移動メニューにジャンプ

(No42) 大阪市立美術館 特別展「道教の美術」 鑑賞記 

 平成21年10月10日(土)に、標記企画展を観に行った。
 



(左はチケット)

 前も書いてますが、大阪市立美術館に鑑賞に行かれる方は、JR天王寺駅で下車される方が多いと思います。

 中央改札口出られた正面のJRみどりの窓口で、展示会が既に始まっていても前売り券を販売していることが多いので、ぜひご利用いただきたいと思います。

 私も今回、それを利用しています。わずかな額ですが、利用できるものは利用なされたら・・・と思います。

 奈良国立博物館の場合、近鉄奈良駅の事務所で、京都国立博物館の場合、京阪の駅近くの雑貨屋さんで、たいがい前売り券を利用できるので、皆さんもどうぞ!

 

・・・・・・・・・てなことは置いといて、日本初の道教に関する美術展に。

 駅などに置いてあるチラシ(ペラじゃなく4ページのリーフレット)のおもて表紙はここ
 裏表紙はここ
 これで全体の雰囲気をつかんでいただきたい。

 本当に初めてなのかとか、開催に当たってのコンセプトなんかは、聴講記をご参照いただきたい。

 全体は12章に分かれており、美術館入って右側の第1会場で第1章から第6章まで。

 2階の第2会場で第7章から第11章。

 第1会場向い側の第3会場で第11章、第12章。 

 

 


第1章 中国古代の神仙思想

 

 最初のところに、大きな道教の尊像の掛け軸。この辺の由来は、聴講記で。

 大阪市立美術館は、陶磁器青銅器仏教絵画と3回のゼミナールを受けさせていただいたので、馴染みのある美術品が多い。 

 今回の展示会のマスコットキャラ的な扱いをされている羽人(展示品リストにも、タイトルの横にただ一つ写真が載せられている)も、青銅器ゼミの時、触らせていただいた。
 あの時の説明では、結局これが何なのかよく分からない・・・・ということだったと思う。

001  仙人像(羽人)   青銅鍍金銀 後漢時代 1世紀 大阪市立美術館 【全期間展示】

 画像は、ここでも。


  あと、展示品の中に

004  灰陶加彩 雲気文壺  

 や、

006  緑釉狩猟文博山炉  

 など、ゼミで触らせていただいたものがあり、つくづく素晴らしい体験をさせていただいたものだと改めて感謝した。

 

014  金立神社縁起図   佐賀 金立神社      

 がチラシに載っているが、前期のみなので観ていない。

 

017  怪奇鳥獣図巻   東京 成城大学図書館  

 では、「人面犬」などが載っていた。「天狗」は、鼻が長くない普通の犬(狗)だったし、「天犬」というのも載っていた。


第2章 老子と道教の成立

 

 老子と道教の関係については聴講記で。

 老子と言えば、ともかく牛に乗って、関所を通る・・・・・というのが決めのパターン。というか、そうでないとなかなか老子かどうか見分けがつかない。

 

028  老子像   牧谿 筆 紙本墨画 南宋時代 13世紀 岡山県立美術館 【展示期間:9月15日〜10月4日】 

 これは、ここでも。

 上の老子像が、展示会の売りの一つのようで、ポスターなどにも載っているのだが、これまた展示期間の関係で観ることができなかった。どうも前期の方が展示品のレベルとしては高かったように思える。

041  孔子見老子図(墨拓)   埼玉 淑徳大学書学文化センター  

 は、老子に会いに行った孔子の会見場面。二大スター揃い踏みといったところか。後漢2世紀頃のもので、老子の「像」として残っているものでは最古だそうだ。

042  老子道徳経(敦煌経)   東京・台東区立書道博物館

 

 


第3章 道教の信仰と尊像

 

 道教の「三尊像」の由来とか、日本における道教の尊像の数などについては聴講記で。

 聴講後、

072  道教三尊像   東京 東京芸術大学美術館
   
 の背面を見たが、確かに「老君」と刻んであった。

 

082  四聖大帝・三官大帝図   絹本着色 明時代 崇偵16年(1643) 京都 六道珍皇寺 【展示期間:9月15日〜10月4日】

 画像はここでも。これも観れず。


085  正統道蔵   明時代 万暦26(1598) 東京 宮内庁書陵部  

 だが、「正統道蔵」とは道教における大蔵経(正式な経典を集大成したもの)だそうだ。
 正統道蔵は、世界に4セットしかないそうである。後の三つは、北京の白雲観(「道観」といって仏教の「寺院」にあたる)のものを保管している中国国家図書館、四川の雲台観のものを保管している四川大学、そしてフランス国立図書館にそれぞれ保管されているとのこと。

 江戸時代、豊後佐伯藩主毛利高標が購入したそうだ。やるな!高標。この高標、藩財政を立て直したり、三大文庫といわれるほど漢籍を収集したりなかなかの人物のようだ。
 参考としてwikiとか、ここで。

 


第4章 古代日本と道教

 

127  新羅明神像   滋賀 園城寺

 が展示されていた。
 新羅明神というと、「国宝三井寺展」での「邪悪」?な感じの立像や、画像でも同一人物とは思えない痩せた人物と太ってふてぶてしい人物の2種があったことが印象的。

 何か見覚えがあるなって感じたのだが、よく考えれば園城寺って三井寺だよな。

 この新羅明神は痩せてる方。ただ前期の新羅明神像(園城寺)は重文だったようだ。

 


第5章 陰陽道

 

132  安倍晴明像   絹本着色 室町時代(14世紀) 大阪 阿倍王子神社 【展示期間:9月15日〜10月4日】

 画像はここでも。残念ながら、これも前期のみ。

136  安倍晴明伝   大阪 阿部王子神社   

 は、展示されてたんだが・・・・。字ばっかしだし・・・・・。多分晴明マニアなんだろうが、おばちゃん(ごめん。私もおっちゃんですが)が展示ケースの前にかぶさって、ず〜〜〜っと動かない。ええけどね、別に。

 

139  重文 不動利益縁起  絹本着色 鎌倉〜南北朝時代 (14世紀) 東京国立美術館 【展示期間:9月15日〜10月4日】 

144  神道秘符書   京都 大将軍八神社

151  重文 大将軍立像(78号像)  京都 大将軍八神社 

 この立像は、第3会場に展示。

150  重文 大将軍立像(44号像)  京都 大将軍八神社

 も、隣に展示されていた。44号像は束帯姿。

 


第6章 地獄と冥界・十王思想


 講演でも言ってたが、ここの展示コーナーは真っ赤(か)っ赤。

 

170  国宝 六道絵(閻魔王庁図)  絹本着色 鎌倉時代(13世紀) 滋賀 聖衆来迎寺 【展示期間:9月15日〜10月4日】

 画像はここでも。

179  焔口餓鬼図(面然大士)   絹本着色 明時代(16世紀) 千葉 観音教寺 【展示期間:9月15日〜10月4日】

 画像はここでも。

 書くのもいやになってきたが、いずれも展示期間の関係で観れず。もちろん、後期も類似作品が展示されている。これ以後は省略します。


第7章 北斗七星と星宿信仰

 

188  五星二十八宿神形図    伝 張僧繇  筆 

 

 特筆すべきは七星剣。柄や鞘はなく、刀身のみの展示。飛鳥時代、7世紀のものとは信じられないほどキラキラ光っている。よっぽど管理が良いのだろう。聖徳太子の佩刀と伝えられている。

194  国宝 七星剣   大阪 四天王寺

 画像は、ここのブログに載っている。

 

213  重文 星曼荼羅図   絹本着色 平安時代後期(12世紀) 大阪 久米田寺 【展示期間:9月15日〜10月4日】

 画像はここでも。

216  星曼荼羅図    京都 三千院

 

234  重文 天帝図(北帝)    東京 霊雲寺

 画像はチラシで。  

 

239  鎮宅霊符神像(玄天上帝) 大阪 能勢妙見・真如寺

 

253  重文 妙見菩薩立像    院命 作 木造 鎌倉時代 正安3年(1301) 東京 読売新聞社 【全期間展示】

 画像は、ここでも。

 童子のような髪型の菩薩さま。左手で2本指立ててるのが、何か控えめなVサインみたい。

 


第8章 禅宗と道教

 ここのコーナーに入ってすぐ、見覚えのある像に気付いた。
 「おお、走り大黒ちゃん。こんなとこに来てたの?いらっしゃいませ、よぉお越し」って感じ。

264  伝大黒天立像(感応使者)   奈良 奈良国立博物館

 ここのブログでも書かれてるが、確かにこの大黒さん、そりゃもう必死に走ってる。

 

265  大権修理菩薩倚坐像   江戸時代 17世紀

 椅子に座って、鷹揚な敬礼のように右手を目の上にかざしているのが印象的だった。

 阿育王寺の護法神だとか。ひょっとすると、鞍馬寺の毘沙門天のように、敵はいないか?と見張っているさまなのかもしれない。


第9章 仙人/道教の神々と民間信仰

 

282  呂洞賓図   雪村周継 筆   

 八仙については、以前ここで紹介した。

 

298  重文 蝦蟇仙人図    顔輝 筆 絹本着色 元時代(13〜14世紀) 京都 知恩寺 【展示期間:9月15日〜10月4日】

 画像はここでも。

 後期でも、

300  蝦蟇仙人李鐵拐図   狩野芳崖 筆 東京 東京芸術大学美術院

301  蝦蟇仙人図    趙麒 筆 東京 根津美術館

303  五彩 蝦蟇仙人図盤  景徳鎮窯   京都 京都国立博物館

 と、蝦蟇だらけ。     

 

309  関聖帝君像    揚津 筆 木庵性瑫 題 紙本着色 清時代(17世紀) 京都 萬福寺 【展示期間:10月6日〜10月25日】

 画像は、ここでも。

 

313  劉備・孔明・五虎将図    狩野栄信 筆   宮城 仙台市博物館

 関帝つながりで、三国志の絵画。ここまで広げたら、京都国立博物館の青花 三国志文壺なんかも含まれるのか?と思う。
 中央が劉備、羽扇が孔明。髯が関羽。暴れん坊みたいのが張飛、年寄りが黄忠・・・・・まではすっと分かったが、あと、趙雲と馬超の区別がちょっと・・・・・。

 

318  五彩 封神演義図缸  景徳鎮窯   東京 静嘉堂文庫美術館

 大きな円筒形の焼き物。とても抱えきれないほどの大きさ。ぐるぐるっと展示ケースを回って模様を眺めた。
 焔の輪に乗って飛んでる子供がいた。あれはナタであろう。それぐらいしか分からなかったが。

 


第10章 道教思想のひろがり

 

 青面金剛とは病を流行らせる(←ダメじゃん)神らしい。蛇を巻きつけてるので軍荼利明王か何かと思った。

375  重文 青面金剛立像    木造 平安時代後期(11世紀) 奈良 東大寺 【全期間展示】

396  名所江戸百景 市中繁栄七夕祭    歌川広重 紙本木版 江戸時代 安政3年(1850) 神奈川県立歴史博物館 【展示期間:9月15日〜10月4日】

 


第11章 近代日本と道教


410  浦島図   山本芳翠 油彩 明治26年(1893) 岐阜県美術館 【全期間展示】

 画像はここでも。

 ある意味、一番インパクトがあった作品。

 はるか遠方の洋上には、蜃気楼のような城郭。龍宮城なんだろうな。
 で、胸の前に箱をかかえ、憂いを含んだ表情の男・・・・・・(最初、女かと思った)。こいつが浦島太郎なんでしょう。亀の上に立ってるし、玉手箱持ってるし。

 でも、周りの天使(?)どもは何なんだ。至福の表情だし。・・・・・・・・・・・・・・こいつら、鯛や平目なのかな。

 投げてる水晶球の質感の描写、うまいなぁ。

 

 


第12章 拡散する道教のイメージ

 

413 関連項 サイレンス   李禹煥 石・鉄 昭和54年(1979)・平成17年(2005) 神奈川県立近代美術館 【全期間展示】

 ・・・・・・・・・・・特に感想なし。

  


 どうもお疲れ様でした。

 
  

inserted by FC2 system