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仏画(14)平成17年度美術史ゼミナール「日本の仏教絵画」第3回その8

1 はじめに

 平成17年度美術史ゼミナール「日本の仏教絵画」という講座の、備忘録程度の受講録。
 で、第3回ゼミの受講録その8。今回のテーマは「日本の仏画の歴史」のうち、室町及び江戸時代(15〜19世紀)。


2 本日のテーマ

 今日のテーマは「日本の仏画の歴史」。

 下表が先生にいただいたレジュメの続き。

日本の仏画の歴史

 VIII 室町・江戸時代の仏画

 15世紀〜19世紀 (※注1)

(1) 室町仏画の特徴

  絵画の主役は絵巻、水墨画、障屏画へ

  絵仏師と絵師との境界が希薄に

  仏画の技法上の特徴

    画絹:絹目の粗い、いわゆる足利絹(「元絹如麻」(げんけんはあさのごとし)の影響)
    賦彩:いわゆる盛り上げ彩色(※注1)の多用、白土から胡粉(ごふん。※注2)へ
    色調:紺や褐色の裏打ち紙の上に、発色の悪い暗い色目
    金銀:質の低下による鈍い発色
    構図:余白を広くとり、尊像が矮小化

  仏画の表現上の特徴:同時代の仏像と共通する


(2) 江戸仏画の特徴と作家

   
絵画の分野では最も保守的な分野

   儀軌や伝統にとらわれない、新規の図像や図様の採用(見立て絵 ※注1 など)

   賦彩は室町仏画に比べて明るくなるが、諸尊の表現は生硬で形骸化

   絵師による参画
     狩野派をはじめ、河村若芝(かわむらじゃくし。1638〜1707)、伊藤若冲(いとうじゃく
    ちゅう。1716〜1800)、英一蝶(はなぶさいっちょう。1652〜1724)、池大雅(いけのたい
    が。1723〜76)、長澤蘆雪(ながさわろせつ。1754〜99)ら

   禅僧による作画
     白隠慧鶴(はくいんえかく。1685〜1768):臨済宗の重鎮 ほか
     
       書:上代様(和様)と宋風を兼ね備える金銀泥による料紙装飾

       建築:和様と唐様(禅宗様、一部大仏様)の折衷様式(新和様)




3 講座内容の概要・補記

3−VIII 室町・江戸時代の仏画

※注1
 
「南北朝合一のなった明徳3年(1392年)から足利幕府の滅びる天正元年(1573)までを室町時代として扱う」(『日本美術史』P102)

VIII−(1)
 室町仏画の特徴

※注1 「盛り上げ彩色」 朱や緑青を塗った上に金を塗る

※注2 「胡粉」 貝殻からなる

VIII−(2) 江戸仏画の特徴と作家

※注1
 
「見立て絵」  普賢菩薩を遊女に見立てて描く等

(作品例:下掲図は仏画ばかりではない)

 河村若芝 群仙星祭図(神戸市立博物館HP)

 
伊藤若冲(1716〜1800) 果蔬涅槃図(京都国立博物館HP) 大根の涅槃図という突飛な絵。

 
英一蝶  布晒舞図(「美の巨人たち」HP)

 
池大雅(1723〜76)  十便図・十宜図(「美の巨人たち」HP)

 
長澤蘆雪(1754〜99) 虎図(「美の巨人たち」HP)

 
 白隠慧鶴 達磨図(MIHO MUSEUM)、猿猴図(同)

 


 

 それでは、皆さんごきげんよう♪ 


 

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