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アジア映画れびゅう(29)「ファイナルファイター 鉄拳英雄」 
 

(ご注意)かなりネタばれです。まだ観てなくてストーリーを知りたくない人は、お気をつけください。
 
また、記憶違いなども多いでしょうが、ご容赦ください。


「ファイナルファイター 鉄拳英雄」

(ストーリー)

 日本軍に勝利したジェットは、戦場で自分を助けてくれたチョウ兄貴の家を訪ねた。
 チョウは、ジェットをかばった時に砲弾のかけらを腰に受け、体調が悪いうえに、故郷に帰ってくると娘が娼婦に身を落としていた。 
ファイナルファイター  町では、駐留軍の米兵たちがやりたい放題。米兵向けのバーでは、真ん中にボクシングのリングが据え付けられ、米兵たちは中国人男性を叩きのめし、中国人女性のセクシーダンスを眺めながら酌をさせる。

 チョウは人力車引きの仕事をしていたが、娘を連れた米兵ベイリーが客となり、その米兵に大怪我をさせられる。
 ジェットは、米兵たちの殴られ役、売血、人力車引きと身を粉にして、チョウのために金をかせぐ。

 ジェットは、バーのリングでハン大佐たちと大乱闘をし、危うく警察に逮捕されそうなところをバーで働いていたレイという女性に救われる。
 このレイがチョウの娘だった。ジェットは熱弁をふるって、チョウと娘のレイを和解させる。

 仲直りの宴会のため、酒を買いに出たレイをベイリーたちがさらって行った。助けに駆けつけるジェットとチョウ。
 しかし、ジェットはハン大佐と出くわしてしまい、「この前のカタをつけよう」と戦いを挑まれ、進むことができない。
 陸橋の上で、レイの服に手をかけ、乱暴しようとするベイリーたち。助けようと、棒で殴りかかったチョウだが、激昂したベイリーに下の地面に投げ落とされ、絶命する。それを見たレイは、父を失った悲しみと、操を守るため、橋の上から身を投げる。
 ようやくたどり着いたジェットが目にしたのは、血を流して動かなくなった二人。騒ぎを聞きつけた警察に米兵とジェットは逮捕されたが、米兵たちは早々に釈放される。
 「人殺しを釈放するのか。お前等はそれでも警察のはしくれか!」ジェットの悲痛な叫びが留置場の廊下に空しく響く。

 真夜中の独房。鉄格子に水で濡らした布を巻きつけ、渾身の力でねじり上げているジェットの姿があった。鉄の棒が、だんだんたわんでいく。脱獄に成功したジェットの壮絶な復讐劇が始まった・・・・・
 
(あれこれ)

 冒頭、日の丸を描いた戦車が砲弾をぶっ放し、ジェットは日本軍に機関銃を連射する。
 砲撃を受け、危ういところをチョウが身を投げ出し、ジェットをかばってくれた。その時、チョウは破片を受け、うめき声をあげる。ジェットは、手投げ弾を日本軍に投げつける。はじける爆煙・・・それが爆竹の煙と代わり、戦争の勝利を祝う爆竹や獅子舞のシーンにチェンジするところは、監督李連杰もご自慢のシーンなのではないだろうか。(その前の戦闘シーンはせこくて、かったるいが)

 本作のジェットは、どうもホモっぽい。兄貴と慕い、命の恩人でもあるチョウなのだが、再会シーンじゃ抱き合ってぐるぐる回るし、チョウの家で酒を飲んで泊まるシーンでは、さっとベッドに飛び込んで、「さあ、一緒に寝よう!」って誘うし、電気を消した後、二人で連れションをして、「兄貴のが足にかかったよ」とか言うし、ベッドに戻って「こら、体に触るな」「腰を揉んでやるだけだよ」とか言ってるし。

 別の意味の「兄貴」なんじゃないだろうか。 

  サービスシーンも多い。初監督作ということで、客受けを狙ったのか。チョウの家を初めて訪れた時、階下の娼家に入ってしまう。入ってきた若い娼婦が、さっさと服を脱いで胸を見せたりする。
 また、ジェットもよく裸になる。この映画以降、「李連杰は脱がない」そうだ。
 脱ぐといえば、バーで大立ち回りをして気を失ったジェットをレイさんがおんぶをして、家に連れて帰り、ベッドに寝かせる。で、純粋に治療のためだと思うのだが、上着を脱がせ、体を拭いてやる。で、意を決したように、ジェットのパンツをずずっと引きおろしていく。その時のレイさんの、じっと一点を見つめている視線が、どうも気になる。
 レイはチョウに「ジェットが怪我をしたの。うちで寝てるわ」と伝え、チョウがかけつける。で、ジェットにかかった毛布をはいで、ぎょっ!となる。ずっとスッポンポンのままだったようだ。
 そして「なによ!この泥棒猫!」と言って(←言わへん、言わへん)レイを殴りつける。

 おしっこシーンが多い。バーでの中国人・米兵の乱闘シーンで、中国人が「ビールを食らえ」と米兵の顔に・・・てのがあったし、ジェットが兄貴と兄貴の娘を殺されたというのにどさくさ紛れに逮捕され、中国人の警官たちに棒で拷問され、床に倒れたところに顔めがけて・・・・というシーンまであった。なぜ、いきなりそんなことまでされなければならないのかわからない。そうそう、兄貴の部屋でも足へ・・・てのがあったし。
 売血で、血管にぶすっ!とぶっとい注射針を刺し込んで実際に血を抜くシーンもえぐかったなあ。それもえんえんと繰り返すし。

 一応現代もの(戦後もの)ということで、純粋な武道シーンはない。
 バーのリングでは、ボクシングを初めてやることになったので仕方ないのだが、最初やられていて、蹴りで反撃する。
「蹴りは反則だ」と、レフェリー役の店の主人サム(中国人)。「わかった」
 次のピンチには肘うち!
「肘も反則だ」「何故だ?」 (←まあ、そういうもんだし)
 しばらく殴られていたかと思うと、コーナーに追いつめ、頭突き!投げ技!
「投げも頭突きも反則だ」「全部、だめじゃないか!」
 バーリ・トゥード(何でもあり)ルールだったら、よかったのにね。

 ハン大佐とのバーでの決戦では、雨漏りでつるつる滑るリングに苦戦。左フックでリング下にぶっ飛ばされ、そのまま抱え上げられて、窓(ガラスはまったまま)から外に放り出された。ま、ハンの勝ちだな。外から戻ったジェットは、椅子で殴る。ハンは机を振り下ろす。ジェットは棒で・・・と、やっぱバーリ・トゥード。(←バーリでも、武器はだめです)
 
 真夜中の工場に米兵を誘い込んでの復讐シーンもバーリ・トゥード。ベイリーを縛り上げ、ベルトコンベヤの上に乗せる。レバーを引く。動き出すコンベヤ。「やめろ、やめてくれ〜!!」コンベヤの先は燃え盛る溶鉱炉・・・・・

 最後は、ハン大佐との決戦。しかし、何でジェットはオレンジ色の上着、オーバーオールのジーンズ、首には雑巾みたいなタオルを巻いて、軍手姿なのか。この工場の各種設備に熟知するため、実際、昼間はそういう格好で勤務しているのか?
 ハンは黒沢年男みたいな黒の毛糸帽かぶってるし。(←これは、はっきり言ってハゲ隠し。大佐は、リングでの決戦の時も、軍服の制帽かぶってるうちはシブかったが、脱ぐとハゲていた)

 ジェットは、スコップを使って殴るし(話変わりますが、工事現場の飯場でスコップ使ってケンカする時は、刃の部分を縦に使って突くのがコツらしいですね。いや、水平に突くと、ちょうど肋骨の間に入って肺を破って殺しちゃうことが多くなるので、その用心のためらしいっす)、床に落ちてた鎖をぶん回してハンを殴りまくる。
 ハンは、柄の長いハンマーを振り回して反撃。それを、ジェットは、ばかでかいレンチ(スパナ)を二刀流よろしく両手に持って、渡り合う。なんか、オーバーオール姿が、下にやたら着込んでるみたいにぶくっとしてるし、両手にジャンボスパナ持ってる姿が実にマヌケである。
 堂本剛が歯をくいしばってるような顔でがんばってたジェットだが、反撃を受け、眼がふさがってしまうほど腫れあがってくる。しかし、何とか盛り返し、床を後ずさりするハンに、長い柄のマサカリをふりかざす。そして、振り下ろした瞬間、工場のバルブのシルエットに代わる。バルブが掻っ切られて、ぴ〜っ!!と蒸気が噴出する。
 頚動脈から噴き出す血しぶきを表現しているのか・・・と思っていたら、ハンは、まだ眼をパチクリしている。どうやら、とどめはささなかったようだ。殺すのは、直接の下手人ベイリーにとどめておいたらしい。
 夜霧の中へさまよい出たジェットの後ろ姿で映画は終わる。う〜ん、監督李連杰は、ずっと何か誤解をしているような気がするいいと思って、やってるんやろうけど。   
 
(資料)
1988年香港作品
監督:ジェット・リー(李連杰)
主演:ジェット・リー(李連杰)、カート・ロナルド・ピ−ターソン
  
原題:中華英雄 Born To Defence

★★



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