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(No9) 仏像鑑賞のご案内その9 阿弥陀如来その1 望月信成・佐和隆研・梅原猛共著の『仏像 心とかたち』(NHKブックス)では、古来日本人が仏像を鑑賞するにあたっては、いわば仏像を対象に自らの抒情詩を語る方法と、専ら様式に拘泥する二つの方法があったとしている。
私が目指すのは、後者、すなわち様式論に限定するものである。
(1) 阿弥陀如来の意味
無量寿如来:サンスクリット語で「アミターユス」。無量光如来:「アミターバ」。「アミタ」とは無量。どこまでも広がっていくこと。
その音を漢字にうつして「阿弥陀」という。
われわれの住む娑婆世界のはるか西方の極楽浄土にいて、どんな極悪非道な人間でも阿弥陀如来の名をとなえ、拝めば必ず極楽往生できるといわれている。
『大無量寿経』には、53番目の如来、世自在王如来が出現したとき、インドのある王が出家し(法名は法蔵)、厳しい修行の末悟りをひらいて阿弥陀如来になったとあるそうだ。
(2) 阿弥陀如来の形
種別 |
名称 |
特徴 |
持物 |
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衣 |
偏袒右肩 |
偏袒右肩が多い。平等院鳳凰堂阿弥陀如来など。
通肩のものもある。高徳院(鎌倉の大仏) |
姿勢 |
立像・坐像 |
坐像が多い。 |
印相 |
来迎印 |
施無畏・与願印 |
法隆寺橘夫人念侍仏など。天平時代など比較的古いものに多い。 |
説法印 |
法隆寺金堂壁画など。天平時代など比較的古いものに多い。 |
定印 |
平安時代から鎌倉時代のものに多い。 |
来迎印 |
慰安印ともいう。施無畏・与願印に似るが、親指と人差し指を結んで輪をつくる。 |
九品来迎印 |
平安時代中期以降の九品往生(くぼんおうじょう)という考え方にあわせたもの。 |
(3) 阿弥陀如来の脇侍
阿弥陀如来も脇侍として二体の菩薩を従え、三尊像(さんぞんぞう)につくられることが多い。
脇侍 |
説明 |
観音菩薩 |
『観無量寿経』による。
「左観音、右勢至」と呼ばれ、阿弥陀の左(向かって右)に置かれる。
頭上の宝冠に化仏(小さな阿弥陀如来)がつく。
聖観音が多いが、十一面観音の場合もある。 |
勢至菩薩 |
阿弥陀の右(向かって左)に置かれる。
頭上の宝冠に水瓶(すいびょう)がつく。 |
(4) 阿弥陀如来の眷属
眷属(けんぞく。仏・菩薩に仕えて仏教を守護する者)
参考文献(基本的に略称の50音順)
『案内』→『仏像案内』(編:佐和隆研。吉川弘文館)
『イコノ』→『仏像 イコノグラフィ』(岩波書店)
『鑑賞』→『仏像鑑賞の基本』(著:久野健。里文出版)
『興福寺』→図録『興福寺国宝展』
『弘法』→図録『弘法大師と密教美術』
『最澄』→図録『最澄と天台の国宝』
『釈尊』→図録『ブッダ釈尊』
『日本』→『日本美術史』(美術出版社)
『入門』→『仏教美術入門』(著:佐和隆研。現代教養文庫)
『秘仏』→『日本の秘仏』(平凡社)
『百態』→『仏像百態』(著:渡辺照宏。淡交新社)
『平泉』→『平泉 鎌倉』(太陽仏像仏画シリーズIII 平凡社)
『仏像』→『仏像』(著:久野健。学生社)
『仏像 心』→『仏像 心とかたち』(著:梅原猛ほか。NHKブックス)
『続 仏像』→『続 仏像 心とかたち』(同上)
『ぶつぞう』→『ぶつぞう入門』(作:柴門ふみ。文春文庫)
『ブッダ』→図録『ブッダ展』
『密教』→『日本密教』(著:佐和隆研。NHKブックス)
『わかる』→『仏像がよくわかる本』(著:瓜生中。PHP文庫)
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