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(No121) 「仏像ガールってなんですか  〜仏像の魅力を大いに語る〜」 聴講記 その2

 平成21年3月20日(金・祝)に、奈良国立博物館で上記の催し物があった・・・・の続き。


 
 
第2部 ”仏像ガール”と奈良国立博物館西山学芸部長とのトークショー 〜ここが好き!私のオススメの仏像さん〜 (14時〜15時) 


西山 「じゃ、次、行きましょう。(パソコンを操作して「菩薩」と表示する)
 菩薩って、どんな仏様でしょうか?」
ガール「修行中の仏様ですよね。
 キラキラした服装や飾り物をつけています」
西「出家した時のシャカがモデルになっているという話もあります」
ガ「王子時代ですね」

西「菩薩というと『悟りを開いていない、まだまだの人』というイメージがあるんじゃないでしょうか?
 正確に言うと『開けない』人じゃなくて、『開かない』人なんですね。
 悟りの世界まで行けた人とそうでない人をつなぐ存在なんです」
ガ「仏様の世界というとピラミッドを描いて、頂点に如来があって、その下に菩薩。明王や天は、さらにその下・・・というような表現をすることが分かりやすいですし、よく使われます。
 実際、私もHPでそういう表現をとったりしていました。

 でも西山先生から仏の世界を上下関係で説明するのはおかしい。各々の仏には各々の役目があるんだと教えてもらって、今度の本では、一切そういう表現はとっていません」
西「菩薩というのは、みんなを幸せにするまでは自分は幸せにならない、と決めた人なんです」


【 十一面観音菩薩像 滋賀・向源寺 】

ガ「十一面観音で国宝に指定されているものが7体あるそうですが、これはその一つです。

 何年か前の正月、滋賀に行かせてもらったんですが、その日は何年かぶりの大雪の日でした。
 ボランティアのおじいさんが解説をしてくださいました」
西「信長が天台宗の寺を焼討ちするという時、村の人々が、『菩薩様が焼かれちゃ大変だ』ということで土中に埋めて難を逃れたそうなんです。
 あとで掘り出したんですが、収めるお堂が燃えちゃった。今は向源寺のものとなっています」
ガ「やっぱり人間の力を感じますねえ。私がお会いできたのも、そのおかげ」

西「手が長いですよね」
ガ「膝の辺までありますね」
西「この像は、面が耳の横にもあるのが特徴です。たいがい十一面観音とゆうと、頭の上にたくさんの面が載っているものなんですが。
 後ろの面は笑ってます。笑い飛ばす顔」

ガ「じゃ、私も続けさせてもらって・・・」

【 十一面観音像 福井・羽賀寺 】

ガ「これ、写真じゃなかなか伝わらないかもしれませんが、この菩薩様、色もそうなんですが、お顔が本当にきれいなんです」
西「手が長いですね。・・・・・おんなじことばかり言ってますが」

(仏像ガール自身のブログがあった。羽賀寺については、ここ) 


【 十一面観音像 京都・海住山寺 】寺宝のページで左側の列の上から2番目の「木造十一面観音菩薩立像」をクリック)

西「大きさは30cmくらいなんですが、実にシャープというか、緻密というか。品の良い仏様です。
 海住山寺というお寺は京都と奈良の境くらいにあって、アクセスが悪いんですよね。
 うちの平常展でご覧いただけます」


【 地蔵菩薩像 滋賀・長命寺 奈良国立博物館に寄託 】

ガ「仏像はどこに居るべきか、どこで見るべきかという問題があります。
 博物館に展示されている仏像に手を合わせる人、いますか?」
西「仏像をお預かりするお寺の住職さんによく言われるんですが、仏像の前に花を1本でいいから供えてくれないか、と。
 見せ物扱いされるのは辛い・・・とおっしゃるんですね」
ガ「これは特に言っておきたいんですが、ここ奈良国立博物館の平常展では、手を合わせる人が非常に多い。
 特にこのお地蔵様の前では、お年寄りなんかはほとんどが手を合わせておられるんじゃないでしょうか」

西「お寺にいる時より大切にする。そう心掛けてるんです。

 今、私、この世界に入って26年になるんですが
(と、仏像ガールに向って、ちょっと威張るように)あなたが3つの時からやってるんですよ。
 20年くらい悩んでました。
 
(宗教の対象であるものを展示品として)仏像を借りていいのか?と。

 で、今の結論は、ご本人が喜ぶようにしよう。そうゆうことです。
 十分では決してないですが、奈良博の仏像は大事にされているのは間違いがない。

 ですから仏像の声が聞こえるんです。
(仏像の声真似?)『寺に帰りたくない』

 あっ!声が大きかった」
ガ「マイクのないところで言ってほしかったですね」
西「いいんです。特に長命寺の住職は、私の高校の同級生ですから」




  
西「次、行きましょう。
(パソコンを操作して)明王。『みょうおう』ですよ。明るい王様じゃないです。

 これはどうゆう仏様でしょうか?」
ガ「空海さんが密教を伝来しましたが、その本尊である大日如来が怖い顔に変化したもの・・・と言われています」
西「我々の中に潜んでいる悪い物を怖い顔、強い力で取り除こうとしてくれてるんですね。

 憎らしいから怒ってるんじゃないんですね。小さい子供が車の前に歩いていきそうになったら、きつい声で叱りますよね。それと同じです」
ガ「優しさゆえの厳しさというところでしょうか」

 仏像ガールが良いコメントを出したが西山部長は無言でパソコンを操作し、次の画像を出した。で、私は聴いていて、漫才でゆうところの「あ、上手いこと言ったのに、すべっちゃったみたいな雰囲気になってるよ!」てな印象を受けた。 



【 五大明王像 奈良国立博物館所蔵 】

ガ「これは奈良国立博物館にあるんですが」
西「順番に言ってもらいましょうか。なかなか覚えるのが難しいんですよね」
ガ「ええと、真ん中が不動明王でしょ。それで・・・・」

 正確には覚えていないが、1回間違えたと思う。
 確かに難しい。
 私の覚え方は、真ん中で座ってるのがリーダーの不動明王。
 牛に乗ってて足が多いのが大威徳明王。
 蛇を身体に巻きつけたりドクロが付いてるのが軍荼利(ぐんだり)明王。
 手を胸の前でからめて、男女を踏みつけてるのが降三世(ごうさんぜ)明王。

 で、残ったのが金剛夜叉明王・・・という消去法の覚え方。



ガ「この五大明王には、本の表紙デザインで使わせていただきました。

 如意輪観音さまの指の先からぽわぽわぽわっと昇っていく感じ」

西「一番下が軍荼利明王ですね。凄いバランス感覚です」

(上記奈良博のHPでも軍荼利単独で拡大画像が出るのでぜひご覧いただきたい。確かに、いわゆる蔵王権現を思わせる躍動感あふれる片足立ちである。なお表紙で大きく乗っている如意輪観音については、ここを参照)

ガ「この表紙の上の部分を見ていただきたいんですが、仏様の頭が切れちゃってるんですね。
 これは広がりを示すために、どうしてもそうしたかったんですが、当たり前のことですけど、これはとんでもないことなんですね。

 ですから、西山先生に相談すると、いきなり怒られました」

西「ゲラを見せていただいた段階で即座に『これはダメです。顔を切ることは絶対にダメです』と申し上げました。

 でも、その後よくよく考えて・・・・・・『ゲラの時はちゃんと入ってたんだけど、元気が良くて、印刷の時に飛び出ちゃった』ということにしましょうか、と山渓の武藤さんに言ったら喜んでました。

 実はゲラをもらった後、何とか顔を切らずにできないかと思って何度も上下させてみたんですが・・・やっぱりデザイナーの方とゆうのは凄いですねえ。
 これが一番いいカットだったんです。

 降三世明王というのは、独特の降三世印という格好をしています。

 奈良博の明王は可愛い
(大きさが小さい)ですが、東寺の明王は等身大です」


【 降三世明王像 京都・東寺 】

 
西「さあ、皆さんもやってみていただけますか?

 小指と小指をからませてですね、キツネの形をつくる感じです。
 小指と小指を絡ませる・・・とゆうのがいいでしょう?
 ま、それを言うために
(東寺の写真を)出しただけです」 


 まだ明王も天も残っている。続きは後ほど。  

 
 どうもお疲れ様でした。

 
  

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