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(No27) 仏像鑑賞のご案内その27 弥勒菩薩 望月信成・佐和隆研・梅原猛共著の『仏像 心とかたち』(NHKブックス)では、古来日本人が仏像を鑑賞するにあたっては、いわば仏像を対象に自らの抒情詩を語る方法と、専ら様式に拘泥する二つの方法があったとしている。
私が目指すのは、後者、すなわち様式論に限定するものである。
(1) 弥勒菩薩の意味
サンスクリット語で「マイトレーヤ」。「友情」や「慈悲」に由来し、「慈悲から生まれたもの」、「慈しみの人」という意味。「慈氏」と呼ぶこともある。
弥勒は「マイトレーヤ」の音写。
『弥勒上生経』によれば、弥勒はバラモンの家に生まれた。釈迦は彼が将来必ず悟りをひらくと約束したので、仏嗣弥勒(ぶっしみろく。仏嗣とは仏の後継者の意味)と呼ばれることもある。
弥勒は現在兜率天(とそつてん)という場所で下生の時期を待っているとされる。
『弥勒下生成仏経』によると、弥勒菩薩は仏滅から56億7000万年後に、修梵摩(しゅうぼんま)という大臣と梵摩越(ぼんまおつ)という妻の間に生まれ、龍華樹(りゅうげじゅ)の下で悟りをひらく。
将来必ず仏となることが約束されているので、「未来仏」、「当来仏」とも呼ばれ、現在は菩薩であるが「弥勒如来」、「弥勒仏」と呼ばれることもある。
(2) 弥勒菩薩のすがた
名称 |
顔・手足・印相 |
持物・装飾品 |
台座・姿勢 |
その他 |
思惟像 |
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半跏思惟 |
京都広隆寺
古い時代(奈良以前)に多い。 |
菩薩形 |
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小さな仏塔をもつ。 |
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鎌倉時代に多い。 |
仏(如来)形 |
与願印・施無畏印 |
如来と同じく装飾品をつけない。 |
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奈良興福寺
釈迦如来との判別は困難。 |
両界曼荼羅 |
胎蔵界:左手→掌を立てて外側に向け施無畏印の形 |
胎蔵界:右手→握って腰に当て、水瓶の載った蓮華を持つ。 |
蓮華座に座る |
多臂形もあり。 |
金剛界:左手→腰 |
金剛界:右手→水瓶を持つ |
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※ 末法思想 → 経塚
※ 中国では、布袋(ほてい)を弥勒菩薩の化身とみる。
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