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(No28) 仏像鑑賞のご案内その28 文殊菩薩 望月信成・佐和隆研・梅原猛共著の『仏像 心とかたち』(NHKブックス)では、古来日本人が仏像を鑑賞するにあたっては、いわば仏像を対象に自らの抒情詩を語る方法と、専ら様式に拘泥する二つの方法があったとしている。
私が目指すのは、後者、すなわち様式論に限定するものである。
(1) 文殊菩薩の意味
サンスクリット語で「マンジュシュリー」。音写して「文殊師利」又は「曼殊室利」などという。
漢訳で「妙首」、「敬首」、「妙吉祥」ともいう。
普賢菩薩とともに釈迦の脇侍として仕え、釈迦如来の左側にいる。
『文殊師利般(はつ)涅槃経』によれば、文殊は舎衛国のバラモンの家に生まれ、仏滅後雪山(せつせん。ヒマラヤ)で500人の仙人に説法し、舎衛国の尼拘楼陀(ニグローダ。バンヤンの木)の下で悟りをひらいた。
弥勒は現在清涼山で説法しているとされる。
(2) 文殊菩薩のすがた
名称 |
顔・手足・印相 |
持物・装飾品 |
台座・姿勢 |
その他 |
一般的な形 |
まげが一、五、六、八などのものがある。 |
右手に剣、左手に経巻を持つ例が一般的。 |
法隆寺釈迦三尊像(飛鳥時代)→方座。獅子座(平安時代中頃以降一般化)。
孔雀座の例もあり。 |
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密教における例 |
陀羅尼(御利益を約束する一種の呪文)の字数とまげの数が一致。
一文字文殊又は一髻(いっけい)文殊などと呼ぶ。 |
右手に梵篋(ぼんきょう。多羅樹の葉に経文を刻んだもの)、左手に金剛杵を持つ。 |
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童形文殊(どうぎょう) |
子供のすがた |
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僧形文殊(そうぎょう) |
修行僧の最長老にみたてる。 |
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文殊信仰をもたらした天台宗の円仁にならい、天台宗で多く安置される。 |
渡海文殊(とかい) |
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青獅子の上の蓮台に(半)結跏趺坐。 |
眷属を連れ、海原を渡る。
京都醍醐寺光台院、奈良西大寺 |
(3) 文殊菩薩の眷属
渡海文殊 |
曼荼羅での眷属 |
参考:不動明王の八大童子 |
優填王(うでんのう):獅子の手綱 |
請召童子(しょうじょうどうじ) |
矜羯羅童子(こんがら) |
善財童子:合掌して先導 |
計設尼童子(けしに) |
制咤迦童子(せいたか) |
仏陀波利三蔵(ぶっだはりさんぞう):右手に錫杖 |
地慧童子(ちえ) |
慧光童子(えこう) |
老人:仙人の杖 |
救護慧童子(くごえ) |
慧喜童子(えき) |
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烏波計設尼童子(うばけしに) |
阿耨達童子(あのくた) |
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光網童子(こうもう) |
指徳童子(しとく) |
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無垢光童子(むくこう) |
烏倶婆迦童子(うぐばか) |
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不思議慧童子(ふしぎえ) |
清浄比丘童子(しょうじょうびく) |
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