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(No2) 仏像鑑賞のご案内(2) 仏像の基本知識  

 大阪市立美術館の「興福寺国宝展」を観て、あらためて仏像に興味を持った。
 しかし、私は如来と菩薩がどう違うのやら、どう見分けるのやらさっぱり分からない。
 そこで『仏像がよくわかる本』(著:瓜生中。PHP文庫)を買った。文庫本ながら、なかなか詳しい本なので、その内容を整理して、仏像鑑賞の参考にしてみたいと思った。

 では、仏像の基礎知識の「その2」。



第6 仏像の持ち物

 
持物(じぶつ)の名称 持物の内容 誰が持つか
蓮華(れんげ) 蓮の花。つぼみのもの、半開のもの、満開のものなど。 観音菩薩
錫杖(しゃくじょう) 先に輪のついた杖 地蔵菩薩
如意宝珠(にょいほうじゅ)   地蔵菩薩
如意輪観音
法輪(ほうりん) 釈迦の教えの象徴  
水瓶(すいびょう) 水を入れる容器。如意瓶、軍持(ぐんじ)とも 梵天
千手観音
金剛杵(こんごうしょ) 古代インドの武器をかたどったもの。金剛石(ダイヤモンド)のように硬くて、どんなに強い煩悩でも滅することができる象徴。
両端が槍のようになった独鈷杵(どっこしょ)、3本に分かれた三鈷杵、5本の五鈷杵などがあり、密教法具として重要
 
羂索(けんじゃく) 古代インドの鎖鎌のような武器で、煩悩を縛るためのもの 不空羂索観音
薬壷(やっこ)   薬師如来
数珠(じゅず)   諸仏
楽器(がっき)   諸天




第7 仏像の衣

名称 概説 詳細説明
三依(さんね) 仏教の衣の基本  初期の修行僧が着ていたもので、現在でもタイやスリランカの僧侶は着用している。
 一枚は下半身を覆う小さな布。もう一つは胸までを覆う中くらいの布。最後に大きな布を肩からかぶる。
  通肩(つうけん)  大きな肩で両肩を覆うもの。
  偏袒右肩(へんたんうけん)  右肩だけを脱いだもの。偏袒右肩は釈迦や師、目上の人に対するときの着用法。
菩薩の衣 下半身のみ  両肩を覆うもの。奈良・中宮寺弥勒菩薩像など。
  天衣  観音菩薩など。
  僧侶の着物  地蔵菩薩に特有。



第8 仏像の装身具

 
基本的に如来は釈迦が出家して悟りをひらいたあとの姿がモデルなので、大日如来を除いては装身具をつけない。
 逆に菩薩は釈迦が出家する前の貴族時代の姿がモデルなので様々な装身具を身につけている。
名称 内容
宝冠 大日如来  五仏冠(五体の小さな仏が並ぶ)
観音菩薩  化仏(シンボルの小さな仏)がつく
勢至菩薩  水瓶がつく
弥勒菩薩  五輪塔がつく
虚空蔵菩薩  三十五仏がつく
瓔珞(ようらく)  ネックレス(首飾り)
その他  耳輪、腕輪(上腕部につける臂釧:ひせん、ブレスレットのような腕釧)など




第9 仏像の光背

 いわゆる「後光」を造形的にあらわしたもの
大分類 中分類 説明
挙身光 蓮弁型挙身光  仏像の全身から放たれる光を表現したもので、全身を背後から覆うように作られる。
 舟を立てかけたような形をしているので舟形(ふながた)光背などと呼ばれることもある。
飛天光  周囲や表面に飛び交う天女を刻んだ光背
千仏光  小さな仏を一面にあらわした光背
火焔光  明王の背後にある燃え盛る火炎をかたどった光背。八部衆のひとり伽楼羅(かるら)が羽を広げた形に似ていることから伽楼羅焔とも呼ばれる。
その他  
頭光(ずこう) 宝珠光  如意宝珠をかたどったもの。円形の上部が尖った桃の実のような形をしている。
円光  1枚の円形の板であらわした光背
輪光  円形の輪であらわした光背
筋光  細い線(棒)で放射状の光を表現した光背で、傘の骨を広げた形に似ることから傘御光とも呼ばれる。
その他  
特殊な光背 蓮華光  奈良法華寺十一面観音にみられる、蓮華のつぼみ(未開敷蓮華:みかいふれんげ)や花が開いた蓮華(開敷蓮華)を菩薩の背後に放射状に挿した光背
壬生光(みぶこう)  京都壬生寺地蔵菩薩にみられる、身光の部分を椅子の背もたれのような形につくり、その上に二重の円光をつけ、その中心から五方に幾筋かの筋光をあらわしたもの
その他  

 





第10 仏像の台座


名称 説明
金剛座  金剛石(ダイヤモンド)でできた台座ではない。釈迦の座った場所を、金剛石のような堅い決意で悟りを達成したことから金剛座、金剛宝座という。
 同様に、釈迦を最も偉大な存在として百獣の王獅子にたとえて、獅子座とも呼ぶ。
 こうした名称は釈迦の座った場所を象徴的に示すものである。初期の仏教美術(仏伝図)では、釈迦の姿を直接表現することはせず、空白であらわしたり、上に傘蓋(さんがい)を差しかけた単なる四角い場所(方座)で表現した。
方座  単なる方形の板による台座
蓮華座(れんげざ)  蓮の花の形をした台座。奈良東大寺の大仏の台座が基本とされ、大仏座と呼ばれることもある。
 花弁の数によって、三重・五重・七重など多くの種類に分かれる。
踏み割り蓮華座  両足がそれぞれ別の蓮華座に立つ。
荷葉座(かようざ)  蓮の葉を伏せた形の台座
岩座  岩をかたどった台座
瑟瑟座(しつしつざ)  岩座を形式化して、角材を井桁状に組んだ台座
洲浜座(すはまざ)  波打ち際の岩を表現した台座
雲座  雲をかたどった台座。たなびく雲の上に蓮華を乗せたものが多い。
須弥座(しゅみざ)  仏教の世界の中心にそびえる須弥山(しゅみせん)をかたどった台座。台座の総称として用いられることもある。
宣字座  鬼子母神などの台座。正面からみた形が「宣」の字に似ている。古代インドの王の座を模したともいわれる。
毛氈座(もうせんざ)  毛氈をかたどった台座。遺品は少ない。
鳥獣座 普賢菩薩
獅子 文殊菩薩
孔雀 孔雀明王
水牛 大威徳明王
   
その他  




 
 整備中ですが、データベースは下から↓
如来部 菩薩部 明王部 天部 垂迹部

 
  

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