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(No109) 講演「お食事をありがたくいただくために」聴講記
2007年10月26日に開催された講演会の聴講記。
東大寺まで歩く途中の興福寺南円堂まえのお不動さんが左下写真。
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お不動さん。 |
東大寺に近づくと鹿の姿が増える。
秋には鹿の角きりがある。詳しくは、例えばこちらのサイトで。
右写真は切られちゃった後の鹿さんである。 |
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左下写真は南大門の額。聖武天皇の字を再現したものらしい。
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整った字である。 |
南大門の屋根にたくさんのカラスが飛んできた。
いっぱいのカラス。 |
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なぜか溝の中でくつろいでいる鹿さんたち。 |
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左下はご講演いただいた森本公穣師。
修二会の時に食事をされる食堂(じきどう)を見学させていただいた。
左下写真のように床は石張り。
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左写真の木製台は、修二会期間中には畳が敷かれるそうだ。そこに座って食事をされるようである。 |
食堂内には、お松明が置かれていた。特に達陀に使う短めのお松明らしい。
例えば達陀に関する説明は、私のサイトではここの「(6)その他の行法」にて。
このサイトでは写真も載っている。 |
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食堂を出る。左下写真は、二月堂前の小さなお社。
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あれ?新築?と思ったが、周りの柵や鳥居が新しくなっているようだ。
ここに以前の写真がある。そこでは赤く塗られている。これから来年のお水取り前に赤く塗るのだろうか? |
右下写真は良弁杉(ろうべんすぎ)を正面から。
左上写真はお水取りの時、お松明が駆け上がる登廊という階段。ここを上って、あらためて師のお話を聴くことに。
師のレジュメを下に載せる。実は役員をやっている関係で、用事があって師の話を最初からは聴けなかったのである。
1 修二会(しゅにえ。お水取り)の食作法(じきさほう。食堂作法=じきどうさほう)
「十一面悔過法要」(じゅういちめんけかほうよう) 〜過ちを悔い改める。
天下泰平・国家安穏・万民快楽・五穀豊穣 〜世界平和・人類幸福
「十一面観世音菩薩」(観音) 「練行衆」(れんぎょうしゅう。十一人)
「二七日(にしちにち)六時の行法」 上七日・下七日・日中・日没・初夜・半夜・後夜・晨朝
正午に正式な食事 〜それ以降は一切の飲食を禁じる
食堂袈裟・食堂念珠・長い祈り(祈句・加供帳)
精進料理 一汁一菜(あるいは二菜) 『院士(いんじ)日記』
一盛五合の米・味噌汁(豆腐・干大根など)・人参・芋・揚げ・水菜など
箸での合図・白湯・生飯(さば)投げ
一日のすべての行が終って「ごぼ」(茶粥)
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修二会に関する用語はだいたいうちのサイトのどこかで述べていると思うので、「総合事典」で探していただけたら、と思う。
ちなみに茶粥(ごぼ)の写真はここで。
上記レジュメの「箸での合図」というのは、食堂内ではお祈り以外のおしゃべりが禁じられているので、お代わりなどの用事がある時は箸でお椀を叩いて合図をするらしい。
生飯投げとは、食べ残した飯を閼伽井屋の屋根に投げ鳥への施しをすること。写真がここのサイトに載っている。
師の経験談だが、ひと月精進料理だけを食べていると吹き出物とか肌が荒れていてもきれいになるらしい。しかし、決定的に油と水分が不足するので肌はかさかさになってしまうそうだ。
2 五観の偈(ごかんのげ) 〜唐・南山大師道宣『四分律行事鈔』
一には 功の多少を計り、彼の来処を量るべし。
二には 己が徳行の全と欠と多と滅とを忖(はか)るべし。
三には 心を防ぎ過(とが)を顕すは三毒に過ぎず。
四には 正(まさ)しく良薬を事として、形苦(ぎょうく)を済(すく)わんことを取る。
五には 道業(どうごう)を成(じょう)ぜんが為なり、世報は意に非ず。
3 本居宣長 『玉鉾百首』
食前 「五穀(たなつも)の 百々(もも)の木草(きぐさ)も 天照す 日の大神の 恵み得てこそ」
食後 「朝宵(あさよひ)に 物食ふ毎に 豊受(とようけ)の 神の恵みを 思へ世の人」
4 「喜びと感謝と敬いの心をもって いただきます」 〜薬師寺・高田好胤師
「ごちそうさまでした」「よろしゅう おあがり」 |
3、4は食事の前後の言葉。3は少し難しいので、師のお話の後、4の高田好胤師の言葉を唱えてお弁当タイムとなった。
なお、「よろしゅうあがり」というのは奈良で独特の言葉らしい。慣れないと、食べ終わったのに「おあがり」と言われたら面食らってしまいそう。
師のお話は、無料休憩所の奥の北参籠所で聴かせていただいた。
食事をしている頃、雨が降り出した。
右写真は、参籠所の窓からのぞく二月堂。 |
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左下写真は二月堂から望む雨にけぶる大仏殿の屋根。
右上写真は、食堂。
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左写真は閼伽井屋。
この中の若狭井から水を汲むのがお水取り。 |
どうもお疲れ様でした。
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