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仏画(2)平成17年度美術史ゼミナール「日本の仏教絵画」第1回その2

1 はじめに

 平成17年度美術史ゼミナール「日本の仏教絵画」という講座の、備忘録程度の受
講録。で、第1回ゼミの受講録その2。


2 本日のテーマ

 今日のテーマは「オリエンテーション」。(続き)


3 講座内容の概要

3−1.仏教美術における絵画と彫刻

(1) 両者の相違  先生によるレジュメの内容を下表に整理する。

テーマ 絵画 彫刻
用途、安置・奉懸場所 法会や法要にあたって臨時に懸用する(普段は宝蔵に収納する。ただし、壁画は例外) 堂宇に恒常的に安置
伝来 制作地と伝来地は本来別個に考えるべき。
コンパクトで軽量のため、最初の伝来地から移動することも多い
小像を除けば制作地と伝来地は近く、その後の異同もあまりない
現代の収蔵状況 多くは美術館や博物館に寄託され、寺社にあっても宝蔵(収蔵庫)に収納されている。
素材の脆弱性もあり、常時拝観(公開)は不可能(※注)
寺社の堂宇や収蔵庫に安置され、秘仏を除けば拝観は常時可能

※注 退色のおそれがあるので、公開は年間30〜50日程度が限度とのことであった。

 



3−1

(2) 両者の共通 下表は、先生のレジュメより作成

テーマ 内容
時代区分、様式  両者ともほぼ同一俎上で論じられ、様式や作風も共通性あり。
(ただし、各時代の評価については、両者で分かれる部分もある)
(古代を中心とした)大陸の影響  ともに平安前期までは中国(南北朝〜晩唐)及び朝鮮半島(三国〜統一新羅)の強い影響下にある。
 鎌倉時代以降は、宋・元の影響が復活する
制作者の問題  中世までは仏像の作者は仏師、仏画の筆者は絵仏師で、ともに僧籍にある
文様、合作の問題  仏像の制作にあたり、本体は仏師がつくり、表面の彩色や文様は絵仏師が担当
粉本(図像)の存在  ともに制作にあたっては粉本(ふんぽん。図像)をもとにする





3−2.日本の仏教絵画の基礎知識(2) 掛軸関係の用語(続き)

 先生に教えていただいた専門用語。

用語 内容
太巻(ふとまき)  掛軸下部の軸(軸棒。軸木)に取り付けて直径を太くするための棒。

 掛軸を収納する場合は、掛けた状態で下から巻いていき、ある程度上まで巻けた段階で、掛緒を外す。
 その際、軸の部分を両手で持ち、左右平均するように注意しながら巻き上げていく。軸の直径は通常それほど太くないため、全部巻き上げると何周もすることになり、本紙の部分などを損傷しやすい。
 太巻は、本来の「軸」を中心に納めることができるように内部がくり抜かれ、二つに分割できる太い棒である。二つに分かれた太巻で「軸」を挟み込み、その太巻を中心に巻き上げていけば、細い「軸」を中心に巻くより、掛軸の巻かれ具合がソフトになる。
矢筈(やはず)  先端がかぎ状になった棒。美術館の展示室などでは「上下」と呼ばれる金具を壁面に取り付け、この矢筈で掛軸上部の掛緒を引っ掛けて持ち上げ、「上下」に取り付けたり取り外したりする。
 家庭などでも床の間の上の方に釘をうって、そこに掛緒をさげることになるので、矢筈で引っ掛けて持ち上げると作業が楽である。
巻留(まきどめ)  収納するため巻く際に、本紙の画面を保護するために別の紙を乗せて巻こうとする人がいるが、逆に湿気を含んでしまい画面を傷めることになる。
 巻留とは、本紙の画面全体に乗せる紙ではなく、掛軸全体を巻き終わった後で、巻緒で軽く縛るようにして留めるのだが、巻緒で擦れないように紐の下に入れておく保護用の小さな紙のこと。

 いずれも説明が非常に分かりにくくて申し訳ない。イラストでも入れれば分かりやすいのだが。

 矢筈については、これも掛軸堂のHPの小物コーナーに出ているので、よろしく。

 なお、巻留については、同じく掛軸堂のHP「名称解説」では「巻紙」又は「紐当て紙」という名前で解説されている。





 それでは、皆さんごきげんよう♪ 


 

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