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(No20) OSAKA演博 2010 鑑賞記 その2

 

 「OSAKA演博2010」とは、何なのか?

 パンフには「世界の演劇と舞台芸術のフェスティバル」とも「世界13カ国のアーティストが集まる世界最高水準の演劇とパフォーマンス」ともある。

 また、OSAKA演博2010 実行委員長 松原利巳氏のあいさつ文には「Tactan から TACT へ。今年4年目を迎えた大阪発の本格的な国際児童演劇祭」とある。

 さらに、OSAKA演博2010 芸術監督の中立公平氏のあいさつ文には「こどもからおとなまで楽しめる作品をプログラム」とある。

 ともかく、そんな大きな国際イベントが旭区の区民センターや芸術創造館で開催されている・・・・・の続き。

 



ひとり no media 詩と歌

出演:友部正人(日本/朗読)


 一見するとローマ字読みで「一人のメディア」のように読めるが、そうじゃなく、NO MEDIA ということなんだろう。過去に出したアルバム名でもあるし。

 ギターを手にし、ハーモニカを吹いて歌う。いわゆるフォークの世代だ。

「6月の雨の夜、チルチルミチルは」

 死出の旅に出る友人夫婦のことを歌っているのか。


 パソコンで、自分が撮った(と思われる)画像を流しながら詩を朗読する。この辺が「ネット世代とフォーク世代をつなぐコンサート」ということになるのか?

 


 2曲目は「生きていることを見ているよ」

「この歌は、今度出すアルバムの1曲目の歌です」とのことだった。
 会場配布の資料によると、2年半ぶりの新作「クレーン」というアルバムを出されるそうだ。


 最後、「陽が沈むまで歌います」と言って、きれいな夕日の写った映像をバックに熱唱する。

 歌のタイトルは分からないのだが、歌詞に出てくる、「夜」が「昼」に流れ込んでくるのをせき止めようとする「水門」とは、時代に抗する友部正人氏自身のようにも感じた。 


(どうやら「水門」という歌のようだ。別人がカバーしているのが YOU TUBE にあった。)
 


エコア

出演:カンパニー・アルコスム(フランス/音楽・ダンス)


 緞帳開くと、金属製の足場のようなものが組まれた舞台。右側には、四角い電話ボックスの枠組みのようなものが立っており、その上に女性が立っている。

 向かって左側、足場の低い方にはアジア系の男性が、その上には欧米系の男性がそれぞれ鉄琴を演奏し始める。


 と、右端からちょっといかつい少し年配の男性がやってきて、女性を受け止め、肩にかついでターンする。


 演博パンフには「2人の打楽器奏者、2人のダンサーによる新感覚パフォーマンス」とあった。
 それで、こんな調子で、演奏は演奏、ダンスはダンスと2人ずつ別々で進行していくのか?と思ったら、いい意味で裏切られた。

 4人が「電話ボックス」やら、足場の中にもぐりこみ、それぞれの居住スペースのようなものを確保する。一人のところに明かりが点る。
 あわてて、紐を引くと電気が消え、時限爆弾が時を刻むような音とともに、別の人のスペースの電気が。
 ぱっ!ぱっ!ぱっ!と切り替わるスリル感。

 出演がトーマス・ゲーリー、エマニュエル・ギュイエー、ミン・タム・エヌグエナ、クレモ・デュコルとあった。そして、トーマス・ゲーリー氏(ダンサー/振付家)が作者らしい。

 そこで、適当なんだが、ダンサー(男)をトーマス、ダンサー(女)をエマニュエル、パーカッショニスト(アジア系)をミン・タム、同(欧米系)をクレモとする。

 とにかく、この4人の絡みが素晴らしいのだ。

 ミン・タムの演奏はキレがあるが、クレモはちょっとお調子者というか、興が乗ってくると演奏しながら興奮して大声で歌ってしまったり、カンフーのような格好をしてみたり。

 トーマスはエマニュエルに気があるのか、ちょっかいをかけ、追いかけては逃げられる。

 が、ようやく抱きしめたのだが、気がつくとエマニュエルはするりと抜け出て舞台の袖へ。
 ミン・タムとクレモは彼女を目で追う。
 一方、そうとは知らず、虚空を抱きしめ、唇をとんがらせて、キスしようとするトーマス。

 はっ!と気がつき、実に気まずい雰囲気になる3人。・・・・うまいなぁ。


 舞台袖から小さな箱を持ってきた。結局、ベンチのようにその箱の上に座り込んだ4人だが、激しいパフォーマンスの後で息遣いが荒い。

 と、そのハーハーゼーゼーが、いつの間にかボイスパーカッションのようになる。
 アカペラコーラスみたいな感じで軽やかに踊る4人。

 箱は4人で座るには少し狭くて、椅子取りゲームのようなせめぎ合いが。
 ミン・タムはトーマスが好きなのか、甲高い声を出して首っ玉にかじりつく。なぜか、怒って舞台袖に
はけてしまうクレモ。

 トーマスが「エーオーア」(←もちろん意味は分からないのだが、こんな感じのような言葉。「あいつ、どこ行った?」
みたいな感じに聞こえた)と繰り返しつぶやく。

 エマニュエルがブタっ鼻みたいな感じで鼻を鳴らす。
 で、この繰り返しがみごとな「音楽」になっていく。

 ちょっといざこざのようなシーンになり、それぞれが金属パイプを二本持って立ち回り。
 中が空洞なので、びゅっ!と振ると風を切って音がする。殺陣のような絡みのあと、そのパイプを2本つなぐ。
と、そのパイプは今や釣竿だ。

 そして最後、全員のパイプをつなげて長い長いパイプにして、トーマスがそれを振り回す。

 パンフには「まったく新しい音とダンスの世界へようこそ」とあったが、本当に予想もつかない、笑いどころもいっぱいで、トーマスのターンなどは凄いテクを感じさせ、エマニュエルはきれいだし、もうとにかく圧倒された。

 最後、会場は、鳴り止まない拍手でいっぱいになった。ホールを出る人々も口々に「凄かった」、「素晴らしかった」と絶賛の嵐であった。


ジョージおじさんの小さな箱

出演:シアター・リフレクション(デンマーク/人形劇)

 パンフの解説文では「ジョージおじさんは一人ぼっち。身の回りをきれいに片付けて、
ひとりで過ごすのが大好きなのです。
 ある日、ひとつの小さな箱が目の前に現れて・・・・。
 ジョージおじさんは、ひとりではいられなくなります。大人も楽しめるおしゃれな人形劇です」
とある。

 劇団は3人構成のようだ。

 最初はおじさんを3人がかりで動かしていた。文楽より多いな。

 小さな箱が部屋に出現する。腰を抜かすおじさん。

 いっぱい出てくる。動き出す。自分で操れるようになる。

 と、ゆがんだ箱が現れる。
 そのゆがんだ箱に攻撃され、持ち上げられて落とされる。

 最後は、光が点った箱が現れ、それを手にする。
 しかし、もう一つ現れ、一つは足元に落ちる。

 やがて、無数の箱が上空から次々に舞い降りてくる。
 でも、おじさんはどれ一つ手に取ろうとしない。
 手にしかけた箱も、ふわりと浮き上がって逃げていってしまう。

 最後、無数の箱が床に落ちている中で放心したように座り込んでいるおじさん。

 そして、照明が消え・・・・・・・。

 何か意味深なラストでした。

 


 
 どうもご退屈さまでした。
  
 

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