイツ兵への感情をコントロールできないでいたルオは、モスクワのドイツ兵収容所で・・・
レッドチェリー  アウシュビッツで、ユダヤ人に入れ墨した「皮」でつくった電気スタンドが残っていると聞いたことがある。ドイツの将校は、チュチュを生きたキャンバスにした。
 敗退したドイツ軍は、チュチュらを捕らえていた修道院を去る際、捕虜たちを殺した。しかし、「芸術作品」であったチュチュだけは、ドンゴロス(ジャガイモなどを入れる麻袋)に詰め込まれ、草原の真ん中で放り出された。

 終戦により保護されたキャンプ地で、チュチュは火のついた薪を自分の背中に押し当てる。歯をくいしばるチュチュの「声のない」叫びが、いつまでも耳に残る。

 チュチュは、数度の皮膚移植手術も成功せず、1950年に中国に帰国。63歳で死去するまで独身だったとのことである。
 実話であることがやりきれない。この映画はドイツ兵がソ連で・・・というものであったが、ソ連兵も満州で日本人に様々なことをしたと聞く。もちろん、日本人もそうであるし、中国人も「手が汚れていない」わけではない。
 私とて、子どもの身に何かあれば、いかようにも「残酷」になれようし・・・
 題名はレッドチェリーであるが、味わいはあくまで苦いものであった。

(資料)
1995年 中国作品
監督:イエ・イン(葉櫻)
主演:チェチェ(楚楚):クオ・カーユイ(郭柯宇)
    ルオ:シュイ・シャオリー
原題:紅櫻桃


「大地無限〜マスター・オブ・リアルカンフー〜」

 子どもの頃から、ともに少林寺拳法の修行を重ねてきたテンパオとクンパオ(リー・リンチェイ)。
 寺に入ったのはクンパオが先だが、年はテンパオが上。好戦的なテンパオが兄貴格で、クンパオはおっとりした優しい性格。

 拳法試合の際、ライバルやその師匠の卑怯な所業に怒ったテンパオが大暴れ、助けに入ったクンパオともども寺を追われることになった。
 町では、時の権力者宦官のリュウ閣下が暴威を振るっていた。
 権力志向のテンパオはリュウ閣下の配下となり、クンパオは、リュウの財宝を盗み貧乏人に与える義賊と行動を共にする。

 義賊らは表の顔として食堂を経営していた。ある日、テンパオが「官軍がお前らを逮捕しに、ここへ踏み込むぞ」とこっそり報せに来てくれた。
 逃げ遅れて殺された親方の仇を討とうといきり立つ義賊たちに、「軍事演習で長官の護衛が手薄になる日がある。他の反政府勢力とも協同して、その日を狙え」とアドバイスするテンパオ。
 しかし、テンパオの手引きで陣営深く進んだ彼らは、官軍に取り囲まれた。

 辛くも重囲を脱したクンパオは、捕われのチュウ(ミシェール・キング)を救いに、単身敵陣に乗り込んだ・・・

 実の兄弟のように育った二人が、「権力」という深い溝を間にはさんで対峙し合う。ストーリーを云々する映画ではないが、非常に陳腐なプロットである。敵役として、テンパオが少し役者不足かな、と感じる。

 また、テンパオが、女スリのおてんば娘を愛し(後に出世のため殺すが)、クンパオの方はミシェール・キングと淡い関係?になる。でもねえ、ミシェール・キングって恋人つうより、お姉さん、お母さんて感じがするんですよね。まあ、ラストでは、やや未練をのこした感じのチュウを残し、クンパオはあっさり走り去ってしまうのだが。  

 李連杰が、お得意のユーモラスな演技を随所で見せる。親友の裏切りで仲間を失ったショックにより腑抜け状態になるところも、珍しいシーン。
 そのピンチをリン道士とチュウの助けで乗り切ったクンパオは、自然の力に逆らわない拳法の極意を会得した。
 原題を見ると、この映画は太極拳の祖張三豊をモデルにしているらしい。円を基本とする流れるような所作は美しい。

(資料)
1993年香港作品
監督:ユエン・ウーピン(袁和平)
主演:クンパオ:リー・リンチェイ(李連杰)
    チュウ:ミシェール・キング(楊紫瓊)
    テンパオ:チン・シウホウ(銭小豪)
原題:太極張三豊  The Tai Chi Master  


   

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