移動メニューにジャンプ

(No136) 大阪歴史博物館  特別展「聖地チベット」鑑賞記 その2

 平成22年2月14日(日)、上記展覧会を観に行った時のメモの続き。


第2章 チベット密教の精華

33 金剛界五仏坐像

33−1大日如来は説法印。智拳印ではなかった。一般的な説法印とは少し違い、両手を組み合わせていた。智慧の象徴。

33−2阿閦(あしゅく)如来。触地印(右手の甲を前に見せて地面に触れる)。力の象徴。

33−3宝生如来は与願印(右手の平を前方に見せて下へ)。富の象徴。

33−4無量光如来、定印。慈悲の象徴。

33−5不空成就如来、施無畏印。利益の象徴。

 なお、印相については私のサイトの「仏像」(1)にて。


36 薬師マンダラ

 八薬師というか薬師如来が八体並んでいたように思うのだが、個々の区別は私にはつかない。印相だけメモした。後列左から説法、定、触地、与願。前列左から与願、与願(ここが中核の瑠璃光薬師如来)、説法、施無畏。


39 十一面千手千眼観音菩薩立像

 両側の千手は横から見ると17重になっていた。高級サイクリング車の17段変速ギヤみたい。十一面は下から3−3−1−1の構成。裏を見てみたが、大笑面はなかった。画像はここで。冒頭のチケットもそう。

 HPの解説文では「三面三段ずつの上に忿怒面、阿弥陀頭部がのる十一面の構成に、胸前に挙げた本手8手のほか、992の小手が体の両脇に配置される。
 トルコ石を用いた豪華な耳飾りや首飾り、腕輪・足輪など各種の装身具を身につけ、精緻な造形をみせる」。

 九州国博のブログに素晴らしい写真が載っている。


 タンカとは、炭酸カルシウムと膠を塗って平らにした綿布に描いた宗教画とのこと。

 

50 不動明王立像タンカ

 祖師タクパ・ギャルツェンに贈られた由緒あるタンカ。いわゆる不動明王を表している。

 剣を持っているのは日本に伝わる不動明王と同じだが、足の格好がずいぶん違う。チラシ(右下)などに「シンボルマーク」的に載せられていた。左膝で悪を制圧しているらしい。必殺ニードロップを決めているとは知らなかった。

 HPの解説文は、「右手で握った長剣を頭上に振り上げ、左手で索(さく)をもつ青色の不動明王像で、阿閦如来(あしゅくにょらい)の化仏(けぶつ)をいただいている。

 体には蛇のような龍がまつわりつき、火焔身光を負っている。マーラが戦争、飢餓、疫病によって世界を脅かした時に、釈迦が不動明王を呼び、右膝を地面につけた明王は天空の悪魔を打ち破り、次いで左膝を地面につけてこの世の悪魔を征服したという。

 画面上部には五仏と観音、不動明王などの真言を写したサンスクリットの頌詞(しょうし)があり、最下部のチベット語の銘文からサキャ派第3代座主に捧げられたものとわかる。
 タンカは、礼拝時以外、写真に見られるように上方に巻きあげた布で覆われている。

 元代以降発達した緙絲(こくし)技法は、わが国の綴織(つづれおり)にあたり、精緻な表現が可能で、肉体表現などから見てネパール画派からの影響を受けたことが明らかである」。

 画像は(リンク切れになるまでだが)HPにて。

 

44 グヒヤサマージャ坐像タンカ

 画像はここで。

 

42 チャクラサンヴァラ父母仏立像タンカ

 多臂の手の一つが、首を3つ、4つ束ねてぶら下げている。
 これはヒンズー教の神の首らしく、仏教の優位性の象徴らしい。

 両足は男女を踏みつけている。シヴァ神とその妻ウマを踏みつける降三世明王と同じ発想なのだろうか。てゆうか、これが日本に伝わるところの降三世明王なのだろうか?

 象の生皮やドクロを持っているのは、悟りには不浄なものの存在も必要という思想を象徴している、と会場の解説文にあった。


61 カーラチャクラマンダラ・タンカ

 画像はここここで。

  HPでの解説文は「多数の密教経典のなかで歴史的にもっとも遅く成立したのが「カーラチャクラタントラ」で、最高位の密教経典と位置づけられている。

 本マンダラには仏教だけでなくインドのすべての神仏が共存し、時間と空間を統合した究極のマンダラ世界をあらわしている」。

43 カーラチャクラ父母仏立像

 男性原理の方便と女性原理の空との一体化を象徴するため、男性神と女性神が派手に「合体」している。画像はここで。

 HPの解説文では、「後期密教において、チャクラサンヴァラ、ヘーヴァジュラ、ヴァジュラバイラヴァ、カーラチャクラなどのへールカと呼ばれる仏(忿怒尊・ふんぬそん)が登場する。

 これらの仏たちは多くの顔と腕を持ち、明妃(みょうひ)と交わり、しかも人々を恐れさせるような外見をしている。

 仏の4つの顔にはそれぞれ3つの眼があり、24本の腕には金剛杵(しょ)、鈴、斧、弓、矢、索(さく)などが見られ、妃ヴィシュヴァマーターを抱いた姿に現される。

 この仏の名前が、サンスクリット語で時間(カーラ)と輪(チャクラ)を意味することからわかるように、時間の流れを象徴する尊格である。

 この仏を中心としたマンダラを扱う経典『カーラチャクラ・タントラ』は、インドの天文学や暦についても詳しく触れている。絵画で表現される場合、仏の身色は青黒色である」。



56 緑ターラー立像

 ターラーには白、緑、黄、赤、青の5種があり、最初から観音に従っていたのは白と緑だそうだ。観音戦隊ターラー5のうち、ターラーホワイトとターラーグリーンが古株ということになるのだろう。

 講演会資料の画像は白ターラー。白は結跏趺坐で、緑は片足を踏み下ろしている。


38 四臂観音坐像マンダラ

 六字観音という異名あり。


58 金剛亥母立像タンカ

 顔の右側から猪の頭が生えている。
 「こぶ弁慶」という落語では、顔の横から弁慶の頭が生えてきて、食事なんかも奪われてしまう・・・というギャグがあったが、そんな争いはないのだろうか。
 絵の外縁部に描かれているのは屍林。

41 菩薩立像幡

 左手に蓮華を持つなど、姿格好は観音菩薩っぽいのだが、束ねた髪や、環状の耳飾りは文殊菩薩の典型的な特徴であると解説文にあった。


40 文殊菩薩坐像

 若々しい姿。チベットでは、文殊は若々しく表現する特徴があるそうだ。


70 造像量度図

 精密な仏像の寸法の基準表。


46 ヤマーンタカ立像

 文殊の化身した姿。ヤマ(閻魔)を征服する者。

 呪術を得意とする。調伏は慈悲行であり、呪殺された者は浄土に転生できるという思想があるそうだ。まるで「ポアは・・・」とか言ってたオ○ム真理教のようだな。いや、オ○ムが真似したのか。


69 タシルンポ寺境内図

 ゲンドゥン・ドゥプパ(1391〜1474)が創始した寺院の絵。ゲルク派の大本山。

 彼は、後にダライラマ1世となる。

 

47 ヤマーンタカ父母仏立像

 47は46のでかいバージョン。顔9、手34、足16。悪魔や動物を踏みつける・・・とあり、象を踏んでるなぁと思ったら、その象、頭は象だが、踏まれてるのは人間の体というエレファントマン(←懐かしい映画)であった。


48 ヴァジュラキーラ立像

 キーラとは「断ち切る」といった意味。


49 財神立像

 両手に抱いているのは財宝を吐くマングース。


51 マハーカーラ立像

 大黒天のこと。


52 ヤマ立像

 ヤマとは「閻魔」のこと。


53 ペルデンラモ立像

 チベット四天王のひとりらしい。(ほかの3人が誰なのかは知らない)

 ドクロの数珠を首からさげていて、乗ってるラバには人間の生皮が敷いてある。

 金持ちの家にある(私は実物を見たことがないが)熊とか虎の敷き皮みたいな感じで、お尻の下あたりに人間の頭や、手足の先が見えている。画像はここで。


60 ダーキニー立像

 画像はここから。展示場では光背がついていた。


59 白傘蓋仏母立像

 ゲルク派の尊像。画像はここから。

 HPの解説文は「国土と人民を種々の厄災から護る『白傘蓋仏頂陀羅尼(びゃくさんがいぶっちょうだらに)』を表現した女神で、千面千手千足、三面六臂(さんめんろっぴ)あるいは八臂(はっぴ)、一面二臂(いちめんにひ)像の三種類がある。

 理想化された容姿で、愛と慈悲の性格を現す。悪魔の支配者、戦士や半獣半人といった世界中の邪悪な存在が扇状に広がった足で踏みつけられて、もがき狂う肉体の大群となって横たわっている。
 右手には輪宝、左手には矢など多くの持物をとりながら、リボン多数をつけた防護のための白い傘がついた宝幢(ほうとう)の柄をもっている。特にゲルク派で人気のある女尊である」。

 画像は(リンク切れになるまでだが)HPにて。


73 獣頭橛(けつ)

 クサビというか、テントを張る時に使うペグのような形の法具。なかなか可愛い獣頭が付いている。


81 カダム塔

 カダム塔は、だんだん宗教的に高い境地に進化していく・・・といったことのシンボルだそうだ。特にチベット式カダム塔は、リボンと日月の飾りが特色らしい。


93 ドゥンカル

 白ほら貝の楽器。金メッキでトルコ石が散りばめられた装飾板がついている。


63 ツァツァ型(パドマサンパヴァ)

 型押しの仏の型。粘土をこの型にぎゅっ!と押し込み抜くと、仏像の出来上がり。


72 金剛橛

 三角の台座に横たわる「人間」に橛の先が突き刺さっている。魔を征することの象徴だそうだ。

 画像はここで。

62 蓮マンダラ

 HPの解説文は「明妃を抱く姿に表現されたサンヴァラは、蓮華花弁の中心に坐している。

 八葉の蓮弁の内外には、仏像などが配されている。このマンダラは、頂部の部品を取り外すと、蓮花が開花する精巧な作りで、複雑な金線細工の蓮華茎で支えられている。

 台座の「大明永楽年施」という銘文から、明代宮廷工房で製作されて永楽帝からチベットへ贈られたことがわかる。
 もととなったインド・パーラ朝(8〜11世紀)の類品に比べ、より装飾的でさらに高い芸術的完成度を見せている」。

 画像は(リンク切れになるまでだが)HPにて。


75 カパーラ

 高僧の頭蓋骨を加工して作る入れ物。ただの水が聖水に変わると信じられているとか。

 HPの解説文には「カパーラは、高僧大徳の遺志にもとづきその頭蓋骨を加工して作られる法具で、無上瑜伽(むじょうゆが)タントラで行う灌頂儀式(かんじょうぎしき)に用いられる。

 頭蓋骨を加工した碗の外側には、日、月、ホラ貝とチベット文字による六字真言が浅く彫りこまれている。
 碗の蓋は楕円形を呈しており、蓮弁、唐草文と八吉祥文が刻まれ、縁にはトルコ石と宝石が貼り付けられ、取手は金剛杵の形をしている。
 三角形の台上部には人頭つきの支えが立ち上がり、全面に透かし彫りの葉文が施されている。ともに金で作られ、類品中でも特に優れた作域を示す。
 大学僧の頭蓋骨で、東チベット・カムドにある僧院の僧侶からダライラマに捧げられたもの」。

 画像は(リンク切れになるまでだが)HPにて。



 

 
 どうもお疲れ様でした。

 
  

inserted by FC2 system