移動メニューにジャンプ
アジア映画れびゅう(13) 「つきせぬ想い」
(ご注意)かなりネタばれです。まだ観てなくてストーリーを知りたくない人は、お気をつけください。
また、記憶違いなども多いでしょうが、ご容赦ください。
「つきせぬ想い」
(ストーリー)
サックス奏者で売れない作曲家のキッドは、恋人の人気歌手トレーシーと喧嘩別れして、下町の安アパートで暮らすことになった。
ふとしたきっかけで、隣家に住む場末の広東オペラ一座の娘ミンとつきあうようになる。
万事積極的で行動力のあるミンを最初は迷惑がっていたキッドだが、次第にその明るさに惹かれていく。
捨て鉢になっていた作曲活動にも再び力を入れ始め、ミンの母親にも正式に交際を申し入れ、幸福な日々を送っていた二人。
しかし、ミンは以前骨髄ガンで死の淵に立たされ、ようやく克服したと思われていたのだが、病魔はひそかに再発しミンの身体を蝕んでいたのだった・・・・・
(あれこれ)
香港版「愛と死を見つめて」(←古いね)というか、「ある愛の詩」(←やっぱ、古いね)。
アニタ・ユンがかわいい。
キッドのことを「ヒゲ剃ったわね!」と笑う時など、長い手をばしばし叩き合わせて、下から突き上げるように指差して弾けるように笑う。
初デート(途中までリンも一緒だったが)でいきなり、キッドの勤める店(バーで演奏のバイトをしていた)に押しかけ、その後も屋台街などで夜明け近くまで引っ張りまわし、翌朝は翌朝で、早くから部屋のブザーを鳴らす。
翌日からも毎朝早くからキッドを起こし、閉口したキッドが玄関を閉めていると、ベランダから忍び込み、壁越しに缶ビールをぶつけて起こす。
まるで、いたずら小僧だ。
男女の感情にはなかなかならないのか、と思っていると、ある日、トレーシーを見かけ姿を隠そうとするキッドに、私達のことを見下してるの、恥ずかしいのとかみつく。
キッドが、あやまりながらも「そんなに怒るのは、焼きもちか」とからかうと、
「そうよ。悪い?」 |
|
つまり、ミンの方から告白したのでした。(その晩、二人は結ばれる。それも、いつものようにアパートの前でいったん別れるのだけれど、ミンが追いかけてくるのだ。いいねえ、キッド)
かわゆいシーンでいくと、上の写真はスター歌手を目指すミンがスタジオで歌を収録するところ(海賊版テープの吹き込み歌手もしている)だが、合間でラウにぺろっと舌を出すシーン。それと、初めてスカートをはいてデートをした時、キッドに花を贈られ、微笑むシーン。それが双璧だと思う。
|
さて、ラウ・チンワンは濃い顔とよく言われるが、ほんと濃い。
髪や肌もいかにも脂ギッシュだし。
体全体もぼてっとして、よく脂がのってる感じだし。
特に前半の、人生全てにやる気をなくしてる頃は、目もはれぼったく半開き。 しかし、だんだん人生に対して積極的に心を開いていくのに比例して、目も開いて?いくのである。 |
カリーナ・ラウは、「君さえいれば」によく似た役どころ。才能はあるが気丈で、「かわいい女」にはなかなかなれない。
フォン・ボーボーは往年の名子役であるそうだ。今もすごくきれいなので、若い頃はどれほどかわいかったのだろうと思わせる。
せんだみつおと荒井注と三遊亭小遊三を混ぜたような顔のチョン・プイは、身を持ち崩したジャズ奏者を渋く演じている。監督の実兄だそうだ。
ストーリー自体は、ありがちのお涙ちょうだいモノなのだが、脇役のフォローと、何よりアニタ・ユンの好演(とにかく、前半ですごく明るく魅力的なだけに、再発がわかって荒れるシーンや、すべて受け入れ、達観したような最後の方の病室シーンが対比の妙を見せる)で、見ごたえのある作品になっている。
(資料)
1993年香港作品
監督:イー・トンシン(爾冬陞)
主演:ミン→アニタ・ユン(袁詠儀)、キッド→ラウ・チンワン(劉雲)、
トレーシー→カリーナ・ラウ(劉嘉玲)、ミンの母→フォン・ボーボー(馮寶寶) ミンの叔父→チョン・プイ(秦沛)、リン→ン・ガーライ(呉家麗)、
女医→シルヴィア・チャン(張艾嘉)
原題:新不了情 C'EST LA VIE, MON CHERI
★★★
|