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(No19) 仏像鑑賞のご案内その19 聖観音菩薩   

 望月信成・佐和隆研・梅原猛共著の『仏像 心とかたち』(NHKブックス)では、古来日本人が仏像を鑑賞するにあたっては、いわば仏像を対象に自らの抒情詩を語る方法と、専ら様式に拘泥する二つの方法があったとしている。
 私が目指すのは、後者、すなわち様式論に限定するものである。





(1)  聖観音菩薩の意味

 
聖観音菩薩(しょうかんのんぼさつ):サンスクリット語で「アーリア・アヴァローキテーシュヴァラ」。

 「アーリア」とは、「聖」、「聖者」の意味。

 観音菩薩の基本形という意味で「正観音」ということもある。

 



(2) 聖観音菩薩のすがた

 
  顔・手足・印相 持物・装飾品 台座・姿勢 その他
顕教の観音菩薩  一面二臂像が一般的  右手に蓮の花、左手に水瓶を持つものが多い。
 阿弥陀如来の化仏がついた宝冠をかぶる。
 化仏は観音菩薩のシンボルで、准提(じゅんてい)菩薩を除く観音すべてにつけられる。
蓮華の台座に乗った立像が多い。  
密教の観音菩薩(胎蔵界曼荼羅)  右手に開敷蓮華(かいふれんげ。花が開いた蓮)をもち、胸の前に置く。
 左手は胸の前で掌を立てて外側に向け、小指を少し開く。
 右手に開敷蓮華(かいふれんげ。花が開いた蓮)をもち、胸の前に置く。
 化仏をおいた宝冠をかぶる。
蓮華座に結跏趺坐する。  中台八葉院の北西隅(左上)に描かれる。
 蓮華部院、釈迦院、文殊院にも描かれる。
密教の観音菩薩(金剛界曼荼羅) ほぼ同上 ほぼ同上 ほぼ同上 成身会(じょうじんね)に描かれる。

 




 
 整備中ですが、データベースは下から↓
如来部 菩薩部 明王部 天部 垂迹部

参考文献(基本的に略称の50音順)
『案内』→『仏像案内』(編:佐和隆研。吉川弘文館)
『イコノ』→『仏像 イコノグラフィ』(岩波書店)
『鑑賞』→『仏像鑑賞の基本』(著:久野健。里文出版)
『興福寺』→図録『興福寺国宝展』
『弘法』→図録『弘法大師と密教美術』
『最澄』→図録『最澄と天台の国宝』
『釈尊』→図録『ブッダ釈尊』
『日本』→『日本美術史』(美術出版社)
『入門』→『仏教美術入門』(著:佐和隆研。現代教養文庫)
『秘仏』→『日本の秘仏』(平凡社)
『百態』→『仏像百態』(著:渡辺照宏。淡交新社)
『平泉』→『平泉 鎌倉』(太陽仏像仏画シリーズIII 平凡社)
『仏像』→『仏像』(著:久野健。学生社)
『仏像 心』→『仏像 心とかたち』(著:梅原猛ほか。NHKブックス)
『続 仏像』→『続 仏像 心とかたち』(同上)
『ぶつぞう』→『ぶつぞう入門』(作:柴門ふみ。文春文庫)
『ブッダ』→図録『ブッダ展』
『密教』→『日本密教』(著:佐和隆研。NHKブックス)
『わかる』→『仏像がよくわかる本』(著:瓜生中。PHP文庫)
参考文献 『鑑賞』→『仏像鑑賞の基本』(著:久野健。里文出版)ほか。

  

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