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(No8) 仏像鑑賞のご案内その8 釈迦如来その3 その他の釈迦  

 望月信成・佐和隆研・梅原猛共著の『仏像 心とかたち』(NHKブックス)では、古来日本人が仏像を鑑賞するにあたっては、いわば仏像を対象に自らの抒情詩を語る方法と、専ら様式に拘泥する二つの方法があったとしている。
 私が目指すのは、後者、すなわち様式論に限定するものである。





(1)  法華経にちなむ釈迦如来像

 
『法華経』第十一章の「見宝塔品」(けんほうとうぼん)に由来する。

 釈迦如来と多宝如来が並んでいるもの。

 両者は同形に作られているので判別は困難だが、判別の手がかりは下記。
印相が異なる場合 説法印が釈迦で、定印が多宝。
衣が異なる場合 通肩が多宝で、偏袒右肩が釈迦。多宝が先輩なので、釈迦が敬意を表して偏袒右肩とする。

 



(2) 清涼寺式釈迦如来像

 釈迦が悟りをひらいた後、亡き母をしたって天上界にのぼったことがあった。釈迦の姿を見ることができなくなったことを悲しんだインドの優填(ウダヤナ)王が香木で釈迦の似姿を刻んだのが仏像の起源であるという伝説がある。仏画ゼミ(30)参照。

 玄奘三蔵は、優填王思慕像を模刻して中国に持ち帰ったとされており、さらに、その模刻品を平安時代に入唐した東大寺の「然(ちょうねん)が模刻して持ち帰り、京都嵯峨の清涼寺に安置し信仰をあつめた。

 「やや彫りの深い顔立ちや縄状の毛髪など、日本の他の仏像にはない異国風の特徴がみえる。
 また、通肩にした衣は美しい波紋を描き、マトゥラ仏の様式をとどめている」。(『わかる』P82)


 

 


 
 整備中ですが、データベースは下から↓
如来部 菩薩部 明王部 天部 垂迹部

参考文献(基本的に略称の50音順)
『案内』→『仏像案内』(編:佐和隆研。吉川弘文館)
『イコノ』→『仏像 イコノグラフィ』(岩波書店)
『鑑賞』→『仏像鑑賞の基本』(著:久野健。里文出版)
『興福寺』→図録『興福寺国宝展』
『弘法』→図録『弘法大師と密教美術』
『最澄』→図録『最澄と天台の国宝』
『釈尊』→図録『ブッダ釈尊』
『日本』→『日本美術史』(美術出版社)
『入門』→『仏教美術入門』(著:佐和隆研。現代教養文庫)
『秘仏』→『日本の秘仏』(平凡社)
『百態』→『仏像百態』(著:渡辺照宏。淡交新社)
『平泉』→『平泉 鎌倉』(太陽仏像仏画シリーズIII 平凡社)
『仏像』→『仏像』(著:久野健。学生社)
『仏像 心』→『仏像 心とかたち』(著:梅原猛ほか。NHKブックス)
『続 仏像』→『続 仏像 心とかたち』(同上)
『ぶつぞう』→『ぶつぞう入門』(作:柴門ふみ。文春文庫)
『ブッダ』→図録『ブッダ展』
『密教』→『日本密教』(著:佐和隆研。NHKブックス)
『わかる』→『仏像がよくわかる本』(著:瓜生中。PHP文庫)


  

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