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(No30) 仏像鑑賞のご案内その30 虚空蔵菩薩   

 望月信成・佐和隆研・梅原猛共著の『仏像 心とかたち』(NHKブックス)では、古来日本人が仏像を鑑賞するにあたっては、いわば仏像を対象に自らの抒情詩を語る方法と、専ら様式に拘泥する二つの方法があったとしている。
 私が目指すのは、後者、すなわち様式論に限定するものである。

 ところで、「こくうぞうぼさつ」というと、「ピンクパンサー」の「くるーぞーけいぶ」を連想するのは私だけだろうか。




(1)  虚空蔵菩薩の意味

 サンスクリット語で「アーカーシャ・ガルバ」。「アーカーシャ」は「虚空)」、「ガルバ」は「母胎」という意味で、これを漢訳して「蔵」という。

 偉大な記憶力を授けてくれる菩薩として信仰を集め、虚空蔵菩薩を本尊とする「虚空蔵菩薩求聞持法」(こくうぞうぼさつぐもんじほう)という修法が盛んに行われた。



(2) 虚空蔵菩薩のすがた

名称 顔・手足・印相 持物・装飾品 台座・姿勢 その他
一般的な形        
密教における例(1):胎蔵界 虚空蔵院 体色は肉色。 五仏冠をかぶる。
右手→曲げて宝剣を持つ。
左手→如意宝珠を載せた蓮華を持ち、腰に当てる。
蓮華座に座る。 虚空蔵院の主尊。
密教における例(2):胎蔵界 釈迦院   右手→掌を立て第二、第三指を曲げて白払(ほっす)を握る。
左手→拳をへそ前に置き、緑珠が載った蓮華を持つ。
   
密教における例(3):金剛界 体色は白肉色。
左手は拳を腰に当てる。
右手に宝珠のついた蓮華を持つ。    
聖徳太子関係   五智宝冠をかぶる。   奈良法隆寺
救聞持法本尊 体色は金色。
右手は与願印。
五仏が結跏趺坐した宝冠をかぶる。
左手は如意宝珠がついた白蓮華を持つ。
蓮台の上で結跏趺坐。 奈良額安寺
五大虚空蔵菩薩 法界虚空蔵菩薩(ほっかい):中央
体色:白。
本仏は大日如来。
右手→宝珠 獅子座 京都
神護寺

京都
教王護国寺

※ 彫刻の場合、向かって左から金剛、業用、法界、蓮華、宝光の順に一列に並べる。

金剛虚空蔵菩薩:東方(下の円)。
体色:黄金。
本仏は阿閦如来。
法金剛。 象座
宝光虚空蔵菩薩:南方(右側の円)。
体色:青色。
本仏は宝生如来。
右手→三弁宝。 馬座
蓮華虚空蔵菩薩:西方(上の円)。
体色:赤色。
本仏は阿弥陀如来。
右手→大紅蓮華(だいぐれんげ) 孔雀座
業用虚空蔵菩薩(ごうよう):北方(左側の円)。
体色:黒紫色。
本仏は不空成就如来。
右手→十字金剛 伽楼羅座

 



 整備中ですが、データベースは下から↓
如来部 菩薩部 明王部 天部 垂迹部


  

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