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仏画(13)平成17年度美術史ゼミナール「日本の仏教絵画」第3回その7

1 はじめに

 平成17年度美術史ゼミナール「日本の仏教絵画」という講座の、備忘録程度の受講録。
 で、第3回ゼミの受講録その7。今回のテーマは「日本の仏画の歴史」のうち、南北朝時代(14世紀)。


2 本日のテーマ

 今日のテーマは「日本の仏画の歴史」。

 下表が先生にいただいたレジュメの続き。

日本の仏画の歴史

 VII 南北朝時代(14世紀)の美術の特徴

 1333年頃〜 (※注1)

(1) 変革期としての14世紀

 鎌倉、南北朝、室町を含む「変革」の時代

  南北朝の位置づけ:独自の時代様式?(過渡期) 「南北朝ゴミバコ説」(※注1)
   → 14世紀という100年を考えた場合の新たなる時代観:新古典主義

    激動の時代 『太平記』 婆沙羅(ばさら)の時代


(2) 絵画を中心とした新様式

 [1] 王朝復興の風潮
      幕府の弱体化 ← 元寇による財政難、地方御家人の伸長
       ⇔ 天皇家の相対的な権力回復
                        ← 公家や貴族を巻き込んだ地明院統、大覚寺統の争い

      元寇に伴う民族意識の発揚

 [2] 禅宗文化の流人と唐物趣味
     ← 頻繁に往来した禅僧や留学僧

     水墨画や墨跡、茶道、漢詩文など、時代の室町美術を準備

 [3] 絵画における写実的な傾向
      似絵(にせえ。※注1)や頂相(ちんそう。※注2)の影響と、実景描写への傾斜

      絵巻を中心に、宮廷文化の伝統の発展的継承(顔料と料紙)

 [4] 書、建築などの新傾向
       書:上代様(和様)と宋風を兼ね備える金銀泥による料紙装飾

       建築:和様と唐様(禅宗様、一部大仏様)の折衷様式(新和様)




3 講座内容の概要・補記

3−VII 南北朝時代(14世紀という時代)



VII−(1)
 変革期としての14世紀

※注1
 「南北朝ゴミバコ説」
 南北朝は時代的な特徴が明確でない。よって、ある遺品で時代区分が不明確で、「鎌倉時代に遡るほど時代的名品とは思えない。しかし、室町期まで下がると言ってしまうのも気の毒・・・・・」というような判断に困る作品の場合、「とりあえず」南北朝の作品に比定されることが多い。


VII−(2) 絵画を中心とした新様式

※注1
 
「似絵(にせえ)」

 
藤原信実筆 柿本人麿像(「歴博」HP) 

※注2
 「頂相(ちんぞう)」

 「禅宗では嗣法ということが重視される。そのために弟子は確かに悟りを得たという証明として師の肖像(頂相=ちんぞう)に師の賛を乞うことが南宋時代に一般化した。
 その風習はわが国にも伝えられ、禅宗の発展とともに頂相が多数描かれるようになった。
 初期においてはその担い手は僧団内の画僧だったと思われる。一方、師の墓所である塔所(たっしょ)には彫像が安置されたが、こちらは仏師がその制作にあたった」(『日本美術史』P96)

 明恵上人像 (栂尾高山寺蔵。HP「明恵上人」)


 それでは、皆さんごきげんよう♪ 


 

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